OOHニュース
【keyperson interview】アソビシステム・中川悠介氏「アフターコロナに何をするか?ではなく、Withコロナをどう生きていくかが重要」【後編】
SPACE MEDIAを運営するミューカ代表・大塚省伍がOOH業界を牽引するキーパーソンの方々と対談を行い、変化の激しい業界の未来を創造する特集企画。
第2回目の対談相手は、アソビシステム株式会社代表取締役・中川悠介氏。きゃりーぱみゅぱみゅさん、中田ヤスタカさんなどの人気アーティストが所属し、原宿発のポップカルチャーを世界へ発信してきたエンタメ界の雄。イベント運営からインバウンド施策も積極的に行う中川氏に、優れたアイデアを生み出すヒント、Withコロナで変わるエンタメビジネスの新機軸について聞いた。
前編はこちら
Withコロナ時代にはハイブリッド型が求められる
中川:この前、聞いた話なんですけど、ある調査ではコロナの影響で給料収入が5割減った人って日本全体の2割りぐらいなのですが、僕らのエンタメとか観光業界では収入が5割以上減った人が6割もいるらしいんです。
それを考えると、所得が減った人の中で、エンタメと観光業界の人の占める割合は、結構、多いと思うんです。その上、相変わらずエンタメ業界はいつまでも不要不急に思われがちなところもあると思います。
大塚:2020年はイベント、ライブなど壊滅的でしたよね。
中川:去年2月にきゃりーぱみゅぱみゅのライブをやってから有観客ライブは全部中止になりましたし、原宿の店もほとんど開いてない状態に。昼の12時に人がいない原宿なんか初めて見ましたよ。とはいえ1年経ってもまだその影響が残っているし、世の中が落ち着いてきても、僕らの不安はなくならないと思うんですよね。
エンタメ的にはいままでやってきたスピードで動くのはもう遅くて、今まで以上のスピードと変化が求められるんじゃないかなと思ってます。じゃないと、時代についていけなくなりますよね。
昨年2月のライブ以降、有観客は断念。新たなライブのスタイルが求められている
大塚:中川社長が思うライブやイベントの未来とは?
中川:完全にハイブリッド型になると思います。ライブで言えばリアルな観客もいていいし、配信で楽しむ人がいてもいい。今までは双方の同時進行がそんなに良しとされていなかったと思うんですが、今後は、お客さんそれぞれの捉え方でいいかなと。
「アフターコロナに何をするか?」という考え方が多いと思いますが、本当のところは「Withコロナをどう生きていくか」が大切。気にする人は気にして、ちゃんと気をつけながら会場に来たい人は来る。
それぞれのライフスタイルを尊重した提案ができると思っています。熱量の感じ方、楽しみ方は人それぞれ違うので、それぞれの感じ方を選択することでいいと思うんですよね。今後はそれが普通になってくるはず。
大塚:では、「Withコロナ」で発信者となるタレントに求められるものとは何でしょうか?
中川:1億2000万人に向けて発信するのではなく、コアなファンに向けて、より伝えることが大切になってくるんじゃないですかね。しかも、知名度や人気というよりも、熱量のあるファンに支えられているタレントが強くなっていく時代だと思います。
先日、動画コンテンツ関連の方と話をしたんですが、最近専門チャンネルがかなり増えてて、ゲーム実況、釣り動画を始め、今までになかったジャンルのチャンネルが増加してるらしいんですよ。少し時代が変化してる気がしますね。
これまでの原宿、そしてこれからの原宿
大塚:長年、原宿の街から新たなカルチャーを発信してきた中川社長ですが、コロナ禍で改めて街の魅力に気付かされたことはありますか?
中川:コロナ禍で街をブラブラしていたら、散歩してるのは地元のおじいちゃんやおばあちゃんばかり。コロナ前は気付かなかったけど、原宿にはこんなに多くの人が住んでいるんだなと思ったんです。
それって街の魅力だと思うんですよね。世界的にファッションやカルチャーで盛り上がってる街でも、一歩奥に入れば普通に人が住んでいて、住居があって、それぞれのライフスタイルがある。
ちょっと前は、原宿って、なんか、人間味のない街だなと時折、感じたこともあったんですが、散歩をきっかけに今まで以上にこの街を盛り上げたい!と思いました。
大塚:原宿に新たな期待もされていると?
