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OOHの2つの方向性 | 平井健一郎

今回の記事は、OOHの "Oh!" な事例を紹介する「Oh! OOH!!」を運営され、販促会議でOOHのコラム連載中の平井さんに寄稿していただき掲載しております。
noteで発信をされているのでチェックしてみてください。

文/平井健一郎

 
 第2回目のnoteでは、OOHの今後について私なりに考えてみました。特にここ数年は、DOOH(デジタルOOH)を筆頭にOOHのDX(デジタルトランスフォーメーション)とも言える動きが加速しています。
一方で、旧来からあるOOHならではのその時その場所ならではの体験や偶発性を重視した施策も多く見受けられらようになりました。

コロナ禍での世の中の変化を見ても、デジタル化によってより効率を求める動きと、リアルな人間らしさを再重視する動きの2つのトレンドを強く実感します。
このような潮流を踏まえ、今後のOOHは大きく以下の2つの方向性に収斂されていくのではないかと考えます。
 
目次

1.Web広告化
2.パブリックアート化
さいごに
 


1.Web広告化
 
 1つ目は、視認者数や送客数、購買数の計測、属性や個人ごとのターゲティングといったWeb広告で当たり前にできていることをOOHでもできるようにしていく動きです。

看板やポスターなどの従来のOOHメディアをデジタルサイネージに置き換え、ネットワーク化することで、広告を配信する場所や時期をフレキシブルに変えることができます。
また、これまで効果のよくわからなかったOOHに対して、各種センサーや位置情報データ等を利用することによって、広告の接触人数を明らかにしていく取組みが様々な事業者によって行われています。
 以上のようにOOHのデジタル化(DOOH)は、Web広告のような「動的な配信」「効果の可視化」を可能にしていきます。
しかしながら、Web広告と違いリアルな空間でこれを進めるには、ディスプレイやセンサーなどのハードを導入しないといけません。その開発コストも膨大です。
ある程度利用人数の多い場所であれば開発コストの元が取れますが、あまり人が少ない場所だと、投資コストの割にインプレッションが確保できないというジレンマを生じさせます。
また、利用者の多い場所の媒体はそのままでも売れてしまうことも多いため、デジタル投資に二の足を踏むケースも少なくありません。
しかしながら、今や媒体別の広告費で首位となったインターネットメディアが広告の中心となる中、そもそも効果を計測できない媒体は選択肢に入らなくなっていきます。

全ての媒体にアカウンタビリティが求められる中、OOHにおいても、「この広告に出稿すると、どんな人にどのくらい届くのか?」といったシミュレーションや、「あの広告を出稿したが、ターゲットに何人に届き、どのような行動変容を起こしたのか?」という効果測定は、必須の機能になっていくでしょう。測定基準も、単なるimp数や来店数、購買数などだけではなく、OOHならではの多面的な評価軸が開発されていくと考えられます。

 一方で、タクシー広告などの個別空間のOOHを除き、不特定多数の人が行き交うパブリックスペースに掲出される媒体は、Web広告のような厳密は1to1での配信はできません。いうなれば1toNです。「OOHによるターゲティング」については別の機会にまとめてみたいと思いますが、その場所にいる人達の属性や、街の特性、天気や気温、周囲で行われるイベントなど、環境に応じた配信の最適化がOOHの強みになっていくと個人的に思います。

最近ではセンシング技術の発展によって、その場にいる人の「顔色をうかがう」技術も進んでいます。いかに邪魔をせずに、その場の空気を読んで、人々を楽しませるか?ということをOOH自身が学習していく未来が来るかもしれません。
 また媒体の種類も数も多いOOHは、メディアオーナーによって仕様が微妙に異なっていたり、申込みルールが違っていたりと、とにかく仕組みが複雑です。誰にとっても使いやすいオープンなマーケットとは言えません。

OOHの買い方、使い方が「よくわからない」ことで機会損失を引き起こしているケースはたくさんあると思います。いつ、どの枠が空いているのか?今いくらなのか?といった、空き状況確認から、申し込み、さらにレポーティングまでワンストップで実現できる旅行予約サイトのようなUXが必要です。この領域に関しても、最近では様々な企業が切磋琢磨しながら新しいプラットフォームを作ろうとしています。


2. パブリックアート化
 
 2つ目は「パブリックアート」つまり公共空間に出現する作品としてのOOHがより重視されるのではないかという方向性です。OOHには掲出される場所との結びつきの強さや、空間を自在に使えるというクリエイティブの自由度の高さといった特性があります。他媒体と比べても、不特定多数の人に鑑賞される作品性の高いメディアと言えます。

