OOHニュース
フロントランナーが目指す、情報インフラとしてのデジタルサイネージ ピーディーシー株式会社 田中真吾
デジタルサイネージは様々な場所で社会の一部に溶けこんでいる。広告媒体として、情報発信のツールとして、空間演出の要として、かかる期待は大きい。
コミュニケーションの効果を最大化するためには、場所に合わせた最適な情報を表示することが重要だ。そのためには、最適なシステムと質の高いコンテンツ、運用体制が必要になる。ピーディーシーは、ハードからソフトまでワンストップで提供する、デジタルサイネージ業界のフロントランナーだ。設立20周年を機に、ピーディーシーのこれまでとこれからを田中社長に語ってもらった。
社員2人からスタートした社内ベンチャー
大塚:御社の事業内容と、特徴をお聞かせください。
田中:当社はパナソニックの社内ベンチャー制度から生まれた会社です。もとがメーカーですので、モニター、PC、設置工事といったサイネージに必要なハード商品を一通り扱っています。一方でメーカーにない部分として、サイネージに表示するコンテンツの制作や運用といったソフト面のサービスも提供しています。
このように、デジタルサイネージ事業をワンストップで提供できる点が強みです。導入後もお客様の売上に貢献できるよう、サイネージを使った企画のご提案も行っています。
大塚:納入先にはどういったクライアントがあるのでしょうか。
田中:代表的なものでは、東京ミッドタウン、東京スカイツリーといった大型商業施設にパナソニックの営業経由で納入させていただいています。
空港や駅などの公共施設、渋谷駅前の屋外広告の納入事例もあります。上海の森ビルなど、海外の施設でもご利用いただいています。
大塚:幅広いですね。社内ベンチャーということですが、どのような経緯で設立されたのでしょうか。
田中:サイネージ業界では大型モニターの価格競争が激しく、他社と差別化するための武器を模索していました。そうしたソフト面を専門で扱う会社として、2001年10月に社内ベンチャー制度によって設立されたのが当社です。
大塚:立ち上げにあたり、メンバーは社内公募したんですか?
田中:そうですね。といっても、設立当初は前社長とアルバイトの2人だけでした。2004年に私が合流し、2018年より代表を務めております。
大塚:現在は社員数120人ということですから、大変な成長率ですね。スタート直後は苦労もあったかと思いますが、いかがでしたか?
田中:もちろん当初は仕事が少なく、提案活動に奔走していました。当時は交通機関の広告媒体の開発に投資して収益化を目指していたのですが、上手く行かず、会社存続の危機に陥ってしまいましたが、パナソニックの営業経由で六本木ヒルズのサイネージをなんとか受託し、デジタルサイネージで店舗や商業施設の情報を発信するSI事業にビジネスモデルを転換しました。
大塚:なるほど。その結果、業界でも独自のポジションを獲得したわけですね。
想像を超え、規格を拡大していくOOHメディア
大塚:20年間のサイネージ事業の中で、さまざまな取り組みをされていると思います。OOHメディアで注力された事例はありますか?
田中:渋谷スクランブルスクエアのLEDビジョンは、ユニークな形状で話題を呼びました。国内最大規模の屋外ビジョンです。
それから、同じく渋谷の駅構内に、世界最大サイズのCOB型LEDビジョン「ビッグサイネージプレミアム」を設置しました。
乗り換え通路にあるので、渋谷を目的地としたお客様以外の目にもとまります。
また、LEDビジョンの上部には光を使った情報コミュニケーションツール「LinkRay™」を設置。スマートフォンと連動した双方向配信にも対応可能な機能を実装しています。
渋谷スクランブルスクエアの大型ビジョン。約550㎡と屋外広告としては超大型となった
営業窓口:パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
元請会社:パナソニック LSエンジニアリング株式会社
田園都市線・半蔵門線渋谷駅ビッグサイネージプレミアム。約50㎡(高さ約2m、幅約25m)で、OOH用のCOB型LEDビジョンとしては世界最大サイズ
写真撮影 2019年4月
営業窓口:パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社
元請会社:パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社
大塚:御社だからこそ実現した事例も多いんですね。既存の規格を超えていくことで、新たな価値が生まれていくのだと思います。
御社ではスタジアムでのビジョンも取り扱っていますよね。
田中:はい。2021年3月にリニューアルオープンした埼玉西武ライオンズの本拠地「メットライフドーム」で、メインビジョンやセンタービルのサブビジョン、DAZNビジョンなどを導入いただいています。
メットライフドームのメインビジョン。600㎡(W46m×H13m)と巨大なビジョンが照明・音響と連動する演出で、試合の一体感と高揚感を生み出す
営業窓口:パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
元請会社:パナソニック LSエンジニアリング株式会社
「実装力」を武器に情報インフラを目指す
大塚:屋外の導入事例が多いと思いますが、コロナ禍の影響はあったのでしょうか。
田中:商業施設を利用する方が減りましたので、もちろん影響はありました。ですがこれをチャンスととらえ、どう活かすかが重要だと思っています。コロナ禍によってオンラインコミュニケーションや非接触といった価値が認識され、新しい生活様式に合わせた製品開発も始まっています。このような時期だからこそ基本に立ち返り、人の縁を大切にしながら、ビジネスを継続していくという姿勢を意識しています。
大塚:おっしゃる通りですね。そのようにポジティブに攻め続けていける原動力とは何でしょうか?
