OOHニュース
「導入後」に重点を置いたユニークなサービスを次々と提案 株式会社クラウドポイント
デジタルサイネージは、店舗や施設にとって集客を左右する重要な販促ツールであるだけではなく、災害時の情報提供や業務効率の向上など、さまざまな役割を果たしている。
インフラの一部となっているからこそ、誰でも簡単に運用できる仕組みと、故障時のサポートが必要不可欠だ。
今回はデジタルサイネージの開発から運用・保守までトータルサービスと、クリエイティブとテクノロジーを組み合わせたスペースデザインを手がけるクラウドポイントに、次世代のサイネージビジネスの展望を聞いた。
来客の価値向上と業務効率改善をデジタルサイネージで解決
大塚:今日は主に、デジタルサイネージとスペースデザインの事業について伺いたいと思います。まずデジタルサイネージの領域では、どのような戦略で事業を展開されているのでしょうか。
渡辺:大きなトレンドとしてはOOHとインストアメディアの2つですね。そうした中で当社は「空間のデジタル化」と「表層デザイン」によって、来店されるお客様の体験価値を向上することを主軸としています。
同時に、デジタルサイネージは商空間に設置されることが多いので、そこで働いている人の働き方の向上も意識しています。
大塚:働き方の向上というと?
渡辺:例えば紙のポスターは季節や商品の切り替えに合わせて物理的に貼り替えなければいけませんが、デジタルサイネージならプログラミングによって予約配信ができるので一瞬で完了します。業務効率の改善が労働時間短縮につながるんです。
大塚:確かにそうですね。掲出箇所が多い企業ほど、その効果を実感しそうです。
渡辺:実際、ケンタッキー様やB-Rサーティワン アイスクリーム様など、全国展開している店舗のメニューボードに採用いただいており、これまで全国17,000カ所、40,000面以上のデジタルサイネージを掲出してきました。
大塚:1店舗に複数面設置しているとはいえ、40,000面はすごいですね!
渡辺:お客様がもともとお持ちの要望としては、「デジタルサイネージを使いたい」ではなく、「DX化したい」というものです。
新たな顧客価値を創造し、業務を効率化するためのデジタルソリューションとして、求められている部分が多いですね。
大塚:スペースデザインの方では、どういった場所での案件が多いでしょうか。
渡辺:商業施設ですと主に関東以南で多く取引させていただいています。館全体のサイン計画を丸ごと請け負うので、テナントの情報をどう出すかという仕組みも含めて提案しています。
交通機関では、北海道から沖縄までの駅や空港で導入いただいています。
それからオフィスも多いですね。特に最近、エントランスのデジタル化が進んでいます。
訪問の待ち時間にご覧いただけるようグリーティングルームに短い映像を投映し、ブランディングを図るものです。
大塚:結構見入っちゃいますよね。コンテンツの制作もされているんですか?
渡辺:はい、社内のデザインチームが担当しています。強みは、平面だけでなく立体的なコンテンツを作れることです。
サイネージならではのスケール感や距離、プロジェクター、モニター、LEDビジョンの色の特性、明るさなど商環境を考慮したデザインが可能です。
ある企業では、「ダイナミック・ライブ・オフィス」というテーマで、人が歩くと重量に反応して絵柄が変わる廊下を作りました。
純粋なクリエイターというよりも、システムエンジニアに近い知識や技術をもったメンバーが手がけています。
サービス体系・ハードウェア・システム…「何かが新しい」ユニークな取り組みの数々
大塚:最近の事例で注目度の高いものを教えてください。
渡辺:まずは大阪地下街の「ホワイティうめだ」からご紹介します。特色は「サービスソリューション提供型契約」です。
イニシャルコストとランニングコストを合わせた金額を60カ月で割り、広告の申し込み状況に関わらず月額でお支払いいただくというものです。
サブスクリプションで広告やサービスを提供するのは新しい取り組みでして、イニシャルコストや運用・保守体制面での導入ハードルが下がるというメリットがありました。
大塚:これはユニークなビジネスモデルですね。
渡辺:災害時には避難誘導に関する情報も表示します。国や気象庁、消防庁、内閣府と情報連携をして、安心安全のためのメディアとして活用されます。
パートナー企業の協力得て、これらを含めてサービスソシューションとして、定額で販売するというのがポイントです。
通行量の多い大阪地下街で、視認性の高い媒体を連続で設置。高い広告価値を確信するからこそ、定額での販売が成立した
渡辺:「渋谷55ストリートビジョン」は、ハード面で際立った事例です。渋谷駅 半蔵門線と東急線の通路にある12柱24面に、超高精細の1.2mmピッチのLEDビジョンを取り付けました。
大塚:1.2mmというと、業界でも類を見ませんね。開発には苦労されたのでは?
