OOHニュース
2年半ぶりに帰国して感じた欧米と日本のOOHメディアの違い【後編】 | 現王園章太
今回の記事は、OOHのプロである現王園さんに寄稿していただき掲載しております。
現王園さんはイギリスでお仕事をされた経験もあり、日本に留まらずグローバルな視野でOOHについて発信をされております。
Twitterやnoteで発信をされているのでチェックしてみてください。
文/現王園章太
前編はこちらから
品川駅にあるDOOHは複数の面が連続している場所として、代表的な存在ですが、メトロの駅構内や渋谷のスクランブル交差点、電車内など、多くのDOOHが1面ではなく複数面が同時に見れる形で設置されています。
ニューヨークのタイムズスクエアやロンドン地下鉄の一部のサイネージなど例外はあるものの、ほぼすべてのDOOHは、1面で広告を見せるように設計されているのです。
商品をカスタマイズすることができる。
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文/現王園章太
前編はこちらから
4月の中旬に2年3ヶ月のイギリスでの勤務を終え、日本に帰ってきました。
前編では、日本と欧米の媒体の違いについて、音や広告クリエイティブなど、OOH媒体の使われ方について書いておりますが、後編では、媒体の設置環境の違い、代理店の役割などを見ていくことにします!
1面で成立させる海外のDOOH
日本に戻ってきて改めて驚いたことが、複数のDOOH面を連続して見せるように媒体が設置されていることでした。
言葉だと少しわかりづらいのですが、写真で見て頂くとすぐに違いをイメージできるかと思います。
言葉だと少しわかりづらいのですが、写真で見て頂くとすぐに違いをイメージできるかと思います。
品川駅にあるDOOHは複数の面が連続している場所として、代表的な存在ですが、メトロの駅構内や渋谷のスクランブル交差点、電車内など、多くのDOOHが1面ではなく複数面が同時に見れる形で設置されています。
ニューヨークのタイムズスクエアやロンドン地下鉄の一部のサイネージなど例外はあるものの、ほぼすべてのDOOHは、1面で広告を見せるように設計されているのです。
(こうした背景もあり、海外のDOOHの配信システムは日本のように広告素材を同タイミングで流すように制御しておらず、1面ごとにバラバラなタイミングで放映されています)
ノイズが広告効果に影響を及ぼす
なぜ、1面ごと設置されているか。の回答にもつながるのですが、日本の街にはOOH広告の枠数が多いという点が帰国後に強く印象に残っています。
特に電車内の広告などは大量に広告が貼られており、1回電車に乗っただけでは、いったいどんな広告が車内に出ていたか記憶することは難しいのではないかと思います。
海外の媒体社が媒体を設置する際に、目立つように媒体を設置して印象に残す。ということを考えています。
もちろん、目立たないように広告を設置する人などいないので、目立つ場所に設置。というのは当たり前の話なのですが、媒体周辺に余計な広告枠がある場合は、それを撤去する。というのが海外のスタンダードです。
(売りたいメディアの周辺のメディアを撤去し、媒体が目立つようにします)
海外ではこれを「ノイズを排除する」と言ったりするのですが、日本の場合は、媒体がたくさんあれば、売れる枠が増えるので、媒体数はあるに越した事はない。という考え方が強いようにも感じます。
枠を絞って広告主に対して価値あるものを創り続ける。というのが海外の発想とは異なりますね。
枠を絞って広告主に対して価値あるものを創り続ける。というのが海外の発想とは異なりますね。
一方で、日本でもタクシーメディアやエレベーター広告など、「視野の占有率」がOOHメディアを売れるようにするには重要なのではないか?という考え方が広がっているようで、売れる媒体を作るための条件も変化を見せていくかもしれません。
商品をカスタマイズすることができる。
販売方法も日本と海外では異なります。日本の場合、複数の面を媒体社側でパッケージにしてまとめ売りする。
というのが主流になっていますが、欧米では、10面以内で購入する場合は単価50,000円、11面以上100面以内は30,000円、101面以上は15,000円(単価は例です)といった要領で価格を設定しているだけで、どのような面を選ぶのか。は広告代理店の役割となっています。
(バス停の広告やDOOHだけでなく、車内のポスターも1枚から購入可能な仕組みになっています)
媒体社によっては数千を超える面を1面単位で販売しているわけなのですが、いかに広告主が求めるターゲットに告知を行える面を選ぶか。という仕事が、代理店の力の見せ所になるので、様々なデータをもとに仮説を立てています。
僕が働いていたPosterscopeでは、携帯電話会社と提携をしてデータを取得していたのですが、最近では、スーパーの顧客情報や購買データを持つ会社との提携を発表するなどして、自社が持つデータの幅を広げています。
また、OOH業界最大手のKinetic社は、mobileSDKから位置情報取得可能なadsquare社と2019年から提携を行っており、プランニングや効果検証だけでなく、日々の人流の動きについても公開を行うなどしています。
自社のデータを活用して、どのようなターゲットに広告を掲出させることが可能かの仮説を立て、掲出後にはどのような効果(学び)が得られるのかを広告主に説明することがOOH代理店にも求められていることを、イギリスでは痛感していましたので、こうしたアプローチは日本でもますます広がるのだと思っています。
ということで、、、
媒体の設置についての考え方から入り、OOH業界における広告代理店の役割といった違いについて書かせて頂きました。
媒体の設置についての考え方から入り、OOH業界における広告代理店の役割といった違いについて書かせて頂きました。
個人的には、海外の事例を見ていくときに、日本と海外のどっちが進んでいる/遅れているという議論は意味がないと思っておりまして、日本は日本なりのOOHの進化があるので、欧米の世界も見つつ日本オリジナルで広告主や世の中に受け入れられるものを作っていく。ということが大事だと思ってます!
前編から後編まで読んで頂きまして、ありがとうございました!!!
Shota Gennozono
平日は広告代理店勤務(屋外広告と交通広告を中心に8年間)で、現在はイギリスに出向中。twitter(@gennozono)では、 #OOHマーケティング でOOHを起点としたマーケティングについて考えてます。
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