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ニューヨークのOOHはメッセージ性が重要 Pitons Media Group 中村航CEO

ビジネスマンや観光客など一日平均33万人が行き交うアメリカ・ニューヨーク。中でもOOHの聖地と言われるタイムズスクエアには煌びやかなデジタルサイネージの広告が並び、世界ブランドの屋外広告が街を埋め尽くしている。“世界最高峰の屋外広告”を誇るその地は一体ナニがスゴいのか?
 
今回、ニューヨークを舞台にOOH事業を展開するPitons Media Groupの中村航CEOにSPACE MEDIAを運営するミューカ代表・大塚省伍が話を聞いた。日本とアメリカの広告代理店で10年以上のキャリアを築き、2011に独立を果たした中村氏が思うニューヨークの屋外広告とは?そしてOOHの未来とは?
 

 
日米の文化に触れた人生こそ自身の強み 
 
大塚:中村さんには以前ニューヨークでのOOHプロモーションのご相談や日本でのウォールペイントを仕掛けるべく、制作会社「コロッサル・メディア」に連れて行っていただき、ありがとうございました。
今回の来日を機にお会いできるのを楽しみにしておりました。
 
ウォールペイントの屋外広告を牽引するコロッサル・メディア
 
中村:こちらこそ。大塚さんには今後も何かとお世話になると思います笑。
 
大塚:現在、ニューヨークを拠点に活躍している中村さんですが幼い頃からニューヨークで暮らしていたとか?
 
中村:最初にニューヨークに行ったのは7歳の頃でした。父親が商社で働いていたので仕事の関係でアメリカへ。約10年間ニューヨークで暮らしていたので、そのままアメリカの大学に行ってもよかったんですが日本の文化をもっと学びたいと思い上智大学に進学しました。
 
大塚:大学卒業後に広告の世界へ?
 
中村:いや、当時は特にやりたいこともなかったので父親が石油関係の仕事をしていたこともあり、僕もなんとなくその道に進むことに。シンガポールで2年ほど石油タンカーのブローカーの仕事をしてましたね。
 
でもしばらくしてもっと違う仕事がしたいと思い、アメリカに戻って広告代理店に入りました。日本から海外進出していた宝広告社という屋外広告では老舗の会社。当時の社員は社長と僕の2人だけで社長は主に営業を担当し、僕はアメリカのベンダーとの交渉などを担当していました。
 
大塚:もともと広告に興味があったんですか?
 
中村:いや、全然(笑)たまたま大学の友達が代理店で働いていたのでそれを見て「ちょっと楽しそう」と思ったんです。結局、宝広告社では5年間働いたんですが、ある日ヘッドハントされてイギリスの広告代理店「WPPグループ」で働くことに。
 


大塚:「WPPグループ」って世界1位と言っても過言ではない代理店ですよね。凄すぎます。
 
中村:ありがとうございます。でも5年ぐらい働いたら飽きてきてしまったんですよね。誰かの下で働くより自分の力でやってみたいと思い、そこで独立を決めたんです。
 
自分のアドバンテージを考えた時に日本語も英語を話せる人間は、アメリカの代理店にもあまりいなかったので、それを武器に日本のクライアントをアプローチしてあげることができると思いました。独立して今年でちょうど10年。ようやく一人前になった感じですかね。
 
 

NYでOOHを認知させるポイントは人種とメッセージ 
 
大塚:ニューヨークで日本企業のOOHを仕掛ける際に気をつける点は?
 
中村:ニューヨークは屋外広告が氾濫してるいのであまり小さくやっても目立たない。できればお金を存分に使って大きくやらないとムダなだけ。それとアメリカのOOHで大事なのはいろんな人種が暮らしていることを気にしないといけない。表現方法やメッセージに気を遣う必要があります。
 
その上、アメリカではターゲットを絞って展開することも多いんですよね。例えば一般のニューヨーカーだったり、黒人、ヒスパニック、アジア人など対象を細かく絞って展開することも重要なんです。それって日本ではあまりないですよね。場所によって違う人種にターゲットにできる、という点がニューヨークの屋外広告の特徴だと思います。



中村:アメリカの普通の代理店はなかなか日本の文化まで把握してくれるところが少ないと思うんですが、僕は多少日本の文化にも精通しているので、双方の立場で力になれると自負しています。そこが僕の強みかなと。
 
大塚:そんな中村さんの独立後、最初の大きなお仕事が「無印良品」。
 
中村:特に印象深いのが2017年の無印良品10周年キャンペーンですね。初めて屋外広告だけに特化した大きいキャンペーンだったんですが、ニューヨークとロスを舞台に地下鉄、電話ボックス、観光バスも使って大々的に「MUJI」を打ち出しました。それは自分の広告人生でも自信につながった案件でしたね。









大塚:「MUJI」の広告もニューヨークで大成功でしたが、広告のポイントは?
 
