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【keyperson interview】アソビシステム・中川悠介氏「アフターコロナに何をするか?ではなく、Withコロナをどう生きていくかが重要」【前編】
SPACE MEDIAを運営するミューカ代表・大塚省伍がOOH業界を牽引するキーパーソンの方々と対談を行い、変化の激しい業界の未来を創造する特集企画。
第2回目の対談相手は、アソビシステム株式会社代表取締役・中川悠介氏。きゃりーぱみゅぱみゅさん、中田ヤスタカさんなどの人気アーティストが所属し、原宿発のポップカルチャーを世界へ発信してきたエンタメ界の雄。イベント運営からインバウンド施策も積極的に行う中川氏に、優れたアイデアを生み出すヒント、Withコロナで変わるエンタメビジネスの新機軸について聞いた。
ヒットは狙わない。目の前の「やりたいこと」を積み上げていく
大塚:エンタメ業界を牽引してきたアソビシステムも設立から14年が経とうとしています。中川社長は学生時代から数々のイベントやファッションショーなどを企画していたことで知られますが、やはり、それが会社設立へつながっていますか?
中川:そうですね。大学時代は同年代の美容・服飾系の学生をメインにしたファッションショーをやったり、クラブイベントなども積極的にやってました。当時も「自分たちのやりたいことをやっていきたい」と思っていたんですが、それがそのままアソビシステムという会社になった感じですね。会社設立にあたって特に壮大なテーマや目標などはなかったです。
大塚: 「原宿」にこだわった理由は?
中川:当時はとにかく渋谷がブームでギャルとか109とか赤文字系が全盛期だったんです。ファッションでいうとみんなルーズソックスを履いていたり、同じブランドを着ていたり。オシャレだけどなんか全部同じに見えたんですよね。一方、原宿には他には無い個性や自由があって魅力的だったし、僕自身このストリートから生まれるカルチャーが好きだったんです。それが理由かもしれないですね。
大塚:20代で社長を務め、ご自身がやりたいことを追求し続けた結果、今やエンタメ業界を支える組織になりましたが、これまでのお仕事の中で一番大変だったと思う企画はありますか?
中川:2009年にやった原宿スタイルコレクションですかね。自分たちが初めて請け負った大きな仕事でした。1万人規模のイベントを僕らの手で仕上げることが初めてだったので、準備も本番も大変でしたね。
大塚:それを機に「これでやっていける!」という揺るぎない自信になったんでしょうか?
中川:いや、正直それはないんですよね。「これでやっていける!」というポイントはどんな仕事をやり遂げてもあまり感じないかもしれないです。
僕らは常に自分たちができることをただひたすらやってきたのでこの事業で一発当てようという気負いはないんです。コンテンツを作り出していく中でヒットコンテンツが徐々に広がっていけばいいといいますか。
ヘンな話、スタートアップみたいに事業計画をかいて何年間でいくら調達して、上場を目指そうという感じではなかったんです。もちろん成長は目指すけど、一つ一つの仕事を積み上げていくことを大切にやってきました。それは今でも変わらないですね。
大切にしているのは「人との会話」そこに新たなヒントが在る
大塚:率直にお聞きします。挫折はありましたか?
中川:挫折……、ないですね(笑)。無いというか挫折しちゃダメだと思ってるところがありますね。イベントをやっている時にツラいことはいっぱいありますけど、挫折まではいかないですし。
大塚:なるほど。では、仕事で失敗したときの対処法は?
中川:それは失敗だと思わないことです(笑)。仕事なんて半分以上失敗なんでイチイチ気にしてたらきりがないですよね。何かミスをしてもそれは失敗ではなく成功への過程なだけであって。どうせ10割成功なんか不可能なので次のステップに進む為に必要だったことだと納得しちゃえばいいと思います。
大塚:新しいアイデアを生みだすときのヒントやコツがあれば教えて下さい。
中川:僕は人との会話を大事にしています。会話から生まれるヒントってとても大きいなと思ってるんですよね。話しながらそこで出た話題が次々と頭の中で新しいものへとつながっていく感じがするんです。仕事柄、対談することも多いんですが、そこでの会話が一夜明けて新しい発見につながったりするんですよ。
最近、事務所を移転したばかりなんですが、事務所って働く場所じゃなくて会話する場所なんじゃないかと最近思い始めて。事務作業は家でやってもいいけど、その代わり会社に来たら人と喋ることが大事だと思う。会話をすることで悩みを共有できたり、目指すべき方向が再確認できたり、後押しされたりする。
コロナ禍でなかなか会話もしづらい状況だからこそ余計思ったんですよね、人と会うことが大事だってことを。自分たちが今思っていることをちゃんと進めたり、形にしていくには会話が本当に必要。オンラインで便利になったことでなおさら実感しましたね。
それにオンラインだと会話の余白がないこともツラいと思いました。打ち合わせをしても用件だけ伝えればいいから1時間の時間をとっていても10分で終わることもある。オンラインで人と話しやすくなったけど一瞬で終わる事案が増えましたよね。でもそれはなんか違うんじゃないかなって。
大塚:ちなみに中川社長は会話中に気になったことや思いついたアイデアはメモされるんですか?
