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【keyperson interview】 特殊メイクアーティスト・Amazing JIROさん「アナログこそ最大の武器。デジタルと融合したときに最高のサプライズと新しいスタンダードが生まれる」【前編】
SPACE MEDIAを運営するミューカ代表・大塚省伍がOOH業界を牽引するキーパーソンの方々と対談を行い、変化の激しい業界の未来を創造する特集企画。
第6回目の対談相手は独創的な特殊メイクでTV、映画はもちろん、広告、ファッションなどあらゆるジャンルで活躍している特殊メイクアーティスト・Amazing JIROさん。「世界の注目アーティスト10人」にも選出された日本を代表するアーティスが世界を魅了するワケに迫る!
「真田広之の内蔵」からすべてが始まった? 26歳で起業した苦労物語
大塚:以前からJIROさんの特殊メイクはもちろん、凄すぎるフェイス&ボディペイント作品を拝見し、いつかお話を伺いたいと思っておりました。今日はOOHのお話もできれば幸いです。
JIRO:ぜひ。屋外広告の世界も魅力的なのでじっくりお話しができれば。
大塚:ありがとうございます。まずは特殊メイクの道に進もうと思ったきっかけから教えて下さい。
JIRO:もともと子供の頃から図工、美術が得意で、高校2年の時に進路適正検査を受けたら美術、体育、音楽と出たのでやっぱり表現者が合ってるのかなとぼんやり思ってたんです。それで美大受験をしようと一浪して多摩美に入って、まずはガラス工芸を学びました。その後東京芸大で4年間金属工芸を勉強しました。
ただ、ガラスや金属を勉強しているうちに、素材に縛られずなんでも作りたいと思うようになって。そんな時にたまたまTVで見たのが映画「らせん」のメイキング。真田広之さんの内蔵がえぐられてるシーンが特殊メイクだと知り、コレだ!と思ったんですよね。すべてのきっかけは「真田広之さんの内蔵」笑。
大塚:その後、特殊メイクの会社へ?
JIRO:いや、大学卒業後は代々木アニメーション学院で2年間特殊メイクを一から学びました。その後すぐに「自由廊」を創業することに。
大塚:いきなり!? 不安はなかったですか?
JIRO:不安よりも「社長になった喜び」が大きくて、あまりネガティブな感情はなかったですね。でも当時26歳。実際のところ僕だけじゃ会社は作れなかったのでお世話になっていた美容室のオーナーと共同で立ち上げました。オーナーが僕の卒業制作を買ってくれて、そのお金を資金にして立ち上げたんです。あのときオーナーに支えてもらえなかったら今の僕はなかったかも。
大塚:最初はかなり苦労されたそうですね?
JIRO:社会経験ゼロだし、ずっとアートの道を生きてきたので営業の仕方もイマイチわからなくて。とりあえず電話線引いてホームページは作りました笑。その頃は学生映画やヘアーショーの仕事、美容雑誌の仕事をやってましたね。
ただ、大きな仕事は全然なし。最初の4年間はお金が無くて家も借りられなかったので倉庫の端っこにベニヤ板を敷いて住んでました。ほんとはダメなんですけど。
大塚:諦めそうになったことは?
JIRO:それがないんですよね。「オレ、社長になった」という最初の喜びがずっとあって、苦しいことが自分の中でカッコいいという感じもあったんです。「みんな寝てる時間にオレは必死に作業してる」とか、そういう意味ではかなりポジティブに生きてたと思います。
そのうち、倉庫に作品や道具が徐々に増えてきたり、バイトの子が増えたり…そんな光景を見ると少しずつだけど自分も会社も成長してると実感できたんです。それが心の支えになり、モチベーションになっていたのかもしれません。
アナログこそ最大の武器。デジタルと融合したときサプライズが生まれる
大塚:そんな倉庫生活から抜け出せた転機とは?
JIRO:実績がない中で認知されたきっかけはTVチャンピオンですね。メジャーな番組で2連覇してみんなに知ってもらえました。HPにも実績として載せられるしアピールできる経歴の一つになりましたね。
とはいえ、それで仕事が一気に増えることはなかったので、まだまだギャラの安い仕事ばかり。他の会社で断られたような小さな仕事を5万,10万のギャラで1ヶ月かけてやったり。もはや家賃も払えない状態。
ただ、5万の仕事でも実績が増えていくことに価値があると思ってました。個人的には種まきの時期と割り切ってどんなに安い仕事もやってましたね。先輩には業界の価値が下がると言われましたが、実績を強固にするまではどんなに安くても、高いクオリティにこだわった作品作りを心がけていました。
大塚:最初の大きな仕事は?
