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「泣ける」の声続出!1,000万再生の共感を生んだ“空港で人生ゲーム”が実現するまで

Case: 株式会社タカラトミー ウェブ動画『人生ゲーム「人生に驚きと歓びを」篇』
 
話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。
 
今回は、株式会社タカラトミーのウェブ動画『人生ゲーム「人生に驚きと歓びを」篇』を取り上げます。国産ボードゲームの大定番である『人生ゲーム』。その中での出来事が実際に起こったらーー。
 
舞台は空港の到着ロビー。前半は『人生ゲーム』の黄色いマス目が装飾されたベルトコンベアから荷物を受け取る人たちにサプライズが起こるユニークな展開が続きますが、後半は一転、成人式を迎えた娘さんと両親による涙と感動のストーリーに。
 
「笑いから入って最後は泣ける」「おもしろいはずが、電車の中で泣いてしまうはめに」のコメントのとおり、観る人の期待を鮮やかに裏切る本クリエイティブの誕生秘話を、株式会社タカラトミー 次世代マーケティング室 WEBマーケティング課 担当課長 竹川洋志さん、株式会社オプト オンラインビデオアドソリューション部 チームマネージャー 伊藤弘明さん、同クリエイティブディレクター 松本康成さんに伺いました。
 
Interview & Text : 香川 妙美
 
ロングセラー商品の鮮度を出す取り組みとしてのウェブ動画
 
 
―タカラトミー社には、たくさんのプロダクトがありますが、今回そのなかから『人生ゲーム』をフィーチャーした理由をお聞かせください。
 
竹川:当社は、『人生ゲーム』をはじめ、『黒ひげ危機一髪』『リカちゃん』など、誰もが遊びかたを知る玩具を長く売ることを得意としています。その反面、それぞれの商品の新しさを出しづらいという課題もあることから、鮮度を出す取り組みを行っています。今回は、『人生ゲーム』に焦点を当てることに。4月に新しい盤を発売しており、ティザー的な側面もありました。
近年、スマートフォンや携帯型ゲーム機など、一人で楽しむゲームが台頭していますが、顔と顔を突き合わせて賑やかに楽しむボードゲームの良さを改めて訴求したい思いもあります。
 
―その鮮度を出す手法として、動画を選ばれた理由を教えてください。
 
竹川:OOHメディアやイベントを活用したものでもよかったのですが、新商品のティザー的な役割を果たす手法として、拡散力の高い動画が最適と考えました。そこで、『人生ゲーム』の代表的なモチーフを演出の鍵に、ユーザーの共感を呼ぶクリエイティブをオプトさんにお願いしました。
 
―このオーダーをもとに、オプト社が提案したクリエイティブは、どのようなものなのでしょうか。また、提案したときのタカラトミー社の反応はいかがでしたか。
 
松本:タカラトミーさんからの要望を踏まえ、まずはリアルイベント型の企画にフォーカスして考えていきました。そんななか、荷物受け取りのベルトコンベアが『人生ゲーム』のマス目を連想させること、いろいろな人の人生が交錯する場という視点から、空港を舞台にした企画にたどりつきました。また、空港自体が動画の舞台としてドラマ性のあることも決め手の一つになりました。
最初は竹川さんに向け、他の案と一緒に提案したのですが、「空港という既存の場所に、違った価値を与えて遊んでいる感じがいいですね」とおっしゃっていただきました。タカラトミー社内でもこの案が好評とのことで、わりと早めに企画案を決定していただきました。
 
伊藤:また、プロモーションに対する方針として、能動的な視聴を促進するためのメディア選定や拡散しやすい層へのターゲティング手法についてお話したところ、「デジタルならではの考えかたで、目から鱗です」とおっしゃってもいただけました。
以上のように、当社の提案内容を前向きに考えてくださいましたので、本企画のパートナーとして一緒に熟考し作り上げていくことができた点も大きく、提案に賛同いただけました。
 
 
 
―撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。
 
松本:実は空港の撮影可能時間が5時間しかなく、その時間内に美術の仕込みから撮影、撤収まで終えなくてはならなかったので、かなり慌ただしい雰囲気でした。撮影中もスタッフサイドは撮り直しができない一発勝負の緊張感に溢れていましたが、サプライズを受ける人々は楽しげだったこともあり、現場はいろいろな感情の混じり合う、とても変わった空気が漂っていました。
 
―こだわった点、苦労した点はありますか。
 
松本:まず、こだわった点ですが、サプライズを受ける方になるべくカメラの存在を意識させないよう、ベルトコンベアに『GoPro』の小型カメラを仕込み、リアルな表情を捉えることに注力しました。編集時も、手持ちカメラマンが映り込んでいるカットはなるべく使用せず、視聴者に作り手の意図を感じさせないようにしました。
そして、これは苦労というよりも不安だった部分なのですが、「ちゃんと撮り終えることができるのか?」「最後の親子のサプライズは成功するのか?」。この2点がずっと気がかりで。撮影1週間前から不安で眠れない日もありましたが、スタッフの尽力もあり、当日はすべてが予想以上にうまくいったので、久しぶりに熟睡することができました(笑)。
 