中村:やはり文化を知るというのはもちろん、街で暮らす人々の生活の仕方、行動の仕方まで把握する必要がありましたね。家から仕事に行くのは車か、電車か、自転車か?住人の収入や街の作りによっても違いますよね。
 
ニューヨークは碁盤の目になっているので、バスを使った広告も多く、バスを利用する人と道行く人たちに向けた媒体に効果があると思います。一方、ロスは車の文化。住んでいる人のライフスタイルの分析が屋外広告のプランニングで最も重要なので、「MUJI」の広告もその辺を重視したからこそ多くの人に認知されたんだと思います。
 

 
桁違いに大きい屋外広告に憧れる  
 
大塚:屋外広告の魅力は?
 
中村:とにかくビッグにできるのが一番の魅力でしょうか。普通の広告にはないエキサイティングな感情が溢れてきますよね。特にニューヨークのタイムズスクエアは屋外広告の聖地と言われているので、よりその魅力を身近に感じてます。



大塚:たしかにタイムズスクエアの広告は他では味わえない迫力がありますよね。日本の屋外広告は100平米がマックスですが、ニューヨークはケタ違いにデカい。
 
中村:アメリカで一番大きい屋外広告はタイムズスクエアの通称「デジタルゴジラ」で価格は1ヶ月4000万。世界最高峰でしょうね。80年代90年代は日本企業がブランディングのために数多く広告を出していましたが、最近は中国や韓国が多いかも。スポットで買えるようになったことも一因ですね。
 

資料はこちら
 

大塚:中村さんが世界の屋外広告で衝撃を受けた広告は?
 
中村:タイムズスクエアの広告も大きいんですが、それ以上に凄かったのはタイの広告。タイでは高速沿いの媒体がめちゃくちゃデカくて、とにかく長いんです。「あんなに長く作っていいの?」というぐらい長い(笑)あれには驚きましたね。


 
大塚:日本の屋外広告の印象は?
 
中村:日本はとにかくキレイだし、電車の中もデジタルのスクリーンがあって素晴らしい。あと日本の屋外広告では音を出していいじゃないですか。アメリカは基本NG。タイムズスクエアで音を出せたら、もっとインパクトあると思うんですけど、そこは大きな違いですね。
 
ただ、日本に来て街を歩くといろんなメッセージが耳に入ってきて少々落ち着かない感じもします。サブリミナルでオーディオメッセージを聞かせられているみたいな笑。それもある意味、日本の屋外広告の独特な手法なのかもしれませんね。
 
 

アフターコロナのOOHとは? 
 
大塚:アメリカの屋外広告もコロナの影響は大きかったみたいで。
 
中村:去年タイムズスクエアなんかは観光客も見当たらず、街に居たのは僕とホームレス、警察ぐらい。広告数ももちろん減りましたが、アメリカはワクチン接種も進んでいるので、徐々に元通りの日常になるんじゃないでしょうか。
 
それと、今は大変な時期ですが、逆にこういう時期だからこそPRのために屋外広告を仕掛けるメリットもあると思っています。時期的に今は買い時ですし、予算を抑えて安く広告できることもある。
 
本来ならずっと埋まっていたり高額なスポットも最近は空いていることも多い上、短期間の契約も可能だったりするので狙い時かもしれません。タイムズスクエアを舞台に世界にアピールするなら今こそチャンス!その際はぜひ私に連絡下さい。お力になります(笑)
 

 
まとめ 

新型コロナの感染拡大、それに伴うロックダウンは広告のあり方を根本から変え、広告業界に新たな手法やさらなるクリエイティブを求める一つのきっかけだったのかもしれない。単なるブランド価値だけでない、心に響くメッセージや人間同士の絆が感じられる新しいOOHに期待したい。
 

ニューヨークの最新情報を紹介する中村航さんの連載企画【Lives NY】が近日配信スタート!乞うご期待!
 
 
プロフィール


Pitons Media Group,LLC  中村航CEO
 
日本と米国の大手広告代理店で10年以上のキャリアを経て2011 年にメディアプランニングを⾏う広告会社Pitons Media Group, LLC を設立。米国全土のOOH情報に精通し、数多くの企業の米国市場での広告戦略を成功へと導いてきた。エリアの特性に応じたメディアプランニング、プロモーション全体へのアドバイスにも定評がある。
 
Pitons Media Group, LLC オフィシャルHP
http://pitonsmedia.com/ 

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