OOHニュース
オーストラリアの壮大な魅力を訴求する「世界最大画素数の自撮り」を実現させるまで
Case: オーストラリア政府観光局「GIGA Selfie」
話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。今回はオーストラリア政府観光局「GIGA Selfie」を取り上げます。
「同じ旅は二度とない。だから写真に残してほしい。スマホを見つめる笑顔だけじゃなくて、目の前に広がる景色のすべても。」そんな想いから生まれた、手元のスマホからシャッターを切ると、高解像度の写真を数百枚繋ぎ合わせた巨大な自撮り写真が届くというこの施策。初回として、9月にオーストラリア・ゴールドコーストで撮影イベントが実施されました。この施策を手がけた、株式会社 TBWA\HAKUHODO インタラクティブプランナー/コピーライター 荒井信洋さんにお話を伺いました。
Interview & Text : 市來 孝人 (Takato Ichiki)
「今までにないバズムービーをつくりたい」から発展した企画
—まずは、今回の施策の背景から教えて頂けますか。
これまでオーストラリア政府観光局では、おもにテレビや雑誌、OOHの広告を通じてオーストラリアの魅力を伝える活動を行っていましたが、従来の活動に加え、もっとアクティブにソーシャルメディアを活用してオーストラリアを盛り上げていけないか、という課題がありました。
そのような中で、「今までにないバズムービーをつくりたい」というお題をいただき、クライアントさんと私たちでチームを組んで取り組むことになりました。
—「バズムービーをつくりたい」から、実際に大規模な自撮りが出来るスポットの提案へと発展したんですね。
オーストラリアという国の魅力を発信するときに、単に観光局から発信するという形ではなく、旅行者を起点にした拡散ができないかと考えました。そこでチームが着目したのが「自撮り」。Facebookを眺めているとわかりますが、旅行中に自撮りをする人がとても多いんです。特別なプロモーションをしなくても、旅行者にはそもそも「旅を楽しむ自分」を拡散したいモチベーションがあるのだと気づきました。
ただ自撮りだけだと顔のアップなので、なかなかどこで撮ったのかは分かりづらい。そこで、自撮りの拡散力は活かしつつも、その土地の魅力までも写す新しい自撮りの方法はないか?と考え、今回の「世界最大画素数の自撮り」という企画にたどりつきました。
—実際に撮影会を行う前にムービーをアップされていますが、こちらのコンセプトは。
これはバズムービーというよりは、プレゼンテーションビデオに近いつくり方を意識しました。ムービーを見て満足して終わりという施策ではなく、「あ、私もやってみたい」と思わせることが一番の目的だったので。このムービーはクライアントの皆さんと一緒につくりあげたものですが、ムービーの寄り・引きのスピードなど、チームで話し合いながら細部にまでこだわって制作しました。
—どのようなメカニズムによって、この自撮りは実現したのでしょうか?
GigaPan Stitchという、高解像度の写真を数百枚繋ぎ合わせて巨大な写真を作るという技術を応用しています。100m以上離れている場所にカメラを設置。超・高解像度+超・望遠のレンズを使って、被写体となる旅行者とのその周囲の景色を合計600枚ほど撮影し、自動的に繋ぎ合わせるというプログラムを組んでいます。
—準備されるにあたって、苦労した点などはありますか?
撮影してから写真として手元に届くまでの時間ですね。今回は極力、普段の自撮りに近い体験にしたいと思っていたので、例えばシャッターも自分のスマホから押してもらう形をとっています。自撮りって、撮った後に友達と見せ合うとか、「リアルなシェア」をする行動がある。そういった行動をする時に、写真を繋ぎ合わせる工程に時間がかかってしまっては醒めてしまう。だから、「旅先で写真を撮ってシェアする」という時の楽しい気分をとにかく守ってあげたい、とにかく早く届けたいなと。
最終的にはスマホからシャッターを押してから2分程度で届けることが出来ました。
「写真を撮る」という行為には国を超えた魅力がある
—現地で体験された方は、どういった方が多かったですか?
本当にありがたいことに多くの方に来て頂きました。やっぱり、この「写真を撮る」という行為には国を超えた魅力があると感じました。日本人の方はもちろん他のアジア各国の方もいましたし、ヨーロッパの方もいましたし。長い時には1時間待ちという盛況になりました。
今回は、Facebookページに投稿したムービーが、日本人のオーストラリアファンの方がシェアをして、アジア、欧米とどんどん広がっていったという実感がありました。
—海外のメディアからも反応はありましたか?
CNN、The Washington Post、WIRED、GQ、Esquireなど、デジタル系・アド系の媒体に限らず、あらゆる媒体に広がりました。自撮りという文化自体がちょうど海外で旬な時期だったので、その流れに乗れた部分も非常に拡散力につながりました。
—1回目の撮影イベントが終了したとのことですが、次のご予定は?