渡辺:おそらくOOHとしての使い方では、導入当時の業界最高水準ではないかと。ただ、高精細のLEDビジョンを広告に使うのはコスト面での指摘がありました。
それでも、「渋谷」×「高いサーキュレーション」に加えて「日本初」という要素が加わることで媒体としての価値は確実にあると考え、慎重に開発を進めました。
通行人が触れられる位置にあるので、保守のために表面がコーティングされた最新のCOB式LEDを使用しており、ゴムハンマーでたたいても問題ない強度が実現しています。
大塚:実際、リリースしてからずっと満稿状態ですよね。渋谷駅の中でもかなりいいポジションだと思います。
渡辺:ありがたいことに、ロケーションとテクノロジー、クリエイティブが融合した事例として、こちらの媒体は「DSCアワード2023優秀賞」を受賞しました。
通路がわずかに湾曲しているため、奥のサイネージまで見通せる。少しずつコンテンツをずらすことで動的に見せることも可能だ
渡辺:最後に「八重洲地下街」の事例です。70型のモニターを、13本の柱に4面ずつ、計52面設置しています。
以前は1柱に1面、残り3面はアナログポスターの枠で、立地の割には安価で販売されていました。当社で「もっと高く売れるのでは?」と考え、カメラをつけて通行量を計測し、近隣の媒体とも比較しました。
さらに4面すべてをデジタルサイネージにすることで単価を上げる、料金改定のコンサルティングを行いました。
ポスターボードをデジタル化することで視認性・集客力がアップ。媒体価値が向上するとともに、景観の整備にも貢献した
大塚:媒体の価値を上げることは、メディアオーナーにも広告主にもメリットがありますね。ほかに、何か独自の取り組み・商品はありますか?
渡辺:「LED WORLD」は、当社独自のLEDビジョンのオリジナルブランドです。LEDビジョンは16:9のモニターと異なり縦横比率を自由に変えられるので、空間に合わせた演出が可能です。
先ほどご紹介した「渋谷55ストリートビジョン」で使用したLEDビジョンも、自社ブランドです。
「フォグリア」は、オフィスの会議室などのガラス面にはる調光フィルムです。白濁状態と透明状態をスイッチのオン/オフによって切り替えられるので、使用状況がわかり、会議の気密も守ります。
大塚:フィルムといえば、確かラッピングバスを始めたのも御社でしたよね?
渡辺:そうです。実は、創業初期からフィルムを使ったアナログの空間演出と広告を手がけていまして、工事現場の仮囲いや改札のフロア広告、エスカレーターの手すり広告などのメディア開発も行いました。
そうした事業の一部がデジタル化して、デジタルサイネージの事業につながっているんです。
大塚:なるほど。つながりますね。
渡辺:それから「クラウドエクサ」というサイネージの配信システムがあります。全国に展開している店舗のサイネージを、本部の担当者がコンテンツを一括で管理できるシステムです。
期間、時間帯によって表示を変えることも、エリアごとに価格を変えることも、すべて制御できます。こちらが好評で、国内出荷10,000台を突破しました。
大塚:多店舗展開している企業は、もはやこれなしでは運用できませんね。
渡辺:何より大切なのは、現在問題なく稼働しているのかどうかを瞬時に確認できる点です。
何か不具合が起きている際にはアラートが出るので、コールセンターに連絡いただれば、全国の協力会社から即時対応に動きます。
企画から運用保守まで一貫対応。次世代型メディアの開発に意欲
大塚:ここまで御社の事業と実例を見てきましたが、一番の強みは何でしょうか。
渡辺:当社にはコンサル、企画、コンテンツ制作、施工、保守、分析すべての部門があり、それぞれにスペシャリストがいます。
ここに、長年培ったノウハウが加わりますので、すべて使って丸ごと請け負うことも、必要な部分だけ請け負うこともできます。
大塚:心強い体制です。特にデジタルサイネージでは、運用するシステムの使いやすさと、故障時の保守が重要かもしれませんね。
