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【keyperson interview】アート集団・OVER ALLs代表兼プロデューサー・赤澤岳人氏 「正解、不正解なんてない!自分の好きなWOW!を表現すれば、仕事はもっと楽しくなる!」【後編】
SPACE MEDIAを運営するミューカ代表・大塚省伍がOOH業界を牽引するキーパーソンの方々と対談を行い、変化の激しい業界の未来を創造する特集企画。
第7回目の対談相手は、壁画やオーダーアートの企画制作、「現代のアート」のセレクトショップなどを運営する株式会社OVER ALLsの代表兼プロデューサー・赤澤岳人さん。「楽しんだって、いい」を企業理念とし、アートで「楽しい国、日本」を作ろうとする同社の取り組みが多くの企業に注目されている。――
というと、芸術大学を出た〝気鋭のアーティスト〟と思うかもしれないが、違う。赤澤さんの異色の経歴とともに、壁画アートのビジネス事情、そして「WOW!」と心を動かされたことを判断の中心に置く独自の仕事観を聞いた。
前編はこちら
1〜2年、引きこもり生活を。そんな中でも、いつか起業したいという思いはあった
大塚:作品へのこだわりを聞くと、芸術系の学校を出てアート1本でやって来られたと思った人も多いと思いますが、まったく別の業界から転身されたそうですね。以前は、どんな職に就いていたんですか?
赤澤:某大手人材派遣会社で、営業職や新規事業を立ち上げる部署に勤めていました。その前は、法科大学院に通って司法試験に挑戦していたのですが、厳しい環境の中でうつ病になってしまい、1〜2年ほど、引きこもり生活を送っていました。
彼女に「いい加減、就職しなさい」と言われ、就活を始めたのですが、20代後半で「職歴:なし」の男が就職できる国ではありません。1年ほど玉砕し続けた私を見かねた彼女(現在の妻)が、自分の勤めている人材派遣会社に交渉してくれて、「アルバイトでいいなら」ということで、受け入れてもらえたんです。
大塚:そこからどうしてOVER ALLsを立ち上げて、アートの世界へ入ることになったんですか?
赤澤:引きこもり生活をしている頃、『カンブリア宮殿』や『ガイアの夜明け』などのビジネス番組をよく見ていたんです。その影響もあってか「貯金が増えたら起業する」という思いをずっと抱いていました。
それを知った彼女に、「あんたいつまで、この会社で働く気なの? 『お金が貯まったら』なんて言っていたら、いつまでたってもできひんで!」とハッパをかけられたんです。
それを機に、辞表を出したのですが、具体的に〝何をしたい〟わけではなかったんですよ。とりあえず何でもできるように両手を空けてみた、という感じ。そんな時、たまたま出会ったのが建築パース作家の山本勇気。彼がアート活動を始めるというので、最初はそれを手伝う、というところから、この世界に踏み込むことになったのです。
大塚:〝何をしたい〟わけでもなかったのに、起業しようと思っていたんですね。
赤澤:私は、よく「何々をやりたい」と高らかに謳って起業する人って、うまくいかないケースが多いと思っています。逆にうまくいっている人は、どっちかというと〝やらされ仕事〟というか、人から頼まれたからやり始めたら、次から次に依頼がきて、結果、人を雇う、みたいな場合が多いように思います。
私の場合、「両手を空けた」、そうしたら「山本に頼られた」、「私はそれに応えた」。そんな中で発生した問題を解決するために、結果として「会社を立ち上げた」だけなんです。
出会った仲間たちが、そしてクライアントさんが頼ってくれたから、今のOVER ALLsがあるのです。
これがいい! と思ったものを貫き通す「エゴ」が仕事を深化させる
大塚:頼られるからには、それに応えなければいけない。そのために、仕事をするうえでこだわっていることはありますか?
赤澤:自分自身の〝引き出しを増やす〟ことですかね。それって意識して本を読むなど、色々なことができるのですが、それよりも日常生活の中でアンテナを張って、気になったことがあったらすぐに調べる、という行動をとっていますね。そのルーティンが結果として仕事に役立っていますね。
あとは「絶対に妥協はしない」ということ。徹底して仕事に向き合い、そして疑う。何だったら、「納品して後悔する」こともある。というのは、作品を作っている間に自分自身もレベルアップし続けています。となると、納品する時点で、もっとこうできたはずだ! などと悔しがるのが当たり前なんです。自分の仕事に満足をするな、ということは常に思っていますね。
大塚:そんな仕事へのこだわりが、特に表れた作品はありますか?