田中:理想はいくらでも追求できますが、それをカタチにするのは難しいことです。「実装力」が当社の一つの強みでして、メーカーとしての基盤とベンチャー企業としての機動力がそれを叶えているのではないでしょうか。
私自身、スピード感を持って意思決定するようにしていますし、社員にも同じ価値観、理念を共有して同じ方向を向けるようにしています。
大塚:設立20周年を迎えられて、どのように感じていますか?
田中:感謝の一言ですね。社員や得意先、株主、家族に支えられてここまでくることができました。
大塚:次の10年、20年も楽しみです。今後の展望をお聞かせください。
田中:今やデジタルは、電力、ガスに次ぐ情報インフラといえます。当社は、なくてはならないインフラとして、デジタルサイネージや関連サービスをお届けする会社でありたいと思っています。
例えば、サイネージとスマートフォンを連携させて災害時の情報提供に役立てたり、自分にとって最適な情報がリアルに送られてくるようなシステムを構築したり、OMOのデジタルプラットフォームとして活用したりと、さまざまな展開が考えられます。クリエイティブの力も結集して、必要不可欠な存在になっていきたいですね。
プロフィール
ピーディーシー株式会社
代表取締役社長 田中真吾
https://www.pdc-ds.com/
コミュニケーションの効果を最大化するためには、場所に合わせた最適な情報を表示することが重要だ。そのためには、最適なシステムと質の高いコンテンツ、運用体制が必要になる。ピーディーシーは、ハードからソフトまでワンストップで提供する、デジタルサイネージ業界のフロントランナーだ。設立20周年を機に、ピーディーシーのこれまでとこれからを田中社長に語ってもらった。
社員2人からスタートした社内ベンチャー
大塚:御社の事業内容と、特徴をお聞かせください。
田中:当社はパナソニックの社内ベンチャー制度から生まれた会社です。もとがメーカーですので、モニター、PC、設置工事といったサイネージに必要なハード商品を一通り扱っています。一方でメーカーにない部分として、サイネージに表示するコンテンツの制作や運用といったソフト面のサービスも提供しています。
このように、デジタルサイネージ事業をワンストップで提供できる点が強みです。導入後もお客様の売上に貢献できるよう、サイネージを使った企画のご提案も行っています。
大塚:納入先にはどういったクライアントがあるのでしょうか。
田中:代表的なものでは、東京ミッドタウン、東京スカイツリーといった大型商業施設にパナソニックの営業経由で納入させていただいています。
空港や駅などの公共施設、渋谷駅前の屋外広告の納入事例もあります。上海の森ビルなど、海外の施設でもご利用いただいています。
大塚:幅広いですね。社内ベンチャーということですが、どのような経緯で設立されたのでしょうか。
田中:サイネージ業界では大型モニターの価格競争が激しく、他社と差別化するための武器を模索していました。そうしたソフト面を専門で扱う会社として、2001年10月に社内ベンチャー制度によって設立されたのが当社です。
大塚:立ち上げにあたり、メンバーは社内公募したんですか?
田中:そうですね。といっても、設立当初は前社長とアルバイトの2人だけでした。2004年に私が合流し、2018年より代表を務めております。
大塚:現在は社員数120人ということですから、大変な成長率ですね。スタート直後は苦労もあったかと思いますが、いかがでしたか?
