OOHニュース

デジタルの時代だからこそリアルが効く。「タッチ」から始まるO2Oマーケティング 株式会社TRMoment
今やデジタルデバイスやインターネットは、マーケティングにおいて必要不可欠な存在だ。商品購入や会員登録といったコンバージョンが発生するのは、主に手の中、スマートフォンの画面上だろう。
TRMomentが開発した「momenTouch®」は、リアルなタッチポイントにおいてスマホを活用し、ユーザーとのエンゲージメントをはかるツールだ。リアルで生まれた興味・関心をデジタルの世界につなぐ同社のサービスは、OOHにどのような変化をもたらすのだろうか。
ワンアクションでオフラインからオンラインへ誘導
大塚:御社の事業内容について改めてお聞かせください。
髙津:当社は2021年に株式会社弘亜社の子会社として設立された、マーケティングやコミュニケーションのコンサルティングを専門とする企業です。
「その瞬間を、デザインする。」をビジョンとし、クライアント企業のマーケティングやコミュニケーションの最大化を目指す「リアルコミュニケーションブティック」を標榜しています。
情報過多ともいえる現代において、デジタルの副作用は「没個性」だと思っています。みんなで同じデータを見るから同じものがアウトプットされるし、データや数字でしか評価されないプランナーは新しいことを創造しなくなります。
率直に言って今、広告業界はネット、デジタル、SNSに傾倒しすぎてつまらなくなっていますよ。やっぱりリアルの体験が大切だと思うんです。
そこで当社が重視しているのが、リアルな接点からエンゲージメントにつなげるO2O(Offline to Online)コミュニケーションです。
新たなコミュニケーションの切り口として、NFC機能(Near Field Communication:近距離無線通信技術)を活用したエンゲージメントツール「momenTouch®」を開発しました。
大塚:「momenTouch®」はどのようなサービスツールなのですか?
TRMomentが開発した「momenTouch®」は、リアルなタッチポイントにおいてスマホを活用し、ユーザーとのエンゲージメントをはかるツールだ。リアルで生まれた興味・関心をデジタルの世界につなぐ同社のサービスは、OOHにどのような変化をもたらすのだろうか。
ワンアクションでオフラインからオンラインへ誘導
大塚:御社の事業内容について改めてお聞かせください。
髙津:当社は2021年に株式会社弘亜社の子会社として設立された、マーケティングやコミュニケーションのコンサルティングを専門とする企業です。
「その瞬間を、デザインする。」をビジョンとし、クライアント企業のマーケティングやコミュニケーションの最大化を目指す「リアルコミュニケーションブティック」を標榜しています。
情報過多ともいえる現代において、デジタルの副作用は「没個性」だと思っています。みんなで同じデータを見るから同じものがアウトプットされるし、データや数字でしか評価されないプランナーは新しいことを創造しなくなります。
率直に言って今、広告業界はネット、デジタル、SNSに傾倒しすぎてつまらなくなっていますよ。やっぱりリアルの体験が大切だと思うんです。
そこで当社が重視しているのが、リアルな接点からエンゲージメントにつなげるO2O(Offline to Online)コミュニケーションです。
新たなコミュニケーションの切り口として、NFC機能(Near Field Communication:近距離無線通信技術)を活用したエンゲージメントツール「momenTouch®」を開発しました。
大塚:「momenTouch®」はどのようなサービスツールなのですか?
髙津:広告媒体やステッカーなどにNFC機能を搭載し、ユーザーがスマホでタッチすることで瞬時に指定したURLにアクセスできるというものです。
リアルメディアでありながらタッチされた日時、場所、回数を集計できるため、効果測定やPDCAサイクルの試行も可能となります。
用途としては幅広く、告知サイトへの誘導、会員登録誘引、クーポン配布、サンプリングなどに加え、デジタルスタンプラリー(ユーザーを回遊させるアクティベーション施策)として活用することも可能になりました。
リアルメディアでありながらタッチされた日時、場所、回数を集計できるため、効果測定やPDCAサイクルの試行も可能となります。
用途としては幅広く、告知サイトへの誘導、会員登録誘引、クーポン配布、サンプリングなどに加え、デジタルスタンプラリー(ユーザーを回遊させるアクティベーション施策)として活用することも可能になりました。

大塚:なるほど。それが、今回新たにリリースされた「回遊型アクティベーションパッケージ」ですね。
髙津:はい。一方的な情報発信や、時間と場所が限られたイベントでのアクティベーションとは異なり、ユーザーが自発的にアクションを起こす回遊型体験なので、ブランドに対する共感や支持を自然に醸成することができます。
アクションのトリガーが生活動線上にあれば、オンラインとオフラインを回遊しながら接触回数を増やすことも可能です。

