OOHニュース
「我々は広告事業者ではなく清掃屋だ」創業者の言葉を掲げ邁進する広告業界の雄 エムシードゥコー株式会社 猪爪勇斗
突然だが、最近こんなバス停を目にすることが多くはないだろうか?
屋根付きで大々的な広告を設置したどこかオシャレでスマートなバス停だ。近年、昔ながらの簡素な表示板に名称と時刻表が記載されているだけの停留所から、都会的なスタイルに激変している。
実はこのようなバス停の設置・管理を行っている屋外広告会社がある。エムシードゥコー株式会社だ。親会社はジェーシードゥコーというフランスの屋外広告事業者で2000年に三菱商事との合併会社として誕生した。以来バス停に広告や屋根などを設置したストリートファニチャーをB-Stop®という名称で展開している。
そんな、イノベイティブな商品を生み出しているエムシードゥコーの事業開発部長・猪爪勇斗氏に今回バス停広告の未来について話を聞いた。
美しい景観に美しい広告を。利益は市民に還元
大塚:今や街を歩けば頻繁に広告付きバス停留所が目に入ります。美しく清潔なイメージですが日本ではいつ頃から始まったんでしょうか?
猪爪:最初の広告付きバス停は岡山市でスタートしました。2000年に会社を設立した当時は原則としてバス停留所上屋での広告事業は法律で認められていなかったんです。そのため、国交省、警察庁に日参して事業の仕組みやメリットを紹介していましたね。
その後、民間活力を活用していくという大きな流れにのって、2003年の規制緩和により道路上のバス停も広告を活用して整備することができるようになりました。3年で事業化できたのは異例なことで諸外国と比較してもとても早かったと言えます。2021年9月現在では全国40都市、3000基弱の広告付きバス停を設置し、定期的に清掃し維持管理しています。
大塚:御社が手掛けるバス停広告の特徴、こだわりや今取り組んでいることを教えて下さい。
猪爪:今、特に進めているのは広告面のデジタル化ですね。アニメーションなど様々な広告表現ができることはもちろん、災害時には表示内容を遠隔で緊急情報に切り替えられるなど広告以外にも活用できるシステムを構築しています。
猪爪:横浜の中心部に設置したスマートパネルと呼ばれる地図サインには、パネル側面にUSBの充電ソケットが付いて、パネルの中にフリーWi-Fiのアクセスポイントが入っているものもあります。自分のスマホやタブレットを充電しながらインターネットを無料で利用し、レストランや観光名所をリサーチしてもらうなど観光客の方々にも好評頂いています。
大塚:もはや広告というより、ビジネスマンから観光客、地元住民までサポートするライフラインですね。
猪爪:その通りです。一番のポイントは自治体や市民には一切費用負担なく、維持管理ができること。つまり、税金を使わずに、広告収入でパネルの製造から設置、清掃メンテナンスまで全ての費用をまかなっています。それが当社の広告事業の特徴です。
大塚:これは横浜以外の都市にも広がっているとか?
猪爪:はい、富山市ではスマートパネルに防犯カメラを搭載していたり、川崎市の場合はデジタルも導入し、広告収入で駅前広場の清掃や警備費を捻出しています。
最新事例が東京都のスマートパネルです。公共情報を表示するデジタルサイネージに加え、パネルの上部に5Gのアンテナを設けた他、交通量、騒音やPM2・5などを計測するセンサーも搭載し周辺環境の数値化ができるようになっています。
また、今年の9月中旬から青山通りで8基のスマートパネルの運用がスタートします。交通量が多く、ショッピング・イベント等様々な消費活動をリードする最先端エリアのベストなロケーションです。4か所8面の広告掲出が可能ですので、こちらも是非ご覧ください!
大塚:街並みに美しく溶け込みながら都市空間で有益なサービスを提供していく、それは類を見ない御社の強みですよね。
猪爪:ありがとうございます。当社は景観向上につながる美しい屋外広告を掲出し、その収入をサービスとして市民に還元していきます。都市空間でのサービスという点では他にも、現在富山市で兄弟会社のシクロシティがサイクルシェアリングのサービスを行っています。
パネルや車体に広告を掲出し、環境にやさしい公共交通の1つとして、いつでも利用できるレンタル自転車を提供しています。日本では富山市で初めて本格的に導入されました。
大塚:富山が初めだったワケは?