田中:もちろん当初は仕事が少なく、提案活動に奔走していました。当時は交通機関の広告媒体の開発に投資して収益化を目指していたのですが、上手く行かず、会社存続の危機に陥ってしまいましたが、パナソニックの営業経由で六本木ヒルズのサイネージをなんとか受託し、デジタルサイネージで店舗や商業施設の情報を発信するSI事業にビジネスモデルを転換しました。
大塚:なるほど。その結果、業界でも独自のポジションを獲得したわけですね。
想像を超え、規格を拡大していくOOHメディア
大塚:20年間のサイネージ事業の中で、さまざまな取り組みをされていると思います。OOHメディアで注力された事例はありますか?
田中:渋谷スクランブルスクエアのLEDビジョンは、ユニークな形状で話題を呼びました。国内最大規模の屋外ビジョンです。
それから、同じく渋谷の駅構内に、世界最大サイズのCOB型LEDビジョン「ビッグサイネージプレミアム」を設置しました。
乗り換え通路にあるので、渋谷を目的地としたお客様以外の目にもとまります。
また、LEDビジョンの上部には光を使った情報コミュニケーションツール「LinkRay™」を設置。スマートフォンと連動した双方向配信にも対応可能な機能を実装しています。
渋谷スクランブルスクエアの大型ビジョン。約550㎡と屋外広告としては超大型となった
営業窓口:パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
元請会社:パナソニック LSエンジニアリング株式会社
田園都市線・半蔵門線渋谷駅ビッグサイネージプレミアム。約50㎡(高さ約2m、幅約25m)で、OOH用のCOB型LEDビジョンとしては世界最大サイズ
写真撮影 2019年4月
営業窓口:パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社
元請会社:パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社
大塚:御社だからこそ実現した事例も多いんですね。既存の規格を超えていくことで、新たな価値が生まれていくのだと思います。
御社ではスタジアムでのビジョンも取り扱っていますよね。
田中:はい。2021年3月にリニューアルオープンした埼玉西武ライオンズの本拠地「メットライフドーム」で、メインビジョンやセンタービルのサブビジョン、DAZNビジョンなどを導入いただいています。
メットライフドームのメインビジョン。600㎡(W46m×H13m)と巨大なビジョンが照明・音響と連動する演出で、試合の一体感と高揚感を生み出す
営業窓口:パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
元請会社:パナソニック LSエンジニアリング株式会社
「実装力」を武器に情報インフラを目指す
大塚:屋外の導入事例が多いと思いますが、コロナ禍の影響はあったのでしょうか。
田中:商業施設を利用する方が減りましたので、もちろん影響はありました。ですがこれをチャンスととらえ、どう活かすかが重要だと思っています。コロナ禍によってオンラインコミュニケーションや非接触といった価値が認識され、新しい生活様式に合わせた製品開発も始まっています。このような時期だからこそ基本に立ち返り、人の縁を大切にしながら、ビジネスを継続していくという姿勢を意識しています。
大塚:おっしゃる通りですね。そのようにポジティブに攻め続けていける原動力とは何でしょうか?
田中:理想はいくらでも追求できますが、それをカタチにするのは難しいことです。「実装力」が当社の一つの強みでして、メーカーとしての基盤とベンチャー企業としての機動力がそれを叶えているのではないでしょうか。
私自身、スピード感を持って意思決定するようにしていますし、社員にも同じ価値観、理念を共有して同じ方向を向けるようにしています。
大塚:設立20周年を迎えられて、どのように感じていますか?
田中:感謝の一言ですね。社員や得意先、株主、家族に支えられてここまでくることができました。
大塚:次の10年、20年も楽しみです。今後の展望をお聞かせください。
田中:今やデジタルは、電力、ガスに次ぐ情報インフラといえます。当社は、なくてはならないインフラとして、デジタルサイネージや関連サービスをお届けする会社でありたいと思っています。
例えば、サイネージとスマートフォンを連携させて災害時の情報提供に役立てたり、自分にとって最適な情報がリアルに送られてくるようなシステムを構築したり、OMOのデジタルプラットフォームとして活用したりと、さまざまな展開が考えられます。クリエイティブの力も結集して、必要不可欠な存在になっていきたいですね。
プロフィール
ピーディーシー株式会社
代表取締役社長 田中真吾
https://www.pdc-ds.com/