渡辺:はい。どちらかというと導入後のサポートに力を入れていまして、保守・延長保証サービスも行っています。
2022年3月には保守・運用代行を行うグループ会社「株式会社シーピープラス」を設立しました。
24時間365日対応可能なコールセンターを持っていまして、当社だけでなく他社のデジタルサイネージの保守・運用代行も請け負います。
大塚:今後の事業展望をお聞かせください。
渡辺: AIが発展してきて、カメラによってユーザーの性別や年齢層を判別できるようになっています。
これをデジタルサイネージと組み合わせることで広告を最適化し、より個人にフォーカスしたコミュニケーションの精度を上げていきたいと思っています。
また、「脱16:9」ということも考えています。現在、ほとんどのデジタルコンテンツはモニターサイズの16:9に合わせて作られていますが、飽きられはじめているんです。
例えば、インスタグラムの投稿写真はスクエア型ですよね。サッカー場のフィールド脇ビジョンは極端に横長です。今後、さらに個性豊かなメディアが出てくるので、もっと自由な表現ができるようになるのではないでしょうか。
大塚:おっしゃる通り、ユニークな形のメディアは、そのものが注目を集めそうですね。
渡辺:それから、駅や公共機関のサインの機能向上として、滞留させない・行列をつくらないということに取り組もうとしています。
トイレのサインで「左260m、使用率85% 右290m 使用率10%」とあったら、迷わず空いている方に行けますよね。
大塚:ありそうでなかったアイデアですね!特に大型ターミナルや観光地だと役立ちそうです。今回はデジタルサイネージの新たな可能性を知ることができました。
プロフィール
株式会社クラウドポイント
ビジネス開発ディビジョン Div 長
渡辺 剛仁
https://www.cloudpoint.co.jp
1997年株式会社クラウドポイント入社。デジタルサイネージ事業のプロデュース、各種サイネージセミナーの講師を担当。2018年DSC(デジタルサイネージコンソーシアム) マーケティング・ラボ部会員。2020年よりDSC(デジタルサイネージコンソーシアム)理事、2023年よりDSJ(デジタルサイネージジャパン)実行委員、を務める。
取材・文/大貫翔子
インフラの一部となっているからこそ、誰でも簡単に運用できる仕組みと、故障時のサポートが必要不可欠だ。
今回はデジタルサイネージの開発から運用・保守までトータルサービスと、クリエイティブとテクノロジーを組み合わせたスペースデザインを手がけるクラウドポイントに、次世代のサイネージビジネスの展望を聞いた。
来客の価値向上と業務効率改善をデジタルサイネージで解決
大塚:今日は主に、デジタルサイネージとスペースデザインの事業について伺いたいと思います。まずデジタルサイネージの領域では、どのような戦略で事業を展開されているのでしょうか。
渡辺:大きなトレンドとしてはOOHとインストアメディアの2つですね。そうした中で当社は「空間のデジタル化」と「表層デザイン」によって、来店されるお客様の体験価値を向上することを主軸としています。
同時に、デジタルサイネージは商空間に設置されることが多いので、そこで働いている人の働き方の向上も意識しています。
大塚:働き方の向上というと?
渡辺:例えば紙のポスターは季節や商品の切り替えに合わせて物理的に貼り替えなければいけませんが、デジタルサイネージならプログラミングによって予約配信ができるので一瞬で完了します。業務効率の改善が労働時間短縮につながるんです。
大塚:確かにそうですね。掲出箇所が多い企業ほど、その効果を実感しそうです。
渡辺:実際、ケンタッキー様やB-Rサーティワン アイスクリーム様など、全国展開している店舗のメニューボードに採用いただいており、これまで全国17,000カ所、40,000面以上のデジタルサイネージを掲出してきました。
大塚:1店舗に複数面設置しているとはいえ、40,000面はすごいですね!