猪爪:富山市は環境モデル都市として、以前から市内の公共交通の活性化に取り組んでいたのですが、当時の森前富山市長に、広告を活用して利用料を安く抑える仕組みや、当社の徹底した清掃メンテナンス体制を高く評価していただいたことがきっかけです。通勤や日常の移動手段として、また気分転換や運動不足解消にもご利用頂いています。
求められるサービスを提供し、必要な情報を提供する
大塚:猪爪さんはエムシードゥコーに入社して15年、一貫して事業開発を担当されているとか。そもそも広告の仕事に興味を持ったきっかけは?
猪爪:学生の頃は建築とか都市デザインを勉強していたので、公園やベンチなどの道路上の施設をデザインする仕事に就きたいと考えていました。そして、予算や経済状況に左右されず、自ら稼ぎ、自ら施設やサービスを整備運営することはできないか。そんなことを考えている時に、たまたま雑誌を読んでいて見つけたのがこの会社だったんです。入社当時は、まだまだ広告付きバス停事業がはじまったばかりで、広島市や福岡市の実証実験を担当していましたね。
大塚:他の屋外広告と比べて「バス停広告」の魅力とは?
猪爪:バス停なので他のビルボード広告と比べるとアイレベル、つまり人の目線に近い位置でアピールできるのが魅力の1つです。また、バス停は一定の間隔で置かれているので、街中を移動する人々に何度もご覧いただける、高密度にネットワーク化された媒体であることです。
そして、公道上で唯一認められた大型サイズの広告媒体であることも特徴ですね。道路上で2平米サイズの広告が認められているのは当社の媒体だけだと自負しています。
大塚:そんな広告業界は去年からコロナの影響をモロに受けています。やっぱり実感ありますか?
猪爪:非常に大きな影響を受けています。パンデミックは屋外広告を生業とする者にとって最も大きな危機だと思います。都市の人流こそが価値の源泉ですので。
大塚:しかし、コロナ禍だからこそ学べたこと、生まれたアイデアなどはありますか?
猪爪:サービスの新しいアイデアとしては、親会社のあるフランスのパリでは、我々の広告付きバス停に誰でも自由に利用できる消毒液のディスペンサーを設置しました。消毒液の定期的な補充や運営もすべて我々が行っています。まだまだ消毒液やマスクが手に入りづらい時期からサービスを提供していたので、市民や自治体には大変喜んでもらえたと聞いています。
広告については、コロナ禍以前から広告市場ではインターネット広告がその存在感を増していましたが、コロナ禍によってこの流れが一気に加速したと考えています。これによって、我々が扱う屋外広告交通広告分野においても、本当に価値のあるもの、社会的に意味のあるモノしか今後生き残っていけないということを改めて痛感しました。
大塚:改めてエムシードゥコーの強みとは?
猪爪:市民や自治体から求められているサービスを提供し、価値のある広告媒体を広告主に提供すること、そしてこれらを高いクオリティで実現できることです。バス停や地図サインなど、どのようなサービスであっても、最も重要なことは、いつでも誰でも快適にご利用いただけるよう清掃メンテナンスを欠かさないことです。そしてそれは視認性に優れた美しい媒体を広告主に提供するということでもあります。
創業者であるジャン・クロード・ドゥコーは、『我々は広告事業者ではなく清掃屋だ。勘違いするんじゃない』という趣旨のメッセージを、ことあるごとに社員に伝えていたそうです。
どういうことかとうと、「我々が、市民の共有財産である屋外公共空間を使って広告事業を行うことができるのは、清掃メンテナンスも含めてクオリティの高いサービスを提供しているからであって、その逆ではない」とうことです。はじめにクオリティありき、ということです。
全員がこのことを理解し、より高いクオリティを目指すことができるのが当社の強みだと思います。
大塚:今やハイブランド、ラグジュアリーブランドも目立つ御社の広告ですが今後の展望をお聞かせ下さい。
猪爪:やはり品質にこだわりをもつハイブランドやラグジュアリーブランドにご利用いただいているのは、当社の媒体の品質を評価頂いているということだと思うので、素直にうれしいですし、継続して掲出いただけるよう努めていきたいです。カッコいい広告が掲出されると、バス事業者や自治体の方もすごく喜んでくれるんですよね。
新しいサービスの研究開発は当然続けていくのですが、何より重要なことは市民や自治体の皆さんの求めていること、ニーズをしっかりと見極めてスピード感を持って提供することだと考えています。品質への意識を高く、これを続けていきたいと思います。
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エムシードゥコー株式会社
事業開発部部長 猪爪勇斗
https://www.mcdecaux.co.jp/
取材・文/太田光洋
屋根付きで大々的な広告を設置したどこかオシャレでスマートなバス停だ。近年、昔ながらの簡素な表示板に名称と時刻表が記載されているだけの停留所から、都会的なスタイルに激変している。
実はこのようなバス停の設置・管理を行っている屋外広告会社がある。エムシードゥコー株式会社だ。親会社はジェーシードゥコーというフランスの屋外広告事業者で2000年に三菱商事との合併会社として誕生した。以来バス停に広告や屋根などを設置したストリートファニチャーをB-Stop®という名称で展開している。
そんな、イノベイティブな商品を生み出しているエムシードゥコーの事業開発部長・猪爪勇斗氏に今回バス停広告の未来について話を聞いた。
美しい景観に美しい広告を。利益は市民に還元
大塚:今や街を歩けば頻繁に広告付きバス停留所が目に入ります。美しく清潔なイメージですが日本ではいつ頃から始まったんでしょうか?