・立体物などインパクトのある特殊展開
・街中でゲリラ的に開催されるイベント
・期間限定駅名表示や発車メロディ
・空間丸ごとジャック

など、エリアや街の特定性を加味しながら、枠に囚われず4次元(xyz+t)5感(視覚+聴覚+触覚+嗅覚+味覚)を駆使して、アイデア次第で何でもできてしまうのがOOHの醍醐味です(もちろんそのために関係各所の審査をクリアすることが前提ですが)。
 しかしながらこれらの特殊展開は、前述した「Web広告化していくOOH」と比べ、その効果推計が容易ではありません。基本的には、いかにその場に来る人の心を捉え、場合によっては広告自体を目的地化し、最終的にニュースメディアやSNS等のアーンドメディアにいかに取り上げられるかが基本的な考え方になります。
アンケートによる従来のような効果測定も併せて行う必要があるでしょう。当然自己満足で終わってしまうことも往々にしてあります。

 少し話が逸れますが、私自身の経験として、こういった企画のクライアントとのアイデア出しは、数ある広告の仕事の中でも至福の時でした。
例えば、担当していた広告主のデザイナーから「例えば、駅のベンチを使ってこんなことができないか?」と目を輝かせて何度も相談されたことは強く印象に残っています。関係者が知恵を出し合いながら新しい仕掛けを企画し、最終的に公共の場へアウトプットする。その過程から結果において、みんなの意識をひとつにする力がOOHにはあります。他のメディアと比べても、OOHの表現に対する広告主の意気込みが異なるもののように感じられました。

 見出しの「パブリックアート」はメタファーとしての意味合いが強いですが、実際に最近では企業活動においてアートが活用されるケースも増えてきました。
例えば、2019年には人材支援サービスを手掛けるビズリーチが、深夜に1時間だけ放映される現代アートの映像作品を渋谷スクランブル交差点に展示しました。本事例では「新しい視点や切り口」を持つ才能を発掘している同社のブランドメッセージをアート作品に重ねて発信した形になりますが、この作品を鑑賞するために終電間際の渋谷に多くのファンが集まりました。社会性の求められる公共空間に、インパクトのあるメッセージを作品として提示することは、これからの企業ブランディングにおいても有効な手段になります。
 最後に、「応援広告」の増加も注目すべきトレンドです。詳細の説明は割愛しますが、推しのアイドルやブランドを応援するために、個人が資金を出し合ってOOHを掲出するケースがここ数年急増しています。
広告出稿自体が目的化している応援広告は、ある意味本末転倒とも取れます。
しかしながら、ファン同士が協力し不特定多数の人が触れる場所に具体的な成果物が作品として残ることで、結果的に応援対象を含むコミュニティの強い絆を生み出します。

企業やブランドを中心に、そこに関わる社員や顧客、社会の気持ちを一つにするきっかけを作り出す力が、OOHにあるのではないかと思います。新型コロナの影響で、これまでのような形で人の集まるイベントが実施しづらくなった今、ある意味リアルな空間での一体感を醸成できるOOHがその役割を果たすのかもしれません。
まさにみんなで作り上げるパブリックアートとしてのOOH。今後の進化に期待感が膨らみます。

さいごに
 
 今回、これまでの仕事の経験や、現在考えていることを踏まえて、OOHの方向性を自分なりに整理してみました。しかしながら書いているうちに次々とOOHの可能性が思い浮かんでしまい、結果的にうまくまとまらない文章になってしまいました。私個人としては、OOHのDX化は不可避の対応として取り組んでいかなければいけないと思いつつ、OOHの一番の面白さは日常の中でその時その場所ならではの偶然の出会い(=セレンディピティ)を生み出せることにあると思っています。OOHの基本的な特性については別の回でまた取り上げたいと思います。

 最後に、これまで述べた内容はもしかしたら最新の動向を掴み切れていないものもあるかも知れません。個人的な意見も多分に含まれます。「もう既にやっている」「事実と異なる」などのツッコミは大歓迎ですので、これを機にOOHの議論を活性化させ、組織&領域横断的な業界の盛り上げに一躍を担えれば、これ程嬉しいことはありません。





平井健一郎 / 空間メディアプランナー
電鉄系ITベンチャーでDXのプランナーをやっています。これまでパブリックスペースの広告やアート、データ活用に長く携わってきた経験から、 本noteでは「公共空間のメディアとしての可能性」について考えていきます。
Oh! OOH!!管理人 / 販促会議でOOHのコラム連載中

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