渡辺:お客様がもともとお持ちの要望としては、「デジタルサイネージを使いたい」ではなく、「DX化したい」というものです。
新たな顧客価値を創造し、業務を効率化するためのデジタルソリューションとして、求められている部分が多いですね。
大塚:スペースデザインの方では、どういった場所での案件が多いでしょうか。
渡辺:商業施設ですと主に関東以南で多く取引させていただいています。館全体のサイン計画を丸ごと請け負うので、テナントの情報をどう出すかという仕組みも含めて提案しています。
交通機関では、北海道から沖縄までの駅や空港で導入いただいています。
それからオフィスも多いですね。特に最近、エントランスのデジタル化が進んでいます。
訪問の待ち時間にご覧いただけるようグリーティングルームに短い映像を投映し、ブランディングを図るものです。
大塚:結構見入っちゃいますよね。コンテンツの制作もされているんですか?
渡辺:はい、社内のデザインチームが担当しています。強みは、平面だけでなく立体的なコンテンツを作れることです。
サイネージならではのスケール感や距離、プロジェクター、モニター、LEDビジョンの色の特性、明るさなど商環境を考慮したデザインが可能です。
ある企業では、「ダイナミック・ライブ・オフィス」というテーマで、人が歩くと重量に反応して絵柄が変わる廊下を作りました。
純粋なクリエイターというよりも、システムエンジニアに近い知識や技術をもったメンバーが手がけています。
サービス体系・ハードウェア・システム…「何かが新しい」ユニークな取り組みの数々
大塚:最近の事例で注目度の高いものを教えてください。
渡辺:まずは大阪地下街の「ホワイティうめだ」からご紹介します。特色は「サービスソリューション提供型契約」です。
イニシャルコストとランニングコストを合わせた金額を60カ月で割り、広告の申し込み状況に関わらず月額でお支払いいただくというものです。
サブスクリプションで広告やサービスを提供するのは新しい取り組みでして、イニシャルコストや運用・保守体制面での導入ハードルが下がるというメリットがありました。
大塚:これはユニークなビジネスモデルですね。
渡辺:災害時には避難誘導に関する情報も表示します。国や気象庁、消防庁、内閣府と情報連携をして、安心安全のためのメディアとして活用されます。
パートナー企業の協力得て、これらを含めてサービスソシューションとして、定額で販売するというのがポイントです。
通行量の多い大阪地下街で、視認性の高い媒体を連続で設置。高い広告価値を確信するからこそ、定額での販売が成立した
渡辺:「渋谷55ストリートビジョン」は、ハード面で際立った事例です。渋谷駅 半蔵門線と東急線の通路にある12柱24面に、超高精細の1.2mmピッチのLEDビジョンを取り付けました。
大塚:1.2mmというと、業界でも類を見ませんね。開発には苦労されたのでは?
渡辺:おそらくOOHとしての使い方では、導入当時の業界最高水準ではないかと。ただ、高精細のLEDビジョンを広告に使うのはコスト面での指摘がありました。
それでも、「渋谷」×「高いサーキュレーション」に加えて「日本初」という要素が加わることで媒体としての価値は確実にあると考え、慎重に開発を進めました。
通行人が触れられる位置にあるので、保守のために表面がコーティングされた最新のCOB式LEDを使用しており、ゴムハンマーでたたいても問題ない強度が実現しています。
大塚:実際、リリースしてからずっと満稿状態ですよね。渋谷駅の中でもかなりいいポジションだと思います。
渡辺:ありがたいことに、ロケーションとテクノロジー、クリエイティブが融合した事例として、こちらの媒体は「DSCアワード2023優秀賞」を受賞しました。
通路がわずかに湾曲しているため、奥のサイネージまで見通せる。少しずつコンテンツをずらすことで動的に見せることも可能だ
渡辺:最後に「八重洲地下街」の事例です。70型のモニターを、13本の柱に4面ずつ、計52面設置しています。
以前は1柱に1面、残り3面はアナログポスターの枠で、立地の割には安価で販売されていました。当社で「もっと高く売れるのでは?」と考え、カメラをつけて通行量を計測し、近隣の媒体とも比較しました。
さらに4面すべてをデジタルサイネージにすることで単価を上げる、料金改定のコンサルティングを行いました。
ポスターボードをデジタル化することで視認性・集客力がアップ。媒体価値が向上するとともに、景観の整備にも貢献した
大塚:媒体の価値を上げることは、メディアオーナーにも広告主にもメリットがありますね。ほかに、何か独自の取り組み・商品はありますか?
