OOHニュース

SHIBUYAから世界へ、エンタメの「今」を発信 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
東西南北に10本の車線と5本の横断歩道が重なり、一度に1000人以上が行き交うことから、「世界で最も混雑している交差点」といわれる渋谷駅前のスクランブル交差点。
ハロウィーンや年越しカウントダウンなどでは若者たちでごった返す様子が報道されるなど、単なる通過地点ではなく、観光客がカメラを向ける世界的なランドマークとなっている。
2024年4月、交差点の一角をなすSHIBUYA TSUTAYAが全館改装を終え、リニューアルオープンした。
それまでのビジネスモデルから大きく舵を切り、「カルチュア・インフラ」として新たなスタートを切った同店の、ユニークな強みと戦略を聞いた。
配信全盛の時代、ニーズに合わせてビジネスモデルを転換
大塚:リニューアルオープンおめでとうございます。SHIBUYA TSUTAYAといえばスクランブル交差点の顔ですが、最初のオープンはいつ頃でしたか?
鎌田:2000年1月1日、ミレニアムとともにグランドオープンしました。当時はCDとDVDの販売・レンタルの店舗が全国に900店舗ほどありまして、その中のフラッグシップとしてオープンした経緯があります。
とはいえまだまだ大手CDショップに比べるとバイイングパワーが弱かったので、そのあたりを強化する目的もありました。
大塚:エンタメビジネスを取り巻く環境は、この20年でだいぶ変わったのではないですか?
鎌田:はい、まずパッケージとして発売される商品量が圧倒的に減っていますね。音楽も映画もパッケージから配信に変化し、物販にしてもECに取って代わられています。
CDのソフトも減っていますし、雑誌の休刊・廃刊も進んでいます。
大塚: そんな中、御社の戦略は?
鎌田:作品の創り手がコンテンツを創るのを待っているだけではビジネスとして先細りになってしまうので、渋谷に関してはビジネスモデルを大きく転換させました。
自分たちにしかできなくて、ロケーション価値を最大限に活かすことができて、TSUTAYAがこれまで培ってきた強みを活かせるものという軸で考えました。
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大塚:それが今回のリニューアルの背景なんですね。
鎌田:そうですね。改装前は物販とレンタルが売上の7割を占めていましたが、現在は企業やコンテンツホルダー等のクライアントのプロモーション実施でキャッシュポイントを増やし、そこで得た売上をロイヤリティとしてクライアントにお返しするというビジネスモデルを構築しています。
ポップアップショップに広告を組み込んだ仕掛け販売というのが、当社が得意とする領域です。
世界を視野に入れた「カルチュア・インフラ」としてリニューアルオープン
大塚:どのようにリニューアルされたか、まずはターゲットから教えてください。
鎌田:まず大前提として、日本は少子高齢化、人口減少が進んでいます。渋谷の街も、109やルーズソックスに象徴されるような平成の時代と比べると若者の数は確実に減っています。
とはいえ、日本の企業としては若者にプロモーションしたいというニーズが変わらず存在していますので、主なターゲットはZ世代と設定しています。
ここは渋谷というロケーションを最大限に活かせるポイントです。
大塚: インバウンドについてはいかがですか?
