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パブリックアートと@ART(後編) | 平井健一郎

今回の記事は、OOHの "Oh!" な事例を紹介する「Oh! OOH!!」を運営され、販促会議でOOHのコラム連載中の平井さんに寄稿していただき掲載しております。
noteで発信をされているのでチェックしてみてください。

文/平井健一郎


 

 前回のnoteでは、パブリックアートの持つ特長と課題についてまとめました。今回はそれらの背景を踏まえ、私の行なっているプロジェクト@ART(アット・アート)の紹介をさせていただきます。特に、本プロジェクトで目指していることについて整理をしてみたいと思います。
 


目次

@ARTについて
なぜ始めたか?
Opening Art for Everyone
1.未来に遺したい(Archive)
2.知ってもらいたい(Curation)
3.使われる仕組みを作りたい(Public)
さいごに
 
 
@ARTについて


 @ARTはパブリックアートのポータルサイトを作ることを目指したプロジェクトです。公共空間に設置されたアート作品を位置情報とともに紹介し、WebサイトやSNSで発信しています。Webサイトは2013年に立ち上げました。運営は私を含む7名の有志メンバーで行なってきました。2021年5月現在1085作品のパブリックアートを掲載しています。
 

画像1

@ARTのトップページ
 

詳しくは後述しますが、@ARTでは特に3つの点に注力して作品紹介を行なっています。

1.「位置情報」+「作品情報」のセットで紹介する
2.「公共空間」にある作品を紹介する
3.「タグ」によって作品の特徴付けを行なう

 

なぜ始めたか?
 

 以前のnoteでも紹介しましたが、既に「Oh! OOH!!(オー・オーオーエイチ)」というOOH広告の事例紹介サイトを運営していました。

 Oh! OOH!!は街ナカの広告を紹介するサイトですが、それに対して街ナカのアートを紹介するサイトがあってもいいんじゃないか?と思ったこと、そして、「アット・アート」という言葉が思いついたことが@ARTを始めようとしたきっかけです。位置情報を表す「@(アット)」とアート、場所と共にアートを紹介するサイトがあったらアートに関心のある人の役に立つのではと思いました。また私が新卒で入社した会社ではOOHを主な収益源としつつ、公益事業としてパブリックアートの制作も行なっていました。そのため、なんとなく自分の中ではOOHもパブリックアートも同じようなものとして捉えていました。Oh! OOH!!(オー・オーオーエイチ)と@ART(アット・アート)、姉妹サイトとしても語感がよいと感じました。


 さらにパブリックアートについて調べていくと前回のnoteで述べたような様々な課題が見えてきました。

 パブリックアート自体の認知度の低さ。そして、それが有名作家の作品であっても気にも留められず、いつの間にか人知れずうちに消え去ってしまう現実。
 

 @ARTが街ナカのパブリックアートを紹介するポータルサイトとして機能すれば

 ① 忘れ去られてしまう
 ② そもそも知られていない
 ③ 使われなくなってしまう


といった課題の解決にもつながるのではないかと思いました。
 

 私自身、もともと様々なアート作品(特に現代アート)を観るのが好きで、学生の頃からことあるごとに美術館へ足を運んでいました。人気の企画展だと、チケットを購入するのに長時間待つこともしばしばありました。例えば、2013年に国立新美術館で行われた「アメリカン・ポップ・アート展」では、アンディ・ウォーホルを始めとする名だたる現代アートの作家の作品が観られる展覧会として大きな人気を博しました。
 

図1

2013年に国立新美術館で開催された「アメリカン・ポップ・アート展」
 

 私自身も入館するのに2時間ほど待った記憶があります。しかしながら、本展でも展示されているロイ・リキテンスタインやクレス・オルデンバーグ等の作品が実は誰でも見られる街ナカに展示されていることを知っている人は少ないように感じられました。例えば、西新宿にはロイ・リキテンスタインの「トウキョウ・ブラシュストローク」という作品があります。しばらく現場で作品を鑑賞していたのですが、特に作品に気に留めている人は誰もいませんでした。当時は作品の周囲に自転車が大量に停められていて少し残念な光景でした。美術館にある作品と屋外にある作品の扱われ方のギャップを強く感じました。
 

図2

ロイ・リキテンスタイン / トウキョウ・ブラシュストローク Ⅱ @西新宿
 

 一方で、2014年に有給休暇を利用して1人でニューヨークへ旅行に行ってきたのですが、そこではパブリックアートがまさに建物や街並みの価値を上げている様子を肌で実感しました。

 作品が全て生き生きとしていて、人々の日常に溶け込んでいる様子を目の当たりにし、作家のエネルギーが込められた作品をもっと活用する手立てはないのだろうかと思いました。
 

 ここまで@ARTを始めたきっかけを述べてきました。日本のパブリックアートを取り巻く様々な課題に対して、私たちは以下のようなビジョンを掲げました。

 

Opening Art for Everyone
 

 これは、アートがもっと様々な人に対して開かれた存在になってほしいという願いを込めて付けたものです。パブリックアートが、本当の意味で「公の存在」になることを目指しています。
 

