OOHニュース
【keyperson interview】パーティークリエイターもとい“体験クリエイター”・アフロマンスさん「やっぱり『♯楽しいが必要だ』コロナが気付かせてくれた、今、本当に大切なもの」【後編】
SPACE MEDIAを運営するミューカ代表・大塚省伍がOOH業界を牽引するキーパーソンの方々と対談を行い、変化の激しい業界の未来を創造する特集企画。
第4回目の対談相手は話題のパーティーイベントを数々手掛けてきた体験クリエイターのアフロマンスさん。2012年に開催された「泡パ®」を始め「喰種レストラン」「マグロハウス®」など世の中をワクワクで埋め尽くしてきた。そんな彼が2021年に思う「#楽しいが必要だ」の未来とは? さらには、インタビュー中にOOHのアイデア会議が突如スタート!必見です!
前編はこちら
今、ローカルと都会のコラボがオモシロい
大塚:「マグマやきいも電車」もそうですが、地方のイベントを多く企画されていますが、地方の魅力とは何でしょう?
アフロマンス:最近、ローカルの体験にとても惹かれてます。例えば、音楽フェスは都心からアクセスがいい都市型のフェスが多かったですが、ここ数年ローカルのロケーションで開催されるフェスも増えてきました。ちなみに「岩壁音楽祭」というイベントは知ってますか?山形県の採石場跡の絶壁の前にステージを組んで開催するちょっと変わった音楽フェス。出演アーティストは東京の人気アーティストたち。その組み合わせが面白いと思ったんですよね。
つまり、ロケーションなどのハードがローカルのもので、ソフトは東京の最新のもの。その組み合わせだと地元の人は行きたいし、東京からもわざわざ遠征してまで行きたくなる。沖縄で開催しているコロナビールのイベント、コロナサンセットフェスも近いものがあります。
ビーチにステージがあって、頭上を飛行機が飛び、海に沈む太陽を眺めながら音楽を楽しむ。あの雰囲気や空気感は沖縄じゃないと体験できない。その場所にしかないものと上手く掛け合わせることで、ローカルならではの価値のある体験をつくれるのではと思っています。
大塚:今、気になっている地方はありますか?
アフロマンス:北海道上川町にある氷瀑まつりですね。氷瀑とは、流れ落ちる滝が凍ったもののことです。雪まつりとは違い、組んだ骨組みに、ホースでひたすら水をかけて巨大な氷瀑の建造物をつくるんです。地元の有志の方が10人ほどで2ヶ月かけて作ってるらしいんですけど。
コレ凄いですよね!でも、このお祭り知ってました?もっと多くの人に、こんなすごい催しがあることを知って欲しいなと。さっきの話でいうと、ハードがすごいので、もう少しソフトを足すことでもっと魅力的な体験になるなと思っています。例えば、東京からアーティストを招致して、氷瀑の音楽フェスをやるとか、絶景を見ながらサウナに入るという「体験」が欲しい。いつか上川町の方々と一緒にそんなイベントが開催できたらなと妄想しています。
コロナは「楽しい」を「本当に必要なもの」と気付かせてくれた
大塚:去年3月、アフロマンスさんはSNSで「#楽しいが必要だ」というメッセージを発信されました。日本のみならず世界中にシェアされましたが、当時の思いをお話頂けますか?
英語、中国語等にも翻訳され世界中が共感した
アフロマンス:当時は新型コロナの影響でイベントを始め、様々なものが自粛となり、とにかく気持ちが落ち込んでいく状況でした。もちろん大規模イベントはできないし、ステイホームしなきゃいけないんだけど、ちゃんと感染対策しながらでもやれる企画はあると思ったんです。その気持ちを失うのだけは非常にマズいなと思いました。
それまで仕事をする上でも単純に「楽しいことっていいよね」というレベルの認識だったんですが、色んなものを失い、みんなの気持ちが塞がってる空気を感じたことで、楽しいことって実は「めちゃくちゃ必要なこと」だと気付かされたんですよね。こういうご時世だからこそ「あったらいいな」ではなく「本当に必要」。僕自身のマインドがガラリと変わった時期でしたね。
大塚:これからの広告の世界はどうあるべきか?何が必要か、そのあたりをお伺いできますか?
