OOHニュース
7ヶ月ぶりの再開。映画館の広告体験について、思い返してみる。 | 現王園章太
今回の記事は、OOHのプロである現王園さんに寄稿していただき掲載しております。
現王園さんは現在イギリスでお仕事をされており、日本に留まらずグローバルな視野でOOHについて発信をされております。
Twitterやnoteで発信をされているのでチェックしてみてください。
文/現王園章太
映画ファンへの価値還元
映画を観た後の行動をおさえる
Shota Gennozono
平日は広告代理店勤務(屋外広告と交通広告を中心に8年間)で、現在はイギリスに出向中。twitter(@gennozono)では、 #OOHマーケティング でOOHを起点としたマーケティングについて考えてます。
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文/現王園章太
今週のnoteは、映画館での広告事例を紹介していきます!
というのも、、、イギリス最大のシネコンチェーンであるCineworldが5月から映画館の営業を再開する。というニュースがリリースされたからです。
この映画館は、ロックダウンの影響で10月から営業を停止していたので、7ヶ月ぶりにオープンされることになります。
個人的にも映画が好きなので、やっとか。。。という感じなのですが、シネマプロモーションについて、やや忘れてしまっているところもあったので、過去の事例を紐解きながらその特徴を整理しておこうと思っています。
イギリスの映画館広告(シネアド)市場や販売方法については、過去のnoteでまとめておりますので、読んでみて頂ければと思いますっ!
こちらの記事でも紹介しておりますが、イギリスの映画館広告は、Digital Cinema Mediaという会社がほぼ一社で取り仕切っている状態です。
なので、今回はDigital Cinema mediaの主催する、「Digital Cinema Media Awards」などを参考にしながら事例を紹介していければと思います!
映画ファンへの価値還元
イギリスの大手酒類メーカーのGrey Gooseはジンの飲用体験を提供すべく、映画館を使ってイベントを行いました。
Everymanというシネコンチェーンの会員限定イベントに協賛するような形で、ジンを飲みながら映画を見てもらう。というイベントを実施しています。
座席にはGrey Gooseのロゴ入りのクッションなども設置されています
座席にはGrey Gooseのロゴ入りのクッションなども設置されています
こちらの事例はシネコン側と広告主の両方にメリットがあるのが特徴だと思っていて、シネコン側としては、会員向けのサービス向上に、広告主としては、限定的な施策を通じたブランドへの強い体験を提供する。という点が価値となったイベントになっています。
映画館でフェスを開催
次もシネコンチェーンのEverymanでの実施事例ですが、自社の持つ映画館を利用して、Everyman Music Film Festivalという音楽イベントを毎年開催しています。
1つの映画館ではなく、20を超える映画館の全てを活用し、音楽に関連した映画の上映や、生バンドの演奏、トークライブなど、様々なイベントを1週間ほど行うものとなっており、これに「Camden Hells」というビールがスポンサーについているので、みんな飲みながら楽しんでます。
1つの映画館ではなく、20を超える映画館の全てを活用し、音楽に関連した映画の上映や、生バンドの演奏、トークライブなど、様々なイベントを1週間ほど行うものとなっており、これに「Camden Hells」というビールがスポンサーについているので、みんな飲みながら楽しんでます。
動画を見て頂くとわかるのですが、座って映画を見るだけでなく、立ち上がったり踊ったりしながら大騒ぎしている様子は、映画館を映画を楽しむ場所。だけではなく、アーティストとの距離を近づける場所、同じような価値観の人と繋がる場所、大音量で音楽を聴きながら騒げる場所。として利用しているように見えます。
映画の持つコンテンツを利用する
次の事例は、、、John Lewis & Partnersというスーパーマーケットものでして、こちらは映画館で映画を流すのではなく、子供たちの学芸会の発表に使う。
という事を行っています。
動画を見て頂くとわかる通り、小学生の子供たちが、自分達の親に向けてロックバンドQueenの名曲を映画館で演奏する。
動画を見て頂くとわかる通り、小学生の子供たちが、自分達の親に向けてロックバンドQueenの名曲を映画館で演奏する。
といったものになっているのですが、動画の演出はプロの演出家が担当していて、個性あふれるコスチュームを身にまとった子供たちがレベルの高い演奏を行い、上下・前後左右から乗り物が飛び出し、最後は爆発が起きるなど、クオリティのめちゃくちゃ高いショーを行っています。
この映像は、2019年にシネアドとして放映されたものなのですが、2019年といえばQueenが題材となっている、映画「ボヘミアンラプソディー」がヒットした年でもあります。
イギリスでも同映画は人気で、この映像はボヘミアンラプソディーの前に流すシネアドとして撮影されていたようです。
OOH広告の中でも唯一しっかりとしたコンテンツを持っているのがシネアドなので、こうしたコンテンツと連動した広告素材の放映を行い話題化する。というのはシネマプロモーションの強みだと思っています。
映画を観た後の行動をおさえる
イギリスのパブ(居酒屋)チェーンのMitchells & Butlersは、自社の調査の中で、映画を見た後に来店するお客さんが多いというデータを持っていました。
そこで、映画館を見た後にその感想を語り合ってもらう。ための広告キャンペーンを実施します。
映画の後に感想を話すというのはどこにでもある光景だと思います。
単純にシネアドを放映するだけではなく、60秒の通常の広告に加えて、10秒ほど、「終わった後は近くにあるこのパブで飲もう!」といった、具体的な店舗への誘因を促す映像を放映しています
単純にシネアドを放映するだけではなく、60秒の通常の広告に加えて、10秒ほど、「終わった後は近くにあるこのパブで飲もう!」といった、具体的な店舗への誘因を促す映像を放映しています
また、映画が終了するタイミングを狙って、映画を観たであろう人(位置情報をもとにデータを取得)に、携帯電話のメッセージ(SMS)にてクーポンの配信を行いました。
結果としては、クーポンの利用率が30%を超える。という事になっていたようで、映画を観たあとは感想を話したい!という人間の行動導線に上手く広告を配置できた事例だと言えます。
ということで、、、
今回は映画館での広告事例をいくつか紹介させて頂きました。単純に広告の放映や商品のサンプリングをするのではなく、映画館での体験を通じて、ファンとのエンゲージメントを高めることを目的とした事例がより多くでてくると、映画館の広告価値も高まってくるのだろうなぁ。と思っています。
映画館自体は、割と融通が効く場所ではあると思っているので、過去の事例やルールに捉われずにアイディアを練っていくと、面白そうなことができるんじゃないかなぁと!
今日はちょっと軽い感じの事例紹介となりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございましたっ!
Shota Gennozono
平日は広告代理店勤務(屋外広告と交通広告を中心に8年間)で、現在はイギリスに出向中。twitter(@gennozono)では、 #OOHマーケティング でOOHを起点としたマーケティングについて考えてます。
現王園さんはOOHに関する記事をnoteに投稿されてます。
ぜひ、他の記事もチェックしてみてください。
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