JIRO:大きかったのはグレート・ムタさんのマスクデザインや、マジシャンのセロさんを特殊メイクで老人に変身させたお仕事。それまで特殊メイク=映画がメインで、TVでもあまり使われることがなかったんですが、お二人と仕事をしたことでジャンルを越えた世界でも特殊メイクを活かせると分かったんです。
グレート・ムタさんのマスクデザイン
セロさんを特殊メイクで老人に変身
それを機に他ジャンルにも営業するようになりました。その中で各界の方とお会いするようになりイベントや屋外広告の仕事が徐々に入ってくるようになったんです。それはすごく大きかった。広告の世界で特殊メイクの技術がすごくいい形で使ってもらえるとわかったのはある意味転機でしたね。
大塚:JIROさんにとって特殊メイクの魅力とは?
JIRO:正直、特殊メイクにどハマりしてるかというとそうでもなくて、単純にモノ作りをして人にサプライズを与えることが好きなんです。そういう意味では特殊メイクの技術がすごく役に立つ。サプライズのための一つのツールみたいな。
メイクだけじゃなく特殊な衣装も作るし造形もやってクリエイティブディレクターもやる。個人としてはアーティストとして作品も作っているのでジャンルにこだわらず、やりたいことを僕はとにかくやりたい。
大塚:JIROさんの最大の武器ってなんですか?
JIRO:今はデジタルでなんでもできるようになってきましたが、毛穴や肌のムラ感とかはアナログ作業じゃないとリアルに生み出せないんです。そこをアナログのワザでリアルに表現できるのが、僕の武器というかウチの会社の強みなのかなと。
僕ら世代は小学生の頃にファミコンが出て、中学高校でポケベルが出て、大学で携帯を持つみたいな、いわゆるアナログからデジタルへ移行する時代を生きてきたので、僕自身はアーティストとしてアナログを追求する最後の世代だと思っているんです。
実際、僕のボディペイント作品もPhotoshopで加工したものだと思ってる若い子が多かったりするんですよね。デジタルが普及している今、デジタルで当たり前にできることをあえてアナログでやるとそこにサプライズが生まれる。それがいわば真骨頂。
JIRO:僕はアナログで極めたものをデジタルと上手く融合させて、これからもサプライズを生み出していきたいと思っています。
後編へ続く
プロフィール
Amazing JIRO
有限会社自由廊 代表
東京芸術大学卒業後、特殊メイクの道に入り有限会社自由廊を設立。「TVチャンピオン特殊メイク王選手権」で2連覇を果たすと、独創的なフェイス&ボディペイント、特殊メイクで一躍日本を代表するアーティストに。「Make-up Artist Magazine」にて「世界の注目アーティスト10人」に選出。日本空間デザイン賞2016 Best50"サイゲームス グランブルーファンタジーブース"他。
Instagram:https://www.instagram.com/amazing_jiro/?hl=en
Amazing Studio 自由廊 HP
https://jiyuro.net/
第6回目の対談相手は独創的な特殊メイクでTV、映画はもちろん、広告、ファッションなどあらゆるジャンルで活躍している特殊メイクアーティスト・Amazing JIROさん。「世界の注目アーティスト10人」にも選出された日本を代表するアーティスが世界を魅了するワケに迫る!
「真田広之の内蔵」からすべてが始まった? 26歳で起業した苦労物語
大塚:以前からJIROさんの特殊メイクはもちろん、凄すぎるフェイス&ボディペイント作品を拝見し、いつかお話を伺いたいと思っておりました。今日はOOHのお話もできれば幸いです。
JIRO:ぜひ。屋外広告の世界も魅力的なのでじっくりお話しができれば。
大塚:ありがとうございます。まずは特殊メイクの道に進もうと思ったきっかけから教えて下さい。
JIRO:もともと子供の頃から図工、美術が得意で、高校2年の時に進路適正検査を受けたら美術、体育、音楽と出たのでやっぱり表現者が合ってるのかなとぼんやり思ってたんです。それで美大受験をしようと一浪して多摩美に入って、まずはガラス工芸を学びました。その後東京芸大で4年間金属工芸を勉強しました。
ただ、ガラスや金属を勉強しているうちに、素材に縛られずなんでも作りたいと思うようになって。そんな時にたまたまTVで見たのが映画「らせん」のメイキング。真田広之さんの内蔵がえぐられてるシーンが特殊メイクだと知り、コレだ!と思ったんですよね。すべてのきっかけは「真田広之さんの内蔵」笑。
大塚:その後、特殊メイクの会社へ?
JIRO:いや、大学卒業後は代々木アニメーション学院で2年間特殊メイクを一から学びました。その後すぐに「自由廊」を創業することに。
大塚:いきなり!? 不安はなかったですか?
JIRO:不安よりも「社長になった喜び」が大きくて、あまりネガティブな感情はなかったですね。でも当時26歳。実際のところ僕だけじゃ会社は作れなかったのでお世話になっていた美容室のオーナーと共同で立ち上げました。オーナーが僕の卒業制作を買ってくれて、そのお金を資金にして立ち上げたんです。あのときオーナーに支えてもらえなかったら今の僕はなかったかも。
大塚:最初はかなり苦労されたそうですね?