アフロマンス:これから大事なのは制作する側の作家性じゃないですかね。今までの広告代理店の仕事って世間への通訳だと思うんです。企業が世間とのコミュニケーションが上手じゃないので、それを代理店が通訳して発信してあげる的な。でも、もはや御用聞きの代理店なんていらなくて、企業と世の中の間で新しい価値をつくる力、その意味で作家性が必要だと思います。
みんなが能動的に見に行きたくなるOOHの作り方
大塚:OOH(アウトオブホーム=自宅以外の場所に設置された屋外メディア)って、もともとが看板から派生しているので、いいロケーションをゲットしたらそこがゴールみたいになることが多いんですが、本当は体験として残るようなおもしろい見せ方などの提案をもっと考えるべきだと思うんですね。アフロマンスさんが考えるおもしろいOOHの展開例などはございますでしょうか?
アフロマンス:たとえば街中にオブジェや銅像を置いたりする媒体ってないんですか? 渋谷のある場所に立体のアートを置けます、みたいな。平面ではなく立体広告。毎回、ある場所に銅像が立つ!みたいな広告って面白そうだなって。
あ、そう! 京都大学名物の折田先生像って知ってます? 毎年決まった時期に行くと銅像が建っているんですが、毎年銅像が違うんです。ある年は小渕総理のオブジェだったり、あるときは「てんどんまん」だったり「スーパーひとしくん」になってたり。普通銅像って、一回造ったら変わらないじゃないですか。でも折田先生像みたいに毎回変わる銅像広告があってもいいですよね。
大塚:それ、いただいていいですか!?(こっそりメモる……)
アフロマンス:全然大丈夫です(笑)。でも銅像って面白そう。こっちが見て見てと発信するより、みんながわざわざ見に行きたくなって体験したくなるOOHを作りたいですよね。
OOHに必要なモノ…それは「違和感」「日常にある非日常」
アフロマンス:あと、これも思いつきで申し訳ないんですが、最近あまり見かけなくなった「電話ボックス」をメディアにして音声コンテンツが楽しめるとか。毎回コンテンツが変わって中に入って体験できるって面白いですよね。
あと、トイレもいいですよね。トイレジャックメディアみたいな感じで、トイレをアートギャラリーにして、10組のアーティストがそれぞれの感性でトイレをアートにしちゃうとか。しかもトイレって密にならないから究極のone-on-oneのOOH(笑)。
大塚:……(こっそりメモる)
アフロマンス:あとはそうだな……、OOHにカーテン付けるとかどうですか? めくらないと見えない(笑)。普通の広告はひたすら見せるけど、ワンアクションしないと見られない。でも街中の広告に窓があって、カーテンが閉まってたら覗きたくなるじゃないですか。日常の中にある違和感とか非日常な体験も、これからのOOHの仕掛け方のポイントかもしれませんね。
メッセージ性の強い、かしこまったOOHが多いけどそればっかりになると疲れますしね。思わずニヤっとしちゃう、くだらないけど笑顔になる感じのOOHが今の時代はいいんじゃないかなと思うんです。
大塚:いやぁ~、めちゃくちゃ凄いですね! 全部参考にさせて頂きたいですが、これってやっぱり記事で紹介しない方がいいですよね? アイデア奪われそうで……。
アフロマンス:いや、こういうアイデアって言ってしまった方がいいんですよ。これもアイデアのコツだと思うんですが、思いついたことはどんどん言って、公にした方がいいです。ぶっちゃけ、パクる人よりも協力する人の方が多いので、種まきだと思って発信すると、問い合わせが来て実現しやすいんですよね。
大塚:なるほど!ありがとうございます!
アフロマンス:僕の肌感覚ですが、国内のOOHの可能性はまだまだあると思ってて、もっとおもしろくできると思うんです。VRとかテクノロジー系が流行ってるけど、一方でかなり掘られているところもあると思うので、むしろリアルなOOHにチャンスがたくさんあると思います。そんな話をいろんなクリエイターと考える会議あったら楽しそうですね。
大塚:いいですね! 「究極のOOH会議」やりましょうよ! 参加して頂けますか?
アフロマンス:はい、よろこんで(笑)
プロフィール
体験クリエイター・DJ。クリエイティブカンパニー「Afro&Co.」代表。2012年、都内初の泡パーティーを開催し、全国に「泡パ®」ムーブメントを起こす。以降、「マグロハウス®」「BATHTUB CINEMA」などの主催に加え、数々の体験型イベントを企画。2020年コロナ禍に発信した「#楽しいが必要だ」のメッセージが大きな反響を呼び、英語、中国語、スペイン語などに翻訳され世界を席巻。「楽しい」を追求し続ける稀代のクリエイターとして精力的に活動している。
アフロマンスさんツイッター
@afromance
Afro&Co.オフィシャルHP
https://afroand.co/
取材・撮影場所/WIRED SHIBUYA
https://www.cafecompany.co.jp/brands/wired_project/
取材・文/太田光洋
第4回目の対談相手は話題のパーティーイベントを数々手掛けてきた体験クリエイターのアフロマンスさん。2012年に開催された「泡パ®」を始め「喰種レストラン」「マグロハウス®」など世の中をワクワクで埋め尽くしてきた。そんな彼が2021年に思う「#楽しいが必要だ」の未来とは? さらには、インタビュー中にOOHのアイデア会議が突如スタート!必見です!