竹川:台本があったり演じたりしていただいたわけではないので、撮っているときは本当にドキドキでしたよね。ただ、これだけのものを作っていただくための準備と仕込みは、隅々までやっていただきました。リアリティにとことんこだわったスタッフの皆さんの努力に感謝です。
 
 
動画からいくつもの要素を抽出し、ターゲットごとに共感ポイントを設定
 
—動画を広めていくにあたり、PR面ではどのように動かれたのでしょうか。
 
伊藤:今回は、視聴された方の「誰かに伝えたい」という気持ちを喚起したいと考えていたので、動画コンテンツとしてうまく流通させることを意識し、SNS上で話題になるための仕掛けをいくつか用意しました。具体的には、拡散しやすい層への広告ターゲティングや、メディア特性を踏まえたアプローチです。動画は一つですが、そのなかにはサプライズや成人式、結婚式など、さまざまな要素が詰まっています。ただ、年代ごとに共感ポイントが異なりますので、ターゲットに合わせて打ち出す部分を決め、その文脈が流れていくように設計していきました。この結果、公開から短期間のうちにSNSをはじめとするウェブ上に多くのクチコミが生まれていきました。
情報洪水ともいわれる現代ですから、短期間のうちにいかに広く拡散できるのかを注視し、公開に合わせてプロモーションを集中投下する施策が功を奏しました。
 
—メディアへの出方としては、予想どおりでしたか。
 
伊藤:出方は予想どおりでしたが、数は予想以上でした! 動画が拡散するポイントを押さえたことで、アプローチをしなかったメディアにも取り上げていただけましたし、その効果もあり、オーガニックでの閲覧が全体の約5割を占める結果となりました。
さらには、人気ユーチューバーのはじめしゃちょーさんや、『w-inds』の緒方龍一さんら著名人がコメントやツイートをしてくれたことにより、その方たちのファンを中心に広く波及していきました。その効果は非常に大きく、単純な広告展開以上の成果が出ました。
 
成功の要因は、クリエイティブに特化したつくり込みと共感を念頭にしたコミュニケーション
 
―1,000万回以上という驚きの再生回数ですが、ここまで話題化できた要因を何だとお考えでしょうか。
 
竹川:まず、商品訴求ではなく共感を呼ぶクリエイティブに振り切れたことが挙げられます。『人生ゲーム』を知らない方はほとんどいらっしゃらないので、クリエイティブに特化した作り込みができたことは幸せでした。さらには、オンリーワンのプロダクトなので、どこかと比べたり工夫を割いたりする必要もなかったですし。
 
伊藤:そこは大きかったですよね。認知度が90%以上というネームバリューを布石にすることで、クリエイティブ表現の幅が広がりました。
 
松本:クリエイティブ的には、「人生ゲームを空港でリアルにやってみた」という”無邪気な遊び心”と、最後のサプライズでの小室さん家族の”感動的な親子愛”が共感されたからだと思います。また、そうした「遊び心」や「感動」への共感だけではなく、「人生ゲーム」という商品やブランドへの好意とともにクチコミされた点は、非常に嬉しかったですね。
 
伊藤:動画のクオリティと入念なプロモーション設計も貢献しました。また、拡散の観点でいえば、配信を開始したのが1月8日で、人生ゲーム需要期であるお正月や動画ネタでも活用した成人式付近で、トレンドを加味したプロモーションタイミングであったことも良かったです。

 
—タカラトミー社内での反響も大きかったのではないでしょうか。
 
竹川:ええ、非常に大きかったです。「ワクワク」を提供できるのはおもちゃ会社の醍醐味なので、商品以外でそういったことができたことに喜んでくれた社員が多くいました。数字的にも昨年対比百数十%の売り上げで推移しており、結果がともなったことも何よりでした。
 
―とはいえ、数年ぶりの新盤を控えたなかでの施策のため、現行商品の売れ行きが新商品に影響するのではという懸念はありませんでしたか。
 
竹川:旧盤は旧盤の、新盤は新盤のおもしろさがそれぞれあります。そもそも「新盤だから買う」というタイプの商品ではないので、その点の懸念はありませんでした。
 
—今回得たノウハウは、タカラトミー社内で今後どのように活用されていくご予定ですか。
 
竹川:まず、短期的には動画で得た“届いたお客様のセグメント”に対して告知を濃くしながら、ソーシャルを活用したプレゼントキャンペーンを実施しています。その結果も検証しながら、今後のPDCAを回していきたいと思っています。
新しいメディアや手法にトライする機運は高まっていると感じていますので、今後も関連セクションと連携のもと、しっかりと効果検証を行い、実を結ぶ施策のノウハウを蓄積したいと思っています。
 
 
株式会社タカラトミー 次世代マーケティング室 WEBマーケティング課 担当課長 竹川洋志さん(左)
株式会社オプト オンラインビデオアドソリューション部 チームマネージャー 伊藤弘明さん(中)
株式会社オプト オンラインビデオアドソリューション部 クリエイティブディレクター 松本康成さん(右)

INFORMATION

PR EDGE 転載

https://predge.jp/97757/

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