中川:メモはあまりしないですね。ずっと覚えてることが一番しっくりきてることだと思うし。あ、でも、自分のLINEにメモを送ったりすることはありますね。「これは明日みんなに言おう」とか「誰かに伝えたい」と思うことは自分だけのLINEに送りますね。
そういえば、昨日、夜中の2時にすごいアイデアを思いついて、その場で全社員にLINEしようかと思ったんだけど、こんな時間に送ったらマズいなと思って控えました(笑)。
後編はこちら
中川悠介氏 プロフィール
1981年、東京生まれ。きゃりーぱみゅぱみゅなど世界で活躍するアーティストが所属するアソビシステムを07年に設立。青文字系カルチャーの生みの親であり、原宿を拠点にファッション・音楽・ライフスタイルを世界に発信。国内におけるインバウンド施策も精力的に行っている。
アソビシステムHP
https://asobisystem.com/
イベント情報
来る4月17日(土)、1年2ヶ月ぶりとなる有観客ライブ「きゃりーぱみゅぱみゅ PREMIUM LIVE」を開催。新型コロナウイルス感染症対策を実施したうえでの1日2公演での開催だ。
「去年2月にライブをやってから、一度オンラインでやりましたがお客さんを入れてのライブは初めて。本人の熱量含めて、人を前にしてやることへの楽しみが今はキャストスタッフ含め溢れまくっています! 一丸となって盛り上げていきたいと思っていますので、ぜひ、ご期待下さい!」(中川さん)
■タイトル:きゃりーぱみゅぱみゅ PREMIUM LIVE
■日程:2021年4月17日(土)
■会場:EX THEATER ROPPONGI (〒106-0031 東京都港区西麻布1-2-9)
■公演時間:
・第一部 13:00開場/14:00開演
・第二部 17:00開場/18:00開演
イベント情報URL:
http://kyary.asobisystem.com/topics/index.php?id=454&top
取材・文/太田光洋
第2回目の対談相手は、アソビシステム株式会社代表取締役・中川悠介氏。きゃりーぱみゅぱみゅさん、中田ヤスタカさんなどの人気アーティストが所属し、原宿発のポップカルチャーを世界へ発信してきたエンタメ界の雄。イベント運営からインバウンド施策も積極的に行う中川氏に、優れたアイデアを生み出すヒント、Withコロナで変わるエンタメビジネスの新機軸について聞いた。
ヒットは狙わない。目の前の「やりたいこと」を積み上げていく
大塚:エンタメ業界を牽引してきたアソビシステムも設立から14年が経とうとしています。中川社長は学生時代から数々のイベントやファッションショーなどを企画していたことで知られますが、やはり、それが会社設立へつながっていますか?
中川:そうですね。大学時代は同年代の美容・服飾系の学生をメインにしたファッションショーをやったり、クラブイベントなども積極的にやってました。当時も「自分たちのやりたいことをやっていきたい」と思っていたんですが、それがそのままアソビシステムという会社になった感じですね。会社設立にあたって特に壮大なテーマや目標などはなかったです。
大塚: 「原宿」にこだわった理由は?
中川:当時はとにかく渋谷がブームでギャルとか109とか赤文字系が全盛期だったんです。ファッションでいうとみんなルーズソックスを履いていたり、同じブランドを着ていたり。オシャレだけどなんか全部同じに見えたんですよね。一方、原宿には他には無い個性や自由があって魅力的だったし、僕自身このストリートから生まれるカルチャーが好きだったんです。それが理由かもしれないですね。
大塚:20代で社長を務め、ご自身がやりたいことを追求し続けた結果、今やエンタメ業界を支える組織になりましたが、これまでのお仕事の中で一番大変だったと思う企画はありますか?
中川:2009年にやった原宿スタイルコレクションですかね。自分たちが初めて請け負った大きな仕事でした。1万人規模のイベントを僕らの手で仕上げることが初めてだったので、準備も本番も大変でしたね。
大塚:それを機に「これでやっていける!」という揺るぎない自信になったんでしょうか?