渡辺:「LED WORLD」は、当社独自のLEDビジョンのオリジナルブランドです。LEDビジョンは16:9のモニターと異なり縦横比率を自由に変えられるので、空間に合わせた演出が可能です。
先ほどご紹介した「渋谷55ストリートビジョン」で使用したLEDビジョンも、自社ブランドです。
「フォグリア」は、オフィスの会議室などのガラス面にはる調光フィルムです。白濁状態と透明状態をスイッチのオン/オフによって切り替えられるので、使用状況がわかり、会議の気密も守ります。
大塚:フィルムといえば、確かラッピングバスを始めたのも御社でしたよね?
渡辺:そうです。実は、創業初期からフィルムを使ったアナログの空間演出と広告を手がけていまして、工事現場の仮囲いや改札のフロア広告、エスカレーターの手すり広告などのメディア開発も行いました。
そうした事業の一部がデジタル化して、デジタルサイネージの事業につながっているんです。
大塚:なるほど。つながりますね。
渡辺:それから「クラウドエクサ」というサイネージの配信システムがあります。全国に展開している店舗のサイネージを、本部の担当者がコンテンツを一括で管理できるシステムです。
期間、時間帯によって表示を変えることも、エリアごとに価格を変えることも、すべて制御できます。こちらが好評で、国内出荷10,000台を突破しました。
大塚:多店舗展開している企業は、もはやこれなしでは運用できませんね。
渡辺:何より大切なのは、現在問題なく稼働しているのかどうかを瞬時に確認できる点です。
何か不具合が起きている際にはアラートが出るので、コールセンターに連絡いただれば、全国の協力会社から即時対応に動きます。
企画から運用保守まで一貫対応。次世代型メディアの開発に意欲
大塚:ここまで御社の事業と実例を見てきましたが、一番の強みは何でしょうか。
渡辺:当社にはコンサル、企画、コンテンツ制作、施工、保守、分析すべての部門があり、それぞれにスペシャリストがいます。
ここに、長年培ったノウハウが加わりますので、すべて使って丸ごと請け負うことも、必要な部分だけ請け負うこともできます。
大塚:心強い体制です。特にデジタルサイネージでは、運用するシステムの使いやすさと、故障時の保守が重要かもしれませんね。
渡辺:はい。どちらかというと導入後のサポートに力を入れていまして、保守・延長保証サービスも行っています。
2022年3月には保守・運用代行を行うグループ会社「株式会社シーピープラス」を設立しました。
24時間365日対応可能なコールセンターを持っていまして、当社だけでなく他社のデジタルサイネージの保守・運用代行も請け負います。
大塚:今後の事業展望をお聞かせください。
渡辺: AIが発展してきて、カメラによってユーザーの性別や年齢層を判別できるようになっています。
これをデジタルサイネージと組み合わせることで広告を最適化し、より個人にフォーカスしたコミュニケーションの精度を上げていきたいと思っています。
また、「脱16:9」ということも考えています。現在、ほとんどのデジタルコンテンツはモニターサイズの16:9に合わせて作られていますが、飽きられはじめているんです。
例えば、インスタグラムの投稿写真はスクエア型ですよね。サッカー場のフィールド脇ビジョンは極端に横長です。今後、さらに個性豊かなメディアが出てくるので、もっと自由な表現ができるようになるのではないでしょうか。
大塚:おっしゃる通り、ユニークな形のメディアは、そのものが注目を集めそうですね。
渡辺:それから、駅や公共機関のサインの機能向上として、滞留させない・行列をつくらないということに取り組もうとしています。
トイレのサインで「左260m、使用率85% 右290m 使用率10%」とあったら、迷わず空いている方に行けますよね。
大塚:ありそうでなかったアイデアですね!特に大型ターミナルや観光地だと役立ちそうです。今回はデジタルサイネージの新たな可能性を知ることができました。
プロフィール
株式会社クラウドポイント
ビジネス開発ディビジョン Div 長
渡辺 剛仁
https://www.cloudpoint.co.jp
1997年株式会社クラウドポイント入社。デジタルサイネージ事業のプロデュース、各種サイネージセミナーの講師を担当。2018年DSC(デジタルサイネージコンソーシアム) マーケティング・ラボ部会員。2020年よりDSC(デジタルサイネージコンソーシアム)理事、2023年よりDSJ(デジタルサイネージジャパン)実行委員、を務める。
取材・文/大貫翔子