前編はこちら
今、ローカルと都会のコラボがオモシロい
大塚:「マグマやきいも電車」もそうですが、地方のイベントを多く企画されていますが、地方の魅力とは何でしょう?
アフロマンス:最近、ローカルの体験にとても惹かれてます。例えば、音楽フェスは都心からアクセスがいい都市型のフェスが多かったですが、ここ数年ローカルのロケーションで開催されるフェスも増えてきました。ちなみに「岩壁音楽祭」というイベントは知ってますか?山形県の採石場跡の絶壁の前にステージを組んで開催するちょっと変わった音楽フェス。出演アーティストは東京の人気アーティストたち。その組み合わせが面白いと思ったんですよね。
つまり、ロケーションなどのハードがローカルのもので、ソフトは東京の最新のもの。その組み合わせだと地元の人は行きたいし、東京からもわざわざ遠征してまで行きたくなる。沖縄で開催しているコロナビールのイベント、コロナサンセットフェスも近いものがあります。
ビーチにステージがあって、頭上を飛行機が飛び、海に沈む太陽を眺めながら音楽を楽しむ。あの雰囲気や空気感は沖縄じゃないと体験できない。その場所にしかないものと上手く掛け合わせることで、ローカルならではの価値のある体験をつくれるのではと思っています。
大塚:今、気になっている地方はありますか?
アフロマンス:北海道上川町にある氷瀑まつりですね。氷瀑とは、流れ落ちる滝が凍ったもののことです。雪まつりとは違い、組んだ骨組みに、ホースでひたすら水をかけて巨大な氷瀑の建造物をつくるんです。地元の有志の方が10人ほどで2ヶ月かけて作ってるらしいんですけど。
コレ凄いですよね!でも、このお祭り知ってました?もっと多くの人に、こんなすごい催しがあることを知って欲しいなと。さっきの話でいうと、ハードがすごいので、もう少しソフトを足すことでもっと魅力的な体験になるなと思っています。例えば、東京からアーティストを招致して、氷瀑の音楽フェスをやるとか、絶景を見ながらサウナに入るという「体験」が欲しい。いつか上川町の方々と一緒にそんなイベントが開催できたらなと妄想しています。
コロナは「楽しい」を「本当に必要なもの」と気付かせてくれた
大塚:去年3月、アフロマンスさんはSNSで「#楽しいが必要だ」というメッセージを発信されました。日本のみならず世界中にシェアされましたが、当時の思いをお話頂けますか?
英語、中国語等にも翻訳され世界中が共感した
アフロマンス:当時は新型コロナの影響でイベントを始め、様々なものが自粛となり、とにかく気持ちが落ち込んでいく状況でした。もちろん大規模イベントはできないし、ステイホームしなきゃいけないんだけど、ちゃんと感染対策しながらでもやれる企画はあると思ったんです。その気持ちを失うのだけは非常にマズいなと思いました。
それまで仕事をする上でも単純に「楽しいことっていいよね」というレベルの認識だったんですが、色んなものを失い、みんなの気持ちが塞がってる空気を感じたことで、楽しいことって実は「めちゃくちゃ必要なこと」だと気付かされたんですよね。こういうご時世だからこそ「あったらいいな」ではなく「本当に必要」。僕自身のマインドがガラリと変わった時期でしたね。
大塚:これからの広告の世界はどうあるべきか?何が必要か、そのあたりをお伺いできますか?
アフロマンス:これから大事なのは制作する側の作家性じゃないですかね。今までの広告代理店の仕事って世間への通訳だと思うんです。企業が世間とのコミュニケーションが上手じゃないので、それを代理店が通訳して発信してあげる的な。でも、もはや御用聞きの代理店なんていらなくて、企業と世の中の間で新しい価値をつくる力、その意味で作家性が必要だと思います。
みんなが能動的に見に行きたくなるOOHの作り方
大塚:OOH(アウトオブホーム=自宅以外の場所に設置された屋外メディア)って、もともとが看板から派生しているので、いいロケーションをゲットしたらそこがゴールみたいになることが多いんですが、本当は体験として残るようなおもしろい見せ方などの提案をもっと考えるべきだと思うんですね。アフロマンスさんが考えるおもしろいOOHの展開例などはございますでしょうか?