大塚:QRコードとの違いや、メリットはどういった点にあるのでしょうか。
髙津:まず、カメラなどのアプリを立ち上げる必要がなく、ワンタッチでページに遷移できます。近年、車内でカメラアプリを利用するとトラブルにつながりかねませんから、カメラなしで利用できる点は大きいと思います。
また、当社のシステム上で遷移先のURLは何度でも変更できるので、短期でも長期でも利用できます。採用するNFCタグは用途により複数ございますので、ポスターやPOPに貼ったり、ノベルティとして渡したりとさまざまな使い方ができます。
大塚:どのようなクライアントに活用されているのですか?
髙津:現在のところ、国内では10社ほどのクライアント様に活用いただいております。
テレビ局の駅看板広告や、コスメメーカーの店頭ツールとしてご採用いただきました。
そのほかにも、ニーズに応じて柔軟にご利用いただけます。
当社では、できるだけ多くの広告媒体でも本ツールが使用できるように、鉄道会社や空港など、各媒体社とも調整もすすめております。
注目を集めたホーチミンメトロでの第1弾施策
大塚:ベトナムで実施されたプロジェクトについて教えてください。
髙津:2024年12月に開業したホーチミンメトロ1号線は大きなニュースとなりましたが、当社ベトナム法人では、日系企業として初めて、メトロの運営会社であるHURC1とPRパートナーの契約を締結しました。そこで、メトロへの乗客促進をPRするための施策として
「momenTouch®のスタンプラリー機能」を活用したO2O回遊型アクティベーションパッケージをリリースしました。
全14駅の構内に設営したブースやデジタルサイネージに「momenTouch®」を貼付し、スマホをかざして複数のスタンプを集めると、リワードとして賞品がもらえるというものです。
2025年6月のローンチ時には、ベトナムで最も長い歴史をもつ日系企業の1社であるエースコック様にご協力いただき、カップ麺などの商品をご提供いただきました。

デジタルサイネージに貼付されたアイコンにタッチすると、瞬時にアクセスできる

景品の交換ブース

デジタルスタンプラリーの画面
大塚:メトロ自体の開業も話題性が高いですし、注目が集まりそうですね。反響はいかがでしたか?
髙津:期間中1か月間で、約4,000人がキャンペーンにアクセスし、そのうち約2,000人が登録、約1,000人がスタンプを集めて景品を手にしたというデータが出ています。
スタンプラリーに参加した方の半数がコンプリートしており、大変歩留まりが良い事例といえると思います。実感としては、特に若者の反応が良かったという印象です。
また今回の事例をご覧になり、現地のメーカーや代理店からの問い合わせも増えてきています。
大塚:成功のカギは何だったと思われますか?
髙津:やはりスマートフォンで気軽にタッチするだけでアクセスできるという新しさではないでしょうか。皆さん迷いなく試していて、周りの方も真似してどんどんタッチされていました。
大塚:ストレスなく参加できるのがよいですね。

サンプリングベンダーマシンを開発中
大塚:業界でも話題の「momenTouch®」ですが、次はどのような仕掛けをお考えなのですか?
髙津:「momenTouch®」を活用したサンプリングベンダーマシンを開発中です。ベンダーに貼られたアイコンにタッチして、アンケートに回答すると、商品がフリーで手に入るというものです。自動販売機は近年かなり進化しており、システムを書き換えることで、様々なマーケティング活用が実現します。
大塚:サンプリングのための人員も必要ないので、コスト減にもつながりますね。
髙津:そうなんです。この施策をベトナムで実施することにも意味があります。ベトナムに限らず東南アジアでは、日系企業の商品を現地の流通に乗せていくためには価格の障壁があります。
同じような商品が並ぶと、日本製品の方がどうしても高くなってしまうのですが、一度でも試してもらえれば品質の良さをわかってもらえます。
そのため、メーカーにとってはトライアル誘発施策がマーケティングの主軸になっているケースが多く見られます。当社の施策によって、効果的なサンプリングの実施に加え、ブランディングや売上向上にもつなげられると考えています。
大塚:ローカルのビジネス環境に即したマーケティング戦略なんですね。他にもいろいろな活用ができそうで、今後が楽しみです。
株式会社TRMoment
代表取締役社長/マーケティングディレクター/コンセプター
髙津 晶
ーー
TRMomentサイト:https://trm.tokyo/
momenTouchサービスサイト:https:// momentouch.com/
ーー
取材・文/大貫翔子