赤澤:例えば新橋駅に納めた壁画アートに描かれている、男の子。実ははもっと小さかったんです。私が見に行った時はすでに描き終わっていたんですが、「これ小さいわ、描き直して」と山本に伝えました。
もちろん僕も最初の段階で、彼にGOを出しているのですが、出来上がったものを見て、小さいと思ってしまった……。この仕事に真摯に向き合うのであれば、どうしても描き直すべきだと感じたんです。だから人を増やすなどして、何とか男の子を大きく描いて納品しました。
自分がこれがいい! と思ったものを貫き通したんです。「いい」と思っているのに、あれこれ理由をつけて「できない」という人間はいらない。徹底して自分たちの思うものを最後の最後まで妥協せずにやり遂げることが大事なのです。
これが大きく描き直した男の子。
「働く原動力」となる、家族や大切な人を描くことで、ビジネスパーソンを肯定するメッセージを込めている。
大塚:まだ厳しい状況が続いていますけれど、それが明けた時、OOHを通して色々な表現をしたい企業が増えてくると思います。OVER ALLsさんの作品を街で見かけることが増えていきそうですね。非常に楽しみです。
赤澤:コロナ禍で、奇しくも以前より、それまで日本人が押さえつけてきた「自分の好き」というものを見つめ直す機会になったと思っています。するとコロナが明けたタイミングで、今までどおりの生真面目さを持ちながらも、「自分の好き」を表現したいという欲が出てきて、それをとことん追求してくると思うんです。そうなれば、私たちの活躍する場が広がり、〝アートで楽しい国、日本〟に大きく近づけられるのではないでしょうか。
プロフィール
赤澤岳人
株式会社OVER ALLs 代表取締役社長
某大手人材会社の営業職を経て、新規事業責任者として事業承継をテーマとした社内ベンチャーを設立する。退職後の2016年9月、アーティストの山本勇気氏との出会いをきっかけに同社を設立。主に企画・プロデュースを担当する。
OVER ALLs HP
http://www.overalls.jp/
赤澤岳人さんツイッター
https://twitter.com/overalls_aka
取材・文/寺田剛治
第7回目の対談相手は、壁画やオーダーアートの企画制作、「現代のアート」のセレクトショップなどを運営する株式会社OVER ALLsの代表兼プロデューサー・赤澤岳人さん。「楽しんだって、いい」を企業理念とし、アートで「楽しい国、日本」を作ろうとする同社の取り組みが多くの企業に注目されている。――
というと、芸術大学を出た〝気鋭のアーティスト〟と思うかもしれないが、違う。赤澤さんの異色の経歴とともに、壁画アートのビジネス事情、そして「WOW!」と心を動かされたことを判断の中心に置く独自の仕事観を聞いた。
前編はこちら
1〜2年、引きこもり生活を。そんな中でも、いつか起業したいという思いはあった
大塚:作品へのこだわりを聞くと、芸術系の学校を出てアート1本でやって来られたと思った人も多いと思いますが、まったく別の業界から転身されたそうですね。以前は、どんな職に就いていたんですか?
赤澤:某大手人材派遣会社で、営業職や新規事業を立ち上げる部署に勤めていました。その前は、法科大学院に通って司法試験に挑戦していたのですが、厳しい環境の中でうつ病になってしまい、1〜2年ほど、引きこもり生活を送っていました。
彼女に「いい加減、就職しなさい」と言われ、就活を始めたのですが、20代後半で「職歴:なし」の男が就職できる国ではありません。1年ほど玉砕し続けた私を見かねた彼女(現在の妻)が、自分の勤めている人材派遣会社に交渉してくれて、「アルバイトでいいなら」ということで、受け入れてもらえたんです。
大塚:そこからどうしてOVER ALLsを立ち上げて、アートの世界へ入ることになったんですか?