アフロマンス:たとえば街中にオブジェや銅像を置いたりする媒体ってないんですか? 渋谷のある場所に立体のアートを置けます、みたいな。平面ではなく立体広告。毎回、ある場所に銅像が立つ!みたいな広告って面白そうだなって。
あ、そう! 京都大学名物の折田先生像って知ってます? 毎年決まった時期に行くと銅像が建っているんですが、毎年銅像が違うんです。ある年は小渕総理のオブジェだったり、あるときは「てんどんまん」だったり「スーパーひとしくん」になってたり。普通銅像って、一回造ったら変わらないじゃないですか。でも折田先生像みたいに毎回変わる銅像広告があってもいいですよね。
大塚:それ、いただいていいですか!?(こっそりメモる……)
アフロマンス:全然大丈夫です(笑)。でも銅像って面白そう。こっちが見て見てと発信するより、みんながわざわざ見に行きたくなって体験したくなるOOHを作りたいですよね。
OOHに必要なモノ…それは「違和感」「日常にある非日常」
アフロマンス:あと、これも思いつきで申し訳ないんですが、最近あまり見かけなくなった「電話ボックス」をメディアにして音声コンテンツが楽しめるとか。毎回コンテンツが変わって中に入って体験できるって面白いですよね。
あと、トイレもいいですよね。トイレジャックメディアみたいな感じで、トイレをアートギャラリーにして、10組のアーティストがそれぞれの感性でトイレをアートにしちゃうとか。しかもトイレって密にならないから究極のone-on-oneのOOH(笑)。
大塚:……(こっそりメモる)
アフロマンス:あとはそうだな……、OOHにカーテン付けるとかどうですか? めくらないと見えない(笑)。普通の広告はひたすら見せるけど、ワンアクションしないと見られない。でも街中の広告に窓があって、カーテンが閉まってたら覗きたくなるじゃないですか。日常の中にある違和感とか非日常な体験も、これからのOOHの仕掛け方のポイントかもしれませんね。
メッセージ性の強い、かしこまったOOHが多いけどそればっかりになると疲れますしね。思わずニヤっとしちゃう、くだらないけど笑顔になる感じのOOHが今の時代はいいんじゃないかなと思うんです。
大塚:いやぁ~、めちゃくちゃ凄いですね! 全部参考にさせて頂きたいですが、これってやっぱり記事で紹介しない方がいいですよね? アイデア奪われそうで……。
アフロマンス:いや、こういうアイデアって言ってしまった方がいいんですよ。これもアイデアのコツだと思うんですが、思いついたことはどんどん言って、公にした方がいいです。ぶっちゃけ、パクる人よりも協力する人の方が多いので、種まきだと思って発信すると、問い合わせが来て実現しやすいんですよね。
大塚:なるほど!ありがとうございます!
アフロマンス:僕の肌感覚ですが、国内のOOHの可能性はまだまだあると思ってて、もっとおもしろくできると思うんです。VRとかテクノロジー系が流行ってるけど、一方でかなり掘られているところもあると思うので、むしろリアルなOOHにチャンスがたくさんあると思います。そんな話をいろんなクリエイターと考える会議あったら楽しそうですね。
大塚:いいですね! 「究極のOOH会議」やりましょうよ! 参加して頂けますか?
アフロマンス:はい、よろこんで(笑)
プロフィール
体験クリエイター・DJ。クリエイティブカンパニー「Afro&Co.」代表。2012年、都内初の泡パーティーを開催し、全国に「泡パ®」ムーブメントを起こす。以降、「マグロハウス®」「BATHTUB CINEMA」などの主催に加え、数々の体験型イベントを企画。2020年コロナ禍に発信した「#楽しいが必要だ」のメッセージが大きな反響を呼び、英語、中国語、スペイン語などに翻訳され世界を席巻。「楽しい」を追求し続ける稀代のクリエイターとして精力的に活動している。
アフロマンスさんツイッター
@afromance
Afro&Co.オフィシャルHP
https://afroand.co/
取材・撮影場所/WIRED SHIBUYA
https://www.cafecompany.co.jp/brands/wired_project/
取材・文/太田光洋
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