中川:もちろんです。コロナで路面店などの好立地でも空きテナントが増えてますけど、それって新しい原宿に進化する前触れではないかと思うんです。変化と進化をし続けるのがカルチャーであり、ストリートであり、つまり原宿でもある。
このご時世、家賃の高い路面店に出店する価値はないという人も多いんですけど、文化の生まれるストリートと面した路面店に出店しやすいという状況は、今までにないほどのチャンスでもありますよね。コロナ前なら出店したくても空きがない状態でしたから。
人のリアルな息吹が感じられるストリートと身近に触れ合えることは、得られる感覚や得られるスピードが絶対に違うはず。
みんながコロナの猛威を経験し、いろいろなことを考えるようになりましたが、その中でも必ずカルチャーは生まれて、Withコロナでのストリートの在り方も見えてきます。
Withコロナでのストリートは、どんな位置であっても、次の時代のカルチャーになるわけです。その感覚を瞬時に得て発信する会社がこれから出店し、街全体に新しい流れができる。次世代のエンタメやカルチャーの発信に必ず必要な現象だと思うので、僕らも僕らなりに発信し続けたいと思ってます。
中川悠介氏 プロフィール
1981年、東京生まれ。きゃりーぱみゅぱみゅなど世界で活躍するアーティストが所属するアソビシステムを07年に設立。青文字系カルチャーの生みの親であり、原宿を拠点にファッション・音楽・ライフスタイルを世界に発信。国内におけるインバウンド施策も精力的に行っている。
アソビシステムHP
https://asobisystem.com/
イベント情報
来る4月17日(土)、1年2ヶ月ぶりとなる有観客ライブ「きゃりーぱみゅぱみゅ PREMIUM LIVE」を開催。新型コロナウイルス感染症対策を実施したうえでの1日2公演での開催だ。
「去年2月にライブをやってから、一度オンラインでやりましたがお客さんを入れてのライブは初めて。本人の熱量含めて、人を前にしてやることへの楽しみが今はキャストスタッフ含め溢れまくっています! 一丸となって盛り上げていきたいと思っていますので、ぜひ、ご期待下さい!」(中川さん)
■タイトル:きゃりーぱみゅぱみゅ PREMIUM LIVE
■日程:2021年4月17日(土)
■会場:EX THEATER ROPPONGI (〒106-0031 東京都港区西麻布1-2-9)
■公演時間:
・第一部 13:00開場/14:00開演
・第二部 17:00開場/18:00開演
イベント情報URL:
http://kyary.asobisystem.com/topics/index.php?id=454&top
取材・文/太田光洋
第2回目の対談相手は、アソビシステム株式会社代表取締役・中川悠介氏。きゃりーぱみゅぱみゅさん、中田ヤスタカさんなどの人気アーティストが所属し、原宿発のポップカルチャーを世界へ発信してきたエンタメ界の雄。イベント運営からインバウンド施策も積極的に行う中川氏に、優れたアイデアを生み出すヒント、Withコロナで変わるエンタメビジネスの新機軸について聞いた。
前編はこちら
Withコロナ時代にはハイブリッド型が求められる
中川:この前、聞いた話なんですけど、ある調査ではコロナの影響で給料収入が5割減った人って日本全体の2割りぐらいなのですが、僕らのエンタメとか観光業界では収入が5割以上減った人が6割もいるらしいんです。
それを考えると、所得が減った人の中で、エンタメと観光業界の人の占める割合は、結構、多いと思うんです。その上、相変わらずエンタメ業界はいつまでも不要不急に思われがちなところもあると思います。
大塚:2020年はイベント、ライブなど壊滅的でしたよね。
中川:去年2月にきゃりーぱみゅぱみゅのライブをやってから有観客ライブは全部中止になりましたし、原宿の店もほとんど開いてない状態に。昼の12時に人がいない原宿なんか初めて見ましたよ。とはいえ1年経ってもまだその影響が残っているし、世の中が落ち着いてきても、僕らの不安はなくならないと思うんですよね。
エンタメ的にはいままでやってきたスピードで動くのはもう遅くて、今まで以上のスピードと変化が求められるんじゃないかなと思ってます。じゃないと、時代についていけなくなりますよね。
昨年2月のライブ以降、有観客は断念。新たなライブのスタイルが求められている
大塚:中川社長が思うライブやイベントの未来とは?