鎌田:2017年以降、SHIBUYA TSUTAYAもインバウンドの影響で来館者が増えていて、現在は全体の4割ほどに上っています。
渋谷区もロンドン、パリ、ニューヨークと並ぶ観光名所を目指しているので、街のビジョンに寄り添う存在でありたいとは考えています。
ただ、何十カ国という国から来日していますし、海外では交差点の人混み自体がコンテンツになっているので、インバウンドを意識して発信するというよりは、日本のポップカルチャーを体験してもらえる場所になればという姿勢ですね。
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大塚:なるほど。そうした客層に向けて、どのような戦略でリニューアルされているのでしょうか。
鎌田:「好きなもので、世界をつくれ。」をテーマに掲げ、人種や国境や性や世代の壁を越えてエンタメや文化に触れられる「カルチュア・インフラ」を目指しています。
キーワードとしているのが「IP=Intellectual Property」です。
独創性・新規性・創造性のある思想・創作物・発明・技術・デザイン・ノウハウといった知的財産として位置づけ、顧客体験を通して新たなライフスタイルを提案しています。
ロケーションを最大限に活かし、「IP」を体験できる特別な場所
大塚:館内について簡単に教えていただけますか。
鎌田:まず1階は、地下1階と一体になったイベントスペース「SHIBUYA IP SQUARE(通称SIPS)」です。
サイネージを使った展示のほか、実物や筺体を使った体験型のプロモーションができる場所となっています。
3、4階はカフェやオフィスとして使っていただけるSHARE LOUNGEとして、アートや等身大フィギュアなど、当店ならではの展示もお楽しみいただけます。
5階の「POKÉMON CARD LOUNGE」は、上質なポケモンカードゲーム体験ができる公認ラウンジです。
6階はPOP UP SHOP・IP100・ギャラリーの3つの機能で構成される「IP書店」で、コミックやフィギュア、限定のオリジナルグッズなどを取り扱っています。
そして7階がさまざまなIPとコラボレーションし、オリジナルのメニューや限定グッズを提供する「コラボレーションカフェ」となっています。
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大塚:まさに全館丸ごと、IP一色なのですね。モノを売ったり、サービスを提供したりするというよりは、情報発信の場所として生まれ変わったということでしょうか。
鎌田:そうですね。ただIPを発信するのはあくまでもコンテンツホルダーなので、私たちはそこにリアル体験を重ねて楽しんでいただいているような形に編集しています。
ディベロッパーのように街づくりはできませんし、百貨店のような品揃えはありませんが、その代わり渋谷スクランブル交差点という圧倒的なロケーションがあります。
「何か楽しい体験をしたい」と渋谷を訪れる人に、想像を超えた驚きを提供していきたいという想いです。
大塚:具体的なプロモーションとしては、どのようなことができるのでしょうか。
鎌田:例えば、1階のイベントスペースと7階のコラボレーションカフェを組み合わせた体験型のイベントがあります。
株式会社LDH JAPAN様の事例では、総勢45人のJr.EXILE(GENERATIONS、THE RAMPAGE、FANTASTICS、BALLISTIK BOYZ、PSYCHIC FEVER)をモチーフに、45人の人気漫画家やクリエイターがキャラクターイラストを描いた展示会『BATTLE OF TOKYO超東京拡張展』を開催するとともに、カフェではオリジナルフードやドリンクを提供してお楽しみいただきました。
メディア向けの発表会を開催したのでテレビやネットで多く取り上げられましたし、1階ではガラス面とサイネージを使ってプロモーションしていましたので、プロジェクトを知らずに来街された方にも訴求することができました。
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大塚:OOHとしても相当インパクトがありますね。
鎌田:交差点内のメディアとして、ロケーションは最大限に活かすことを意識しています。例えばエントランス上のサイネージは、渋谷の駅に降り立った瞬間に自然に視界に入る位置にあります。
JRの改札から信号まで歩く間の50秒、信号待ちで1分25秒ほどの接触時間があり、アイラインの高さにあるので、横断歩道を渡るとともに近づいてくるメディアとなっています。西日が当たる角度ですが、時間帯を問わず視認性を保つ高輝度のサイネージです。
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大塚:確かに、その意味では数ある渋谷駅前のサイネージの中でも特殊ですね。今のところエンタメ業界での実績が多いようですが、やはりTSUTAYAとしてこれまで培ってきたノウハウが活きているのでしょうか。
鎌田:はい。やはり当社としては出版社やレコード会社やファッション関係のクライアントと長くお付き合いさせていただいている関係もあり、プロモーションプランとしては「IP」というテーマを意識した内容とさせていただいています。
また、旬のもの、特別なものを取り扱う場所として認識していただけたらと考えています。
大塚:というと?