特に
 

① 忘れ去られてしまう
② そもそも知られていない
③ 使われなくなってしまう

 

という3つの課題に対して
 

① 未来に遺したい ⇒Archive
② 知ってもらいたい ⇒Curation
③ 使われる仕組みを作りたい ⇒Public

 

という3つの機能を持たせようと試みました。

 

1.未来に遺したい(Archive)
 

 本来であれば忘れ去られやすい存在であるパブリックアートの情報をきちんとアーカイブすることで、未来の人類がアクセスできるデータベースとなることを目指します。「作品名」「作家名」「製作年」「技法材質」など基本情報を整理することで、なるべく客観的な情報になるように心掛けました。
このArchiveのターゲットは、10万年後の人類です。
 

画像2

@ARTのARCHIVE機能について(デジタルアーカイブ学会発表資料より)

 

2.知ってもらいたい(Curation)
 

 そもそも知られていない存在であるパブリックアートを知ってもらう機会を作る。そのために、美術館のコレクションを企画展で展示するように、パブリックアートをキュレーションできないかと考えました。様々なテーマで作品をグルーピングしていくイメージです。私自身学芸員の資格を持っているわけではないので、完全な素人考えですが、そのために生きてくるのが「タグ付け機能」だと思いました。タグ付けによって、「色」や「モチーフ」「年代」等作品の特徴を整理することができます。例えば「鳥」をテーマにした作品、「イサム・ノグチ」の作品というように、同一テーマで作品と場所を結び付けることによって、人の新しい移動を促すことができるのではないかと思います。
ある意味IngressやポケモンGOのような位置情報ゲームで実現している世界とも似ています。既存のパブリックアートに新たな視点を導入することによって、作品に息を吹き返し人々に再注目してもらうきっかけをつくるイメージです。
このCurationは、今を生きている70億人の人が対象です。
 

画像3

@ARTのCURATION機能について(デジタルアーカイブ学会発表資料より)

 

3.使われる仕組みを作りたい(Public)
 

 最後は、パブリックアート自体がオープンデータとして様々な人に様々な用途で活用される仕組みを作りたい。そのために、真の意味での”パブリック”アートを目指したいという思いです。新たな表現のため、ある意味での素材として、二次三次創作物のためにもっと使われるようになってもいいんじゃないかと思っています。そのために、@ARTでは可用性の高いデータベースとなることを目指しています。ここでのターゲットは、全てのクリエイターです。もっと詳しく言うなら、みんながクリエイターになれるように、使いやすい素材を揃えたいということです。
 

図3

@ARTのPUBLIC機能について(デジタルアーカイブ学会発表資料より)
 

 例えば、@ARTではフォトグラメトリーという技術によって、パブリックアートの3Dデータ化を自主的に行っています。これは、作品が万が一撤去されたり損傷した場合のアーカイブとしての意味合いもありますが、立体情報を持った3DCGとして記録することによって、これらのデータを使った新たな作品が作りやすくなるのではないかという考えがあります。3Dアーカイブの取組みについては長くなりそうなので、別の回で整理してみたいと思います。

 少しOOHの話にも触れるのであれば、このパブリックアート自体も有用なOOHメディアとして機能させられるポテンシャルを持っていると考えます。


 例えば、名古屋駅のシンボル「ナナちゃん人形」は、既に名古屋を象徴するパブリックアートとしてみんなから愛されており、広告媒体として様々な企業とコラボした衣装を着させることで収益化を実現しています。
 

 また2018年には、JR渋谷駅ハチ公口壁面に設置されている壁画「ハチ公ファミリー」を30年ぶりに清掃することで、企業ブランドのPRとパブリックアートの利活用を両立する試みが行なわれました。これもある意味パブリックアートをOOHメディアとして活用した事例です。

 

さいごに
 

 長くなってしまいましたが、今回2回にわたって、パブリックアートに対する想いと@ARTで実現したい世界についてまとめてみました。ですが、現在有志での活動に限界を感じつつも、運営を維持する手立てが思いつかないというのが正直なところです。特にこういったアーカイブの活動では、10万年後の人類に予算を用意してもらうわけにもいかないため、現在は私費で賄っているのが実情です。@ARTでは一緒に連携していただけるメンバーや団体を随時募集しています。
 

 今回のnoteは2018年4月に発表の機会をいただいた「デジタルアーカイブ学会」での発表内容がベースになっています。当時のプレゼン資料も掲載しますので、何かの役に立てれば幸いです。


第84回デジタルアーカイブサロン_@ART発表資料180413_note公開用.pdf






平井健一郎 / 空間メディアプランナー
電鉄系ITベンチャーでDXのプランナーをやっています。これまでパブリックスペースの広告やアート、データ活用に長く携わってきた経験から、 本noteでは「公共空間のメディアとしての可能性」について考えていきます。
Oh! OOH!!管理人 / 販促会議でOOHのコラム連載中

平井さんはOOHに関する記事をnoteに投稿されてます。
ぜひ、他の記事もチェックしてみてください。
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