中川:いや、正直それはないんですよね。「これでやっていける!」というポイントはどんな仕事をやり遂げてもあまり感じないかもしれないです。
僕らは常に自分たちができることをただひたすらやってきたのでこの事業で一発当てようという気負いはないんです。コンテンツを作り出していく中でヒットコンテンツが徐々に広がっていけばいいといいますか。
ヘンな話、スタートアップみたいに事業計画をかいて何年間でいくら調達して、上場を目指そうという感じではなかったんです。もちろん成長は目指すけど、一つ一つの仕事を積み上げていくことを大切にやってきました。それは今でも変わらないですね。
大切にしているのは「人との会話」そこに新たなヒントが在る
大塚:率直にお聞きします。挫折はありましたか?
中川:挫折……、ないですね(笑)。無いというか挫折しちゃダメだと思ってるところがありますね。イベントをやっている時にツラいことはいっぱいありますけど、挫折まではいかないですし。
大塚:なるほど。では、仕事で失敗したときの対処法は?
中川:それは失敗だと思わないことです(笑)。仕事なんて半分以上失敗なんでイチイチ気にしてたらきりがないですよね。何かミスをしてもそれは失敗ではなく成功への過程なだけであって。どうせ10割成功なんか不可能なので次のステップに進む為に必要だったことだと納得しちゃえばいいと思います。
大塚:新しいアイデアを生みだすときのヒントやコツがあれば教えて下さい。
中川:僕は人との会話を大事にしています。会話から生まれるヒントってとても大きいなと思ってるんですよね。話しながらそこで出た話題が次々と頭の中で新しいものへとつながっていく感じがするんです。仕事柄、対談することも多いんですが、そこでの会話が一夜明けて新しい発見につながったりするんですよ。
最近、事務所を移転したばかりなんですが、事務所って働く場所じゃなくて会話する場所なんじゃないかと最近思い始めて。事務作業は家でやってもいいけど、その代わり会社に来たら人と喋ることが大事だと思う。会話をすることで悩みを共有できたり、目指すべき方向が再確認できたり、後押しされたりする。
コロナ禍でなかなか会話もしづらい状況だからこそ余計思ったんですよね、人と会うことが大事だってことを。自分たちが今思っていることをちゃんと進めたり、形にしていくには会話が本当に必要。オンラインで便利になったことでなおさら実感しましたね。
それにオンラインだと会話の余白がないこともツラいと思いました。打ち合わせをしても用件だけ伝えればいいから1時間の時間をとっていても10分で終わることもある。オンラインで人と話しやすくなったけど一瞬で終わる事案が増えましたよね。でもそれはなんか違うんじゃないかなって。
大塚:ちなみに中川社長は会話中に気になったことや思いついたアイデアはメモされるんですか?
中川:メモはあまりしないですね。ずっと覚えてることが一番しっくりきてることだと思うし。あ、でも、自分のLINEにメモを送ったりすることはありますね。「これは明日みんなに言おう」とか「誰かに伝えたい」と思うことは自分だけのLINEに送りますね。
そういえば、昨日、夜中の2時にすごいアイデアを思いついて、その場で全社員にLINEしようかと思ったんだけど、こんな時間に送ったらマズいなと思って控えました(笑)。
後編はこちら
中川悠介氏 プロフィール
1981年、東京生まれ。きゃりーぱみゅぱみゅなど世界で活躍するアーティストが所属するアソビシステムを07年に設立。青文字系カルチャーの生みの親であり、原宿を拠点にファッション・音楽・ライフスタイルを世界に発信。国内におけるインバウンド施策も精力的に行っている。
アソビシステムHP
https://asobisystem.com/
イベント情報
来る4月17日(土)、1年2ヶ月ぶりとなる有観客ライブ「きゃりーぱみゅぱみゅ PREMIUM LIVE」を開催。新型コロナウイルス感染症対策を実施したうえでの1日2公演での開催だ。
「去年2月にライブをやってから、一度オンラインでやりましたがお客さんを入れてのライブは初めて。本人の熱量含めて、人を前にしてやることへの楽しみが今はキャストスタッフ含め溢れまくっています! 一丸となって盛り上げていきたいと思っていますので、ぜひ、ご期待下さい!」(中川さん)
■タイトル:きゃりーぱみゅぱみゅ PREMIUM LIVE
■日程:2021年4月17日(土)
■会場:EX THEATER ROPPONGI (〒106-0031 東京都港区西麻布1-2-9)
■公演時間:
・第一部 13:00開場/14:00開演
・第二部 17:00開場/18:00開演
イベント情報URL:
http://kyary.asobisystem.com/topics/index.php?id=454&top
取材・文/太田光洋