猪爪:最初の広告付きバス停は岡山市でスタートしました。2000年に会社を設立した当時は原則としてバス停留所上屋での広告事業は法律で認められていなかったんです。そのため、国交省、警察庁に日参して事業の仕組みやメリットを紹介していましたね。
その後、民間活力を活用していくという大きな流れにのって、2003年の規制緩和により道路上のバス停も広告を活用して整備することができるようになりました。3年で事業化できたのは異例なことで諸外国と比較してもとても早かったと言えます。2021年9月現在では全国40都市、3000基弱の広告付きバス停を設置し、定期的に清掃し維持管理しています。
大塚:御社が手掛けるバス停広告の特徴、こだわりや今取り組んでいることを教えて下さい。
猪爪:今、特に進めているのは広告面のデジタル化ですね。アニメーションなど様々な広告表現ができることはもちろん、災害時には表示内容を遠隔で緊急情報に切り替えられるなど広告以外にも活用できるシステムを構築しています。
猪爪:横浜の中心部に設置したスマートパネルと呼ばれる地図サインには、パネル側面にUSBの充電ソケットが付いて、パネルの中にフリーWi-Fiのアクセスポイントが入っているものもあります。自分のスマホやタブレットを充電しながらインターネットを無料で利用し、レストランや観光名所をリサーチしてもらうなど観光客の方々にも好評頂いています。
大塚:もはや広告というより、ビジネスマンから観光客、地元住民までサポートするライフラインですね。
猪爪:その通りです。一番のポイントは自治体や市民には一切費用負担なく、維持管理ができること。つまり、税金を使わずに、広告収入でパネルの製造から設置、清掃メンテナンスまで全ての費用をまかなっています。それが当社の広告事業の特徴です。
大塚:これは横浜以外の都市にも広がっているとか?
猪爪:はい、富山市ではスマートパネルに防犯カメラを搭載していたり、川崎市の場合はデジタルも導入し、広告収入で駅前広場の清掃や警備費を捻出しています。
最新事例が東京都のスマートパネルです。公共情報を表示するデジタルサイネージに加え、パネルの上部に5Gのアンテナを設けた他、交通量、騒音やPM2・5などを計測するセンサーも搭載し周辺環境の数値化ができるようになっています。
また、今年の9月中旬から青山通りで8基のスマートパネルの運用がスタートします。交通量が多く、ショッピング・イベント等様々な消費活動をリードする最先端エリアのベストなロケーションです。4か所8面の広告掲出が可能ですので、こちらも是非ご覧ください!
大塚:街並みに美しく溶け込みながら都市空間で有益なサービスを提供していく、それは類を見ない御社の強みですよね。
猪爪:ありがとうございます。当社は景観向上につながる美しい屋外広告を掲出し、その収入をサービスとして市民に還元していきます。都市空間でのサービスという点では他にも、現在富山市で兄弟会社のシクロシティがサイクルシェアリングのサービスを行っています。
パネルや車体に広告を掲出し、環境にやさしい公共交通の1つとして、いつでも利用できるレンタル自転車を提供しています。日本では富山市で初めて本格的に導入されました。
大塚:富山が初めだったワケは?