赤澤:引きこもり生活をしている頃、『カンブリア宮殿』や『ガイアの夜明け』などのビジネス番組をよく見ていたんです。その影響もあってか「貯金が増えたら起業する」という思いをずっと抱いていました。
それを知った彼女に、「あんたいつまで、この会社で働く気なの? 『お金が貯まったら』なんて言っていたら、いつまでたってもできひんで!」とハッパをかけられたんです。
それを機に、辞表を出したのですが、具体的に〝何をしたい〟わけではなかったんですよ。とりあえず何でもできるように両手を空けてみた、という感じ。そんな時、たまたま出会ったのが建築パース作家の山本勇気。彼がアート活動を始めるというので、最初はそれを手伝う、というところから、この世界に踏み込むことになったのです。
大塚:〝何をしたい〟わけでもなかったのに、起業しようと思っていたんですね。
赤澤:私は、よく「何々をやりたい」と高らかに謳って起業する人って、うまくいかないケースが多いと思っています。逆にうまくいっている人は、どっちかというと〝やらされ仕事〟というか、人から頼まれたからやり始めたら、次から次に依頼がきて、結果、人を雇う、みたいな場合が多いように思います。
私の場合、「両手を空けた」、そうしたら「山本に頼られた」、「私はそれに応えた」。そんな中で発生した問題を解決するために、結果として「会社を立ち上げた」だけなんです。
出会った仲間たちが、そしてクライアントさんが頼ってくれたから、今のOVER ALLsがあるのです。
これがいい! と思ったものを貫き通す「エゴ」が仕事を深化させる
大塚:頼られるからには、それに応えなければいけない。そのために、仕事をするうえでこだわっていることはありますか?
赤澤:自分自身の〝引き出しを増やす〟ことですかね。それって意識して本を読むなど、色々なことができるのですが、それよりも日常生活の中でアンテナを張って、気になったことがあったらすぐに調べる、という行動をとっていますね。そのルーティンが結果として仕事に役立っていますね。
あとは「絶対に妥協はしない」ということ。徹底して仕事に向き合い、そして疑う。何だったら、「納品して後悔する」こともある。というのは、作品を作っている間に自分自身もレベルアップし続けています。となると、納品する時点で、もっとこうできたはずだ! などと悔しがるのが当たり前なんです。自分の仕事に満足をするな、ということは常に思っていますね。
大塚:そんな仕事へのこだわりが、特に表れた作品はありますか?
赤澤:例えば新橋駅に納めた壁画アートに描かれている、男の子。実ははもっと小さかったんです。私が見に行った時はすでに描き終わっていたんですが、「これ小さいわ、描き直して」と山本に伝えました。
もちろん僕も最初の段階で、彼にGOを出しているのですが、出来上がったものを見て、小さいと思ってしまった……。この仕事に真摯に向き合うのであれば、どうしても描き直すべきだと感じたんです。だから人を増やすなどして、何とか男の子を大きく描いて納品しました。
自分がこれがいい! と思ったものを貫き通したんです。「いい」と思っているのに、あれこれ理由をつけて「できない」という人間はいらない。徹底して自分たちの思うものを最後の最後まで妥協せずにやり遂げることが大事なのです。
これが大きく描き直した男の子。
「働く原動力」となる、家族や大切な人を描くことで、ビジネスパーソンを肯定するメッセージを込めている。
大塚:まだ厳しい状況が続いていますけれど、それが明けた時、OOHを通して色々な表現をしたい企業が増えてくると思います。OVER ALLsさんの作品を街で見かけることが増えていきそうですね。非常に楽しみです。
赤澤:コロナ禍で、奇しくも以前より、それまで日本人が押さえつけてきた「自分の好き」というものを見つめ直す機会になったと思っています。するとコロナが明けたタイミングで、今までどおりの生真面目さを持ちながらも、「自分の好き」を表現したいという欲が出てきて、それをとことん追求してくると思うんです。そうなれば、私たちの活躍する場が広がり、〝アートで楽しい国、日本〟に大きく近づけられるのではないでしょうか。
プロフィール
赤澤岳人
株式会社OVER ALLs 代表取締役社長
某大手人材会社の営業職を経て、新規事業責任者として事業承継をテーマとした社内ベンチャーを設立する。退職後の2016年9月、アーティストの山本勇気氏との出会いをきっかけに同社を設立。主に企画・プロデュースを担当する。
OVER ALLs HP
http://www.overalls.jp/
赤澤岳人さんツイッター
https://twitter.com/overalls_aka
取材・文/寺田剛治
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