JIRO:社会経験ゼロだし、ずっとアートの道を生きてきたので営業の仕方もイマイチわからなくて。とりあえず電話線引いてホームページは作りました笑。その頃は学生映画やヘアーショーの仕事、美容雑誌の仕事をやってましたね。
ただ、大きな仕事は全然なし。最初の4年間はお金が無くて家も借りられなかったので倉庫の端っこにベニヤ板を敷いて住んでました。ほんとはダメなんですけど。
大塚:諦めそうになったことは?
JIRO:それがないんですよね。「オレ、社長になった」という最初の喜びがずっとあって、苦しいことが自分の中でカッコいいという感じもあったんです。「みんな寝てる時間にオレは必死に作業してる」とか、そういう意味ではかなりポジティブに生きてたと思います。
そのうち、倉庫に作品や道具が徐々に増えてきたり、バイトの子が増えたり…そんな光景を見ると少しずつだけど自分も会社も成長してると実感できたんです。それが心の支えになり、モチベーションになっていたのかもしれません。
アナログこそ最大の武器。デジタルと融合したときサプライズが生まれる
大塚:そんな倉庫生活から抜け出せた転機とは?
JIRO:実績がない中で認知されたきっかけはTVチャンピオンですね。メジャーな番組で2連覇してみんなに知ってもらえました。HPにも実績として載せられるしアピールできる経歴の一つになりましたね。
とはいえ、それで仕事が一気に増えることはなかったので、まだまだギャラの安い仕事ばかり。他の会社で断られたような小さな仕事を5万,10万のギャラで1ヶ月かけてやったり。もはや家賃も払えない状態。
ただ、5万の仕事でも実績が増えていくことに価値があると思ってました。個人的には種まきの時期と割り切ってどんなに安い仕事もやってましたね。先輩には業界の価値が下がると言われましたが、実績を強固にするまではどんなに安くても、高いクオリティにこだわった作品作りを心がけていました。
大塚:最初の大きな仕事は?
JIRO:大きかったのはグレート・ムタさんのマスクデザインや、マジシャンのセロさんを特殊メイクで老人に変身させたお仕事。それまで特殊メイク=映画がメインで、TVでもあまり使われることがなかったんですが、お二人と仕事をしたことでジャンルを越えた世界でも特殊メイクを活かせると分かったんです。
グレート・ムタさんのマスクデザイン
セロさんを特殊メイクで老人に変身
それを機に他ジャンルにも営業するようになりました。その中で各界の方とお会いするようになりイベントや屋外広告の仕事が徐々に入ってくるようになったんです。それはすごく大きかった。広告の世界で特殊メイクの技術がすごくいい形で使ってもらえるとわかったのはある意味転機でしたね。
大塚:JIROさんにとって特殊メイクの魅力とは?
JIRO:正直、特殊メイクにどハマりしてるかというとそうでもなくて、単純にモノ作りをして人にサプライズを与えることが好きなんです。そういう意味では特殊メイクの技術がすごく役に立つ。サプライズのための一つのツールみたいな。
メイクだけじゃなく特殊な衣装も作るし造形もやってクリエイティブディレクターもやる。個人としてはアーティストとして作品も作っているのでジャンルにこだわらず、やりたいことを僕はとにかくやりたい。
大塚:JIROさんの最大の武器ってなんですか?
JIRO:今はデジタルでなんでもできるようになってきましたが、毛穴や肌のムラ感とかはアナログ作業じゃないとリアルに生み出せないんです。そこをアナログのワザでリアルに表現できるのが、僕の武器というかウチの会社の強みなのかなと。
僕ら世代は小学生の頃にファミコンが出て、中学高校でポケベルが出て、大学で携帯を持つみたいな、いわゆるアナログからデジタルへ移行する時代を生きてきたので、僕自身はアーティストとしてアナログを追求する最後の世代だと思っているんです。
実際、僕のボディペイント作品もPhotoshopで加工したものだと思ってる若い子が多かったりするんですよね。デジタルが普及している今、デジタルで当たり前にできることをあえてアナログでやるとそこにサプライズが生まれる。それがいわば真骨頂。
JIRO:僕はアナログで極めたものをデジタルと上手く融合させて、これからもサプライズを生み出していきたいと思っています。
後編へ続く
プロフィール
Amazing JIRO
有限会社自由廊 代表
東京芸術大学卒業後、特殊メイクの道に入り有限会社自由廊を設立。「TVチャンピオン特殊メイク王選手権」で2連覇を果たすと、独創的なフェイス&ボディペイント、特殊メイクで一躍日本を代表するアーティストに。「Make-up Artist Magazine」にて「世界の注目アーティスト10人」に選出。日本空間デザイン賞2016 Best50"サイゲームス グランブルーファンタジーブース"他。
Instagram:https://www.instagram.com/amazing_jiro/?hl=en
Amazing Studio 自由廊 HP
https://jiyuro.net/
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