鎌田:例えばアーティストのデビュー何十周年という節目や、コミックのアニメ化、アニメの映画化など、ファンを巻き込んだキャンペーンに強みを発揮できると思います。
もともとコンテンツビジネスを取り扱っているので、企画から収益計画まで含めてご提案が可能です。
大塚:なるほど。ビジネスモデルは変化していますが、業界に精通している御社ならではのアドバンテージは変わらないのですね。
ゆくゆくは「エンタメのイベントならSHIBUYA TSUTAYAで」という流れがスタンダードになるかもしれませんね。
プロフィール
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カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
戦略店舗開発本部 本部長
渋谷プロジェクト エグゼクティブプロデューサー
鎌田崇裕
https://shibuyatsutaya.tsite.jp/
取材・文/大貫翔子
ハロウィーンや年越しカウントダウンなどでは若者たちでごった返す様子が報道されるなど、単なる通過地点ではなく、観光客がカメラを向ける世界的なランドマークとなっている。
2024年4月、交差点の一角をなすSHIBUYA TSUTAYAが全館改装を終え、リニューアルオープンした。
それまでのビジネスモデルから大きく舵を切り、「カルチュア・インフラ」として新たなスタートを切った同店の、ユニークな強みと戦略を聞いた。
配信全盛の時代、ニーズに合わせてビジネスモデルを転換
大塚:リニューアルオープンおめでとうございます。SHIBUYA TSUTAYAといえばスクランブル交差点の顔ですが、最初のオープンはいつ頃でしたか?
鎌田:2000年1月1日、ミレニアムとともにグランドオープンしました。当時はCDとDVDの販売・レンタルの店舗が全国に900店舗ほどありまして、その中のフラッグシップとしてオープンした経緯があります。
とはいえまだまだ大手CDショップに比べるとバイイングパワーが弱かったので、そのあたりを強化する目的もありました。
大塚:エンタメビジネスを取り巻く環境は、この20年でだいぶ変わったのではないですか?
鎌田:はい、まずパッケージとして発売される商品量が圧倒的に減っていますね。音楽も映画もパッケージから配信に変化し、物販にしてもECに取って代わられています。
CDのソフトも減っていますし、雑誌の休刊・廃刊も進んでいます。
大塚: そんな中、御社の戦略は?
鎌田:作品の創り手がコンテンツを創るのを待っているだけではビジネスとして先細りになってしまうので、渋谷に関してはビジネスモデルを大きく転換させました。
自分たちにしかできなくて、ロケーション価値を最大限に活かすことができて、TSUTAYAがこれまで培ってきた強みを活かせるものという軸で考えました。
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大塚:それが今回のリニューアルの背景なんですね。
鎌田:そうですね。改装前は物販とレンタルが売上の7割を占めていましたが、現在は企業やコンテンツホルダー等のクライアントのプロモーション実施でキャッシュポイントを増やし、そこで得た売上をロイヤリティとしてクライアントにお返しするというビジネスモデルを構築しています。
ポップアップショップに広告を組み込んだ仕掛け販売というのが、当社が得意とする領域です。
世界を視野に入れた「カルチュア・インフラ」としてリニューアルオープン
大塚:どのようにリニューアルされたか、まずはターゲットから教えてください。
鎌田:まず大前提として、日本は少子高齢化、人口減少が進んでいます。渋谷の街も、109やルーズソックスに象徴されるような平成の時代と比べると若者の数は確実に減っています。
とはいえ、日本の企業としては若者にプロモーションしたいというニーズが変わらず存在していますので、主なターゲットはZ世代と設定しています。
ここは渋谷というロケーションを最大限に活かせるポイントです。
大塚: インバウンドについてはいかがですか?