猪爪:富山市は環境モデル都市として、以前から市内の公共交通の活性化に取り組んでいたのですが、当時の森前富山市長に、広告を活用して利用料を安く抑える仕組みや、当社の徹底した清掃メンテナンス体制を高く評価していただいたことがきっかけです。通勤や日常の移動手段として、また気分転換や運動不足解消にもご利用頂いています。
求められるサービスを提供し、必要な情報を提供する
大塚:猪爪さんはエムシードゥコーに入社して15年、一貫して事業開発を担当されているとか。そもそも広告の仕事に興味を持ったきっかけは?
猪爪:学生の頃は建築とか都市デザインを勉強していたので、公園やベンチなどの道路上の施設をデザインする仕事に就きたいと考えていました。そして、予算や経済状況に左右されず、自ら稼ぎ、自ら施設やサービスを整備運営することはできないか。そんなことを考えている時に、たまたま雑誌を読んでいて見つけたのがこの会社だったんです。入社当時は、まだまだ広告付きバス停事業がはじまったばかりで、広島市や福岡市の実証実験を担当していましたね。
大塚:他の屋外広告と比べて「バス停広告」の魅力とは?
猪爪:バス停なので他のビルボード広告と比べるとアイレベル、つまり人の目線に近い位置でアピールできるのが魅力の1つです。また、バス停は一定の間隔で置かれているので、街中を移動する人々に何度もご覧いただける、高密度にネットワーク化された媒体であることです。
そして、公道上で唯一認められた大型サイズの広告媒体であることも特徴ですね。道路上で2平米サイズの広告が認められているのは当社の媒体だけだと自負しています。
大塚:そんな広告業界は去年からコロナの影響をモロに受けています。やっぱり実感ありますか?
猪爪:非常に大きな影響を受けています。パンデミックは屋外広告を生業とする者にとって最も大きな危機だと思います。都市の人流こそが価値の源泉ですので。
大塚:しかし、コロナ禍だからこそ学べたこと、生まれたアイデアなどはありますか?
猪爪:サービスの新しいアイデアとしては、親会社のあるフランスのパリでは、我々の広告付きバス停に誰でも自由に利用できる消毒液のディスペンサーを設置しました。消毒液の定期的な補充や運営もすべて我々が行っています。まだまだ消毒液やマスクが手に入りづらい時期からサービスを提供していたので、市民や自治体には大変喜んでもらえたと聞いています。
広告については、コロナ禍以前から広告市場ではインターネット広告がその存在感を増していましたが、コロナ禍によってこの流れが一気に加速したと考えています。これによって、我々が扱う屋外広告交通広告分野においても、本当に価値のあるもの、社会的に意味のあるモノしか今後生き残っていけないということを改めて痛感しました。
大塚:改めてエムシードゥコーの強みとは?
猪爪:市民や自治体から求められているサービスを提供し、価値のある広告媒体を広告主に提供すること、そしてこれらを高いクオリティで実現できることです。バス停や地図サインなど、どのようなサービスであっても、最も重要なことは、いつでも誰でも快適にご利用いただけるよう清掃メンテナンスを欠かさないことです。そしてそれは視認性に優れた美しい媒体を広告主に提供するということでもあります。
創業者であるジャン・クロード・ドゥコーは、『我々は広告事業者ではなく清掃屋だ。勘違いするんじゃない』という趣旨のメッセージを、ことあるごとに社員に伝えていたそうです。
どういうことかとうと、「我々が、市民の共有財産である屋外公共空間を使って広告事業を行うことができるのは、清掃メンテナンスも含めてクオリティの高いサービスを提供しているからであって、その逆ではない」とうことです。はじめにクオリティありき、ということです。
全員がこのことを理解し、より高いクオリティを目指すことができるのが当社の強みだと思います。
大塚:今やハイブランド、ラグジュアリーブランドも目立つ御社の広告ですが今後の展望をお聞かせ下さい。
猪爪:やはり品質にこだわりをもつハイブランドやラグジュアリーブランドにご利用いただいているのは、当社の媒体の品質を評価頂いているということだと思うので、素直にうれしいですし、継続して掲出いただけるよう努めていきたいです。カッコいい広告が掲出されると、バス事業者や自治体の方もすごく喜んでくれるんですよね。
新しいサービスの研究開発は当然続けていくのですが、何より重要なことは市民や自治体の皆さんの求めていること、ニーズをしっかりと見極めてスピード感を持って提供することだと考えています。品質への意識を高く、これを続けていきたいと思います。
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エムシードゥコー株式会社
事業開発部部長 猪爪勇斗
https://www.mcdecaux.co.jp/
取材・文/太田光洋
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