まずはゴールドコーストで実施しましたが、多くの皆さんからとても好評でしたので、他のオーストラリアの都市・名所でも第2弾、第3弾と実施したいです。例えばオペラハウスだったり、エアーズロックだったり、魅力的で壮大な景色は山ほどありますから。世界中にバズったという結果はもちろんですが、そのバズって広がったという時にオーストラリアの一番の魅力である自然の豊かさという面も訴求出来たことが評価を頂いた理由だと思います。
株式会社 TBWA\HAKUHODO
インタラクティブプランナー/コピーライター
荒井 信洋さん
AdGangより転載
詳細 https://adgang.jp/2015/10/111219.html
話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。今回はオーストラリア政府観光局「GIGA Selfie」を取り上げます。
「同じ旅は二度とない。だから写真に残してほしい。スマホを見つめる笑顔だけじゃなくて、目の前に広がる景色のすべても。」そんな想いから生まれた、手元のスマホからシャッターを切ると、高解像度の写真を数百枚繋ぎ合わせた巨大な自撮り写真が届くというこの施策。初回として、9月にオーストラリア・ゴールドコーストで撮影イベントが実施されました。この施策を手がけた、株式会社 TBWA\HAKUHODO インタラクティブプランナー/コピーライター 荒井信洋さんにお話を伺いました。
Interview & Text : 市來 孝人 (Takato Ichiki)
「今までにないバズムービーをつくりたい」から発展した企画
—まずは、今回の施策の背景から教えて頂けますか。
これまでオーストラリア政府観光局では、おもにテレビや雑誌、OOHの広告を通じてオーストラリアの魅力を伝える活動を行っていましたが、従来の活動に加え、もっとアクティブにソーシャルメディアを活用してオーストラリアを盛り上げていけないか、という課題がありました。
そのような中で、「今までにないバズムービーをつくりたい」というお題をいただき、クライアントさんと私たちでチームを組んで取り組むことになりました。
—「バズムービーをつくりたい」から、実際に大規模な自撮りが出来るスポットの提案へと発展したんですね。
オーストラリアという国の魅力を発信するときに、単に観光局から発信するという形ではなく、旅行者を起点にした拡散ができないかと考えました。そこでチームが着目したのが「自撮り」。Facebookを眺めているとわかりますが、旅行中に自撮りをする人がとても多いんです。特別なプロモーションをしなくても、旅行者にはそもそも「旅を楽しむ自分」を拡散したいモチベーションがあるのだと気づきました。
ただ自撮りだけだと顔のアップなので、なかなかどこで撮ったのかは分かりづらい。そこで、自撮りの拡散力は活かしつつも、その土地の魅力までも写す新しい自撮りの方法はないか?と考え、今回の「世界最大画素数の自撮り」という企画にたどりつきました。
—実際に撮影会を行う前にムービーをアップされていますが、こちらのコンセプトは。
これはバズムービーというよりは、プレゼンテーションビデオに近いつくり方を意識しました。ムービーを見て満足して終わりという施策ではなく、「あ、私もやってみたい」と思わせることが一番の目的だったので。このムービーはクライアントの皆さんと一緒につくりあげたものですが、ムービーの寄り・引きのスピードなど、チームで話し合いながら細部にまでこだわって制作しました。
—どのようなメカニズムによって、この自撮りは実現したのでしょうか?
GigaPan Stitchという、高解像度の写真を数百枚繋ぎ合わせて巨大な写真を作るという技術を応用しています。100m以上離れている場所にカメラを設置。超・高解像度+超・望遠のレンズを使って、被写体となる旅行者とのその周囲の景色を合計600枚ほど撮影し、自動的に繋ぎ合わせるというプログラムを組んでいます。
—準備されるにあたって、苦労した点などはありますか?
撮影してから写真として手元に届くまでの時間ですね。今回は極力、普段の自撮りに近い体験にしたいと思っていたので、例えばシャッターも自分のスマホから押してもらう形をとっています。自撮りって、撮った後に友達と見せ合うとか、「リアルなシェア」をする行動がある。そういった行動をする時に、写真を繋ぎ合わせる工程に時間がかかってしまっては醒めてしまう。だから、「旅先で写真を撮ってシェアする」という時の楽しい気分をとにかく守ってあげたい、とにかく早く届けたいなと。
最終的にはスマホからシャッターを押してから2分程度で届けることが出来ました。
「写真を撮る」という行為には国を超えた魅力がある
—現地で体験された方は、どういった方が多かったですか?
本当にありがたいことに多くの方に来て頂きました。やっぱり、この「写真を撮る」という行為には国を超えた魅力があると感じました。日本人の方はもちろん他のアジア各国の方もいましたし、ヨーロッパの方もいましたし。長い時には1時間待ちという盛況になりました。
今回は、Facebookページに投稿したムービーが、日本人のオーストラリアファンの方がシェアをして、アジア、欧米とどんどん広がっていったという実感がありました。
—海外のメディアからも反応はありましたか?
CNN、The Washington Post、WIRED、GQ、Esquireなど、デジタル系・アド系の媒体に限らず、あらゆる媒体に広がりました。自撮りという文化自体がちょうど海外で旬な時期だったので、その流れに乗れた部分も非常に拡散力につながりました。
—1回目の撮影イベントが終了したとのことですが、次のご予定は?
まずはゴールドコーストで実施しましたが、多くの皆さんからとても好評でしたので、他のオーストラリアの都市・名所でも第2弾、第3弾と実施したいです。例えばオペラハウスだったり、エアーズロックだったり、魅力的で壮大な景色は山ほどありますから。世界中にバズったという結果はもちろんですが、そのバズって広がったという時にオーストラリアの一番の魅力である自然の豊かさという面も訴求出来たことが評価を頂いた理由だと思います。
株式会社 TBWA\HAKUHODO
インタラクティブプランナー/コピーライター
荒井 信洋さん
AdGangより転載
詳細 https://adgang.jp/2015/10/111219.html