鎌田:2017年以降、SHIBUYA TSUTAYAもインバウンドの影響で来館者が増えていて、現在は全体の4割ほどに上っています。
渋谷区もロンドン、パリ、ニューヨークと並ぶ観光名所を目指しているので、街のビジョンに寄り添う存在でありたいとは考えています。
ただ、何十カ国という国から来日していますし、海外では交差点の人混み自体がコンテンツになっているので、インバウンドを意識して発信するというよりは、日本のポップカルチャーを体験してもらえる場所になればという姿勢ですね。
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大塚:なるほど。そうした客層に向けて、どのような戦略でリニューアルされているのでしょうか。
鎌田:「好きなもので、世界をつくれ。」をテーマに掲げ、人種や国境や性や世代の壁を越えてエンタメや文化に触れられる「カルチュア・インフラ」を目指しています。
キーワードとしているのが「IP=Intellectual Property」です。
独創性・新規性・創造性のある思想・創作物・発明・技術・デザイン・ノウハウといった知的財産として位置づけ、顧客体験を通して新たなライフスタイルを提案しています。
ロケーションを最大限に活かし、「IP」を体験できる特別な場所
大塚:館内について簡単に教えていただけますか。
鎌田:まず1階は、地下1階と一体になったイベントスペース「SHIBUYA IP SQUARE(通称SIPS)」です。
サイネージを使った展示のほか、実物や筺体を使った体験型のプロモーションができる場所となっています。
3、4階はカフェやオフィスとして使っていただけるSHARE LOUNGEとして、アートや等身大フィギュアなど、当店ならではの展示もお楽しみいただけます。
5階の「POKÉMON CARD LOUNGE」は、上質なポケモンカードゲーム体験ができる公認ラウンジです。
6階はPOP UP SHOP・IP100・ギャラリーの3つの機能で構成される「IP書店」で、コミックやフィギュア、限定のオリジナルグッズなどを取り扱っています。
そして7階がさまざまなIPとコラボレーションし、オリジナルのメニューや限定グッズを提供する「コラボレーションカフェ」となっています。
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大塚:まさに全館丸ごと、IP一色なのですね。モノを売ったり、サービスを提供したりするというよりは、情報発信の場所として生まれ変わったということでしょうか。
鎌田:そうですね。ただIPを発信するのはあくまでもコンテンツホルダーなので、私たちはそこにリアル体験を重ねて楽しんでいただいているような形に編集しています。
ディベロッパーのように街づくりはできませんし、百貨店のような品揃えはありませんが、その代わり渋谷スクランブル交差点という圧倒的なロケーションがあります。
「何か楽しい体験をしたい」と渋谷を訪れる人に、想像を超えた驚きを提供していきたいという想いです。
大塚:具体的なプロモーションとしては、どのようなことができるのでしょうか。
鎌田:例えば、1階のイベントスペースと7階のコラボレーションカフェを組み合わせた体験型のイベントがあります。
株式会社LDH JAPAN様の事例では、総勢45人のJr.EXILE(GENERATIONS、THE RAMPAGE、FANTASTICS、BALLISTIK BOYZ、PSYCHIC FEVER)をモチーフに、45人の人気漫画家やクリエイターがキャラクターイラストを描いた展示会『BATTLE OF TOKYO超東京拡張展』を開催するとともに、カフェではオリジナルフードやドリンクを提供してお楽しみいただきました。
メディア向けの発表会を開催したのでテレビやネットで多く取り上げられましたし、1階ではガラス面とサイネージを使ってプロモーションしていましたので、プロジェクトを知らずに来街された方にも訴求することができました。
.jpg)
大塚:OOHとしても相当インパクトがありますね。
鎌田:交差点内のメディアとして、ロケーションは最大限に活かすことを意識しています。例えばエントランス上のサイネージは、渋谷の駅に降り立った瞬間に自然に視界に入る位置にあります。
JRの改札から信号まで歩く間の50秒、信号待ちで1分25秒ほどの接触時間があり、アイラインの高さにあるので、横断歩道を渡るとともに近づいてくるメディアとなっています。西日が当たる角度ですが、時間帯を問わず視認性を保つ高輝度のサイネージです。
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大塚:確かに、その意味では数ある渋谷駅前のサイネージの中でも特殊ですね。今のところエンタメ業界での実績が多いようですが、やはりTSUTAYAとしてこれまで培ってきたノウハウが活きているのでしょうか。
鎌田:はい。やはり当社としては出版社やレコード会社やファッション関係のクライアントと長くお付き合いさせていただいている関係もあり、プロモーションプランとしては「IP」というテーマを意識した内容とさせていただいています。
また、旬のもの、特別なものを取り扱う場所として認識していただけたらと考えています。
大塚:というと?
鎌田:例えばアーティストのデビュー何十周年という節目や、コミックのアニメ化、アニメの映画化など、ファンを巻き込んだキャンペーンに強みを発揮できると思います。
もともとコンテンツビジネスを取り扱っているので、企画から収益計画まで含めてご提案が可能です。
大塚:なるほど。ビジネスモデルは変化していますが、業界に精通している御社ならではのアドバンテージは変わらないのですね。
ゆくゆくは「エンタメのイベントならSHIBUYA TSUTAYAで」という流れがスタンダードになるかもしれませんね。
プロフィール
.jpg)
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
戦略店舗開発本部 本部長
渋谷プロジェクト エグゼクティブプロデューサー
鎌田崇裕
https://shibuyatsutaya.tsite.jp/
取材・文/大貫翔子
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