中川:完全にハイブリッド型になると思います。ライブで言えばリアルな観客もいていいし、配信で楽しむ人がいてもいい。今までは双方の同時進行がそんなに良しとされていなかったと思うんですが、今後は、お客さんそれぞれの捉え方でいいかなと。
「アフターコロナに何をするか?」という考え方が多いと思いますが、本当のところは「Withコロナをどう生きていくか」が大切。気にする人は気にして、ちゃんと気をつけながら会場に来たい人は来る。
それぞれのライフスタイルを尊重した提案ができると思っています。熱量の感じ方、楽しみ方は人それぞれ違うので、それぞれの感じ方を選択することでいいと思うんですよね。今後はそれが普通になってくるはず。
大塚:では、「Withコロナ」で発信者となるタレントに求められるものとは何でしょうか?
中川:1億2000万人に向けて発信するのではなく、コアなファンに向けて、より伝えることが大切になってくるんじゃないですかね。しかも、知名度や人気というよりも、熱量のあるファンに支えられているタレントが強くなっていく時代だと思います。
先日、動画コンテンツ関連の方と話をしたんですが、最近専門チャンネルがかなり増えてて、ゲーム実況、釣り動画を始め、今までになかったジャンルのチャンネルが増加してるらしいんですよ。少し時代が変化してる気がしますね。
これまでの原宿、そしてこれからの原宿
大塚:長年、原宿の街から新たなカルチャーを発信してきた中川社長ですが、コロナ禍で改めて街の魅力に気付かされたことはありますか?
中川:コロナ禍で街をブラブラしていたら、散歩してるのは地元のおじいちゃんやおばあちゃんばかり。コロナ前は気付かなかったけど、原宿にはこんなに多くの人が住んでいるんだなと思ったんです。
それって街の魅力だと思うんですよね。世界的にファッションやカルチャーで盛り上がってる街でも、一歩奥に入れば普通に人が住んでいて、住居があって、それぞれのライフスタイルがある。
ちょっと前は、原宿って、なんか、人間味のない街だなと時折、感じたこともあったんですが、散歩をきっかけに今まで以上にこの街を盛り上げたい!と思いました。
大塚:原宿に新たな期待もされていると?
中川:もちろんです。コロナで路面店などの好立地でも空きテナントが増えてますけど、それって新しい原宿に進化する前触れではないかと思うんです。変化と進化をし続けるのがカルチャーであり、ストリートであり、つまり原宿でもある。
このご時世、家賃の高い路面店に出店する価値はないという人も多いんですけど、文化の生まれるストリートと面した路面店に出店しやすいという状況は、今までにないほどのチャンスでもありますよね。コロナ前なら出店したくても空きがない状態でしたから。
人のリアルな息吹が感じられるストリートと身近に触れ合えることは、得られる感覚や得られるスピードが絶対に違うはず。
みんながコロナの猛威を経験し、いろいろなことを考えるようになりましたが、その中でも必ずカルチャーは生まれて、Withコロナでのストリートの在り方も見えてきます。
Withコロナでのストリートは、どんな位置であっても、次の時代のカルチャーになるわけです。その感覚を瞬時に得て発信する会社がこれから出店し、街全体に新しい流れができる。次世代のエンタメやカルチャーの発信に必ず必要な現象だと思うので、僕らも僕らなりに発信し続けたいと思ってます。
中川悠介氏 プロフィール
1981年、東京生まれ。きゃりーぱみゅぱみゅなど世界で活躍するアーティストが所属するアソビシステムを07年に設立。青文字系カルチャーの生みの親であり、原宿を拠点にファッション・音楽・ライフスタイルを世界に発信。国内におけるインバウンド施策も精力的に行っている。
アソビシステムHP
https://asobisystem.com/
イベント情報
来る4月17日(土)、1年2ヶ月ぶりとなる有観客ライブ「きゃりーぱみゅぱみゅ PREMIUM LIVE」を開催。新型コロナウイルス感染症対策を実施したうえでの1日2公演での開催だ。
「去年2月にライブをやってから、一度オンラインでやりましたがお客さんを入れてのライブは初めて。本人の熱量含めて、人を前にしてやることへの楽しみが今はキャストスタッフ含め溢れまくっています! 一丸となって盛り上げていきたいと思っていますので、ぜひ、ご期待下さい!」(中川さん)
■タイトル:きゃりーぱみゅぱみゅ PREMIUM LIVE
■日程:2021年4月17日(土)
■会場:EX THEATER ROPPONGI (〒106-0031 東京都港区西麻布1-2-9)
■公演時間:
・第一部 13:00開場/14:00開演
・第二部 17:00開場/18:00開演
イベント情報URL:
http://kyary.asobisystem.com/topics/index.php?id=